「アメリカン・グラフィティ2」(1979)

 

大ヒット作のその後を描いた続編をAmazonプライムビデオで観ました。初見。

 

 

監督・脚本はビル・L・ノートン。予告編はコチラ

 

1964~1967年の大晦日に起きた出来事を同時進行で描いていきます。1964年の大晦日。スピードレースで地元のカリフォルニアじゃ負け知らずジョン(ポール・ル・マット)レース参戦中。レース会場にはスティーブ(ロン・ハワード)、ローリー(シンディ・ウィリアムズ)、テリー(チャールズ・マーティン・スミス)、デビー(キャンディ・クラーク)も応援に駆けつけてます。前作でドライブしていた少女キャロル(マッケンジー・フィリップス)のちょっと成長した姿も。ローリーは妊娠していて、テリーはベトナムに出兵する前日。ジョンは取り巻きの女の子が連れてきた外国人女性エヴァに恋をします。つづいて、1965年の大晦日。テリーは過酷なベトナムの戦地から一日でも早く逃げ出したいという思いから、自分で負傷して病院送りになろうとするも失敗。それどころか、敵兵と間違えられて銃撃戦を引き起こす大失態。「ファラオ団」のリーダーだったジョー(ボー・ホプキンス)の戦死を目の当たりにして、脱走計画を企てます。

 

1966年の大晦日。テリーの元カノだったデビーはヒッピームーブメントに染まっていて、現在の彼氏であるギタリストのランスの奔放な行動に振り回される日々。彼をバンドに売り込もうとするうちに、ドサ回りのカントリーバンド「エレクトリック・ヘイズ」の巡業に同行する羽目になって、カリフォルニアから旅立っていきます。そして、1967年の大晦日。結婚して双子の息子と共に暮らすスティーブとローリー。働きたいというローリーと専業主婦のままにしておきたいスティーブは大ゲンカ。家出したローリーは大学生の弟アンディの家に身を寄せます。反戦運動の闘士となっていたアンディのデモ活動に巻き込まれて、自分を捜しに来たスティーブ共々、機動隊とのバトルに発展。やがて、それぞれの年越しのカウントダウンが迫っていく中、ある人は元サヤに戻って、ある人は新たな道を歩んで、ある人は消息不明に、ある人は短い生涯を閉じて・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「More American Graffiti」。1作目のタイトルに"もっと"が追加。主要人物だったカートを演じたリチャード・ドレイファスはオスカー受賞俳優に出世していたこともあってか、続編の出演を拒否。なので、彼以外の登場人物のその後の人生模様が本作のストーリー。各年の大晦日のシーンごとに画角を変えているため、どの年の出来事を描いているのか分かりやすくしている、ということですが、いちいちサイズが変わるのがノイズになって、かえって逆効果に。ジョンのレースシーンでは間が持たないため、美人留学生との言葉が通じない不毛なやりとりで尺を稼いでます。テリーのベトナム戦地エピソードのドタバタも空回り気味。ヒッピーになるデビーのエピソードは「フォレスト・ガンプ」のジェニーを少しだけ思い出しました。保守的なスティーブとローリーと弟アンディの反戦活動の対比を描くパートが物語として一番面白いかも。前作同様、オールディーズも流れるし、ウルフマン・ジャックも声だけで出演。

 

ベトナム戦争に対するアメリカ人の典型的なスタンスを各登場人物に投影した設定には工夫を感じます。ただ、等身大のイキイキした人物像だった1作目に比べて、登場キャラの性格づけが類型的すぎて、物語を進行するための役柄に思えます。世知辛い社会に放り込まれて悪戦苦闘する話なので、物語としてハジケない点は致し方ないところ。なんやかんやあって、時制の違うキャラたちが年越し直前に『蛍の光』(古い友人との思い出話に関する英語の歌詞は映画とリンクしている)を合唱。新年を迎えて、またまた前作同様にその後のテロップがクレジットされて映画は終わります。ほかには、カントリーバンドのリーダー役でスコット・グレン、あと、走り屋ボブ役だったハリソン・フォードが白バイ警官になってちょっとだけ出演しています。地味に忘れられがちな続編ですが、製作費300万ドルで全米興収1500万ドルということはそんなに悪くありません。映画自体もそんなに悪くないけど・・・といった感触の作品でございました。