「ハロー!?ゴースト」(2023)

 

インドネシア版に続いて、台湾版のリメイクをNETFLIXで観ました。

 

 

監督はシェ・ペイルー。予告編はコチラ

 

27才のアウェイ(ツォン・ジンファ)は家族が一人もいないこの世に絶望して自殺を繰り返すも失敗ばかり。大晦日の夜に大量の睡眠薬を飲み込んで意識不明になって、助けに来てくれた美しい救急隊員を天使だと思う夢と見てる時にハッと目覚めたら病院のベッドに。その病院でユーレイ4人に付きまとわれます。禁煙の院内でずっとタバコを吸っているおっさん。ガミガミ口うるさいおばあさん。いつもシクシク泣いているおばさん。チョコチョコ動き回るガキ。ユーレイは自分のカラダを借りて行動をするため、支離滅裂な言動でユーレイがいると口走っているアウェイは、自殺未遂のショックで頭がおかしくなったと思われてずっと入院させられます。やっぱり生きる気力が戻らず、屋上から飛び降り自殺をしようとした時ユーレイたちに助けられてまた一命を取り留めてしまうことに。退院してもずっとまとわりつくユーレイに困ったアウェイは除霊師に相談。ユーレイたちが思い残していることを叶えてあげればいなくなるかもと言われて、4人の願いを聞いてあげることにします。

 

生前に当選した宝くじを換金したいおばあさん。生前に乗っていた車でもう一度ドライブしたいおっさん。生前に行けなかった遊園地で遊びたいガキ。生前に得意だった手料理を人に振舞いたいおばさん。周りの人に迷惑をかけながらも、それぞれのユーレイのリクエストに応えていくアウェイ。一方で、命を助けてくれた救急隊員シャオイン(シャオ・ユーウェイ)とひょんなことで再会。でも、デートに誘いたいアウェイの手助けをしようとするユーレイたちの行動がことごとく逆効果で、生真面目なシャオインを怒らせてばかり。ただ、アウェイがたまにキュンとさせることをしてくれるので、唯一の肉親である兄が借金苦で悩まされている荒んだ気持ちが和んで、少しずつ惹かれていきます。やがて、ある不幸がキッカケでシャオインとアウェイはユーレイも同席しているお食事会で衝突、その後の仲直りを経て、親しくなってきたユーレイたちともお別れすることになって・・・というのが大まかなあらすじ。


原題は「我的麻吉4個鬼」。"私の4人の仲良しゴースト"といった意味。韓国映画「ハロー!?ゴースト」(2010)のリメイク。ベースのストーリー展開はオリジナルと同じ。主人公のヒロインの職業が看護師から救急隊員に、おじいさんがおばあさんに変更。おばあさんとガキが叶えたいことも変更。ヒロインの肉親が父だったのも兄に設定を変更。ヒロインが主人公に惹かれていく展開は少し強引になってるかも。物語上の重要なサプライズを知ってしまっているため、オリジナル初見時ほどの押し寄せる感動はありませんが、台湾版でも同じように心温まる流れの部分はきっちりと踏襲していました。年齢や考え方のバラバラな人たちが衝突しながら、次第にかけがえのない疑似家族を形成していく人情喜劇のパターンを上手く利用している点がミソで、東アジア的な価値観との相性がいいのでしょうか。

 

可笑しみと切なさを表情で端的に表現できる韓国版主人公のチャ・テヒョンが絶品すぎて、イケメンがキャラを崩して演技をしているのが透けて見えている台湾版主人公のツォン・ジンファはちょっと分が悪いです。対して、ヒロイン役のシャオ・ユーウェイの物憂げな存在感は、時折見せる笑顔も含めてGOOD。別の作品で観た記憶があるのですが、どの映画だったか覚えていません。4人のユーレイのキャラはちょっとアクが弱いです。特に、おっさんとおばさんの前半と後半での印象のギャップが足りないかも。あとは、懐かしオモチャのたまごっちが本作独自のアイテムとして登場。仙草ゼリーという中華圏ならではのスイーツを出すなど、台湾版への翻案も工夫が見られて、ヒロインがもらう贈り物はオリジナルよりもロマンチック。こちらを最初に観た人にとっては確実に感動が待っている仕上がりになってると思います。