「黄色い風土」(1961)

 

松本清張原作のミステリー映画の小品をU-NEXTで観ました。初見。

 

 

監督は石井輝男。予告編はありません。

 

「週刊東都」の記者若宮(鶴田浩二)が女性問題の権威である島内(柳永二郎)の談話を取るために熱海に向う列車内で、挙動不審の新婚夫婦を見かけます。同時に、カトレアの香りを漂わせる隣の座席美女(佐久間良子)が気になって仕方ありません。熱海村田通信員(春日俊二)に迎えられて前泊したホテルで、前述した新婚夫婦とカトレアの女に遭遇。さらに自室に不審な男が間違えて入ってくるハプニングも経験。翌朝、島内を訪ねた若宮は近くでまたカトレアの女を見かけます。午後には海岸で自殺死体が発見されます。死体は新婚夫婦の夫でした。不自然に怪しいネタが続々と散りばめられる序盤。警察が自殺と断定した事件に疑問を感じる若宮。その様子を聞いた編集長(丹波哲郎)も同意見で、事件の裏側を調査することになります。

 

数日後、ホテルのフロントが殺害された名古屋に向かった若宮は講演会を開いている島内と遭遇。島内のいる部屋を訪れると、カトレアの香りがします。東京に戻った若宮は、先日ホテルの部屋に入ってきた男がニセ札事件に絡んで真鶴で死亡したという新聞記事を見てビックリ。で、真鶴の印刷所で大火事が発生して、印刷所の主人が犬山で水死体で発見されます。ますます怪しくなってまいりました。若宮が印刷所の主人が死んだ犬山に向かうと、その近くで島内が講演会を開いています。しかし、その島内が講演中にカプセル入りの青酸カリを飲んでしまって死亡。島内家の葬式会場でカトレアの女と出会った若宮は彼女から「アジサイ」というヒントワードをゲット。戦時中に陸軍が"アジサイ工作"と呼んでいた作戦があったことを知った若宮はついに熱海で事件の真相を掴んで・・・というのが大まかなあらすじ。


劇場公開は1961年9月23日。同時上映は、進藤英太郎主演の東映版社長シリーズの「次郎長社長とよさこい道中」。怪事件をポンポンと提示して、そのままの勢いで真犯人にたどり着く忙しい展開。石井輝男との珍しいタッグで主演の鶴田浩二が思っていることをペラペラとナレーションで説明していって、結局、かつての陸軍仲間が戦後もつるんで犯行に及んでいましたとさという結末。石井輝男監督作ということは、セクシーダンサーも、常連の丹波哲郎も出てきます。東京熱海犬山などの当時の風景も楽しめます。そして、当時、鶴田浩二と交際していたらしい佐久間良子がとてもキレイ。クライマックスでは鶴田浩二が真犯人に富士山麓連行されるも、自衛隊の演習で大砲が撃ち込まれる地点に放置されるピンチを脱出。格闘中に爆破に巻き込まれた真犯人の右腕が取れて死んだ後、真犯人の妹だったという佐久間良子乱入して爆破されてしまうハデな幕引きでございました。