「HELLO GHOST」(2023)

 

「ハロー!?ゴースト」(2010)のインドネシア版リメイクをNETFLIXで観ました。

 

 

監督はインドラ・グナワン。予告編はコチラ

 

天涯孤独の青年クレスナ(オナディオ・レオナルド)がこの世に絶望して、何度も自殺を試みますが、ことごとく失敗。なぜか毎回助かってしまいます。プールへの飛び込み自殺に失敗して病院で意識を回復すると、今度は4人の幽霊に憑りつかれてしまいます。ずっとタバコを吸ってる中年男(トラ・スディロ)。いつも泣いてばかりの中年女。オンナのことばかり考えてるエロジジイ(インドロ・ワルコップ)クソ生意気な少女。彼らの存在を病院の先生に主張するも、クレスナにしか見えないため、自殺のショックによる幻覚だろうと診断されます。みんなに変人扱いされるクレスナに担当看護婦のリンダ(エンジー・ストリア)だけは優しく接してくれるもんですから、美しいリンダに惹かれていきます。

 

無事退院となり、自宅のアパートに戻ったクレスナ。当然、4人の幽霊もアパートについてきて、クレスナの体に乗り移って勝手な行動をする幽霊に悩まされる日々が続きます。幽霊には現世でやり残したことがあるようで、その夢を叶えてほしいとクレスナにせがみます。思い出のラジオを取り戻したいジジイ。思い出の乗り物を運転して、海で泳ぎたい中年男。ローラースケートに乗って、甘い綿菓子をたくさん食べたい少女。買い物をして、自慢の手料理を人にもてなしたい中年女。4つのお願いを達成できれば、邪魔な幽霊たちが成仏してくれると思ったクレスナは一つ一つの要望をクリアしていきます。すると、鬱陶しいとしか思っていなかった幽霊たちのお節介によって、孤独だった彼が少しずつ人との触れ合いの大切さを知っていくことになり、リンダとの愛順調に育まれていって・・・というのが大まかなあらすじ。

 

今月からNETFLIXでひっそりと配信開始されたようですが、日本語字幕ナシなのが非常に残念で、仕方なく英語字幕で観ました。オリジナルをおおよそ踏襲していて、ラストで思いっきり泣かせてくれるところはそのまま。主人公を演じるオナディオ・レオナルドはインドネシアでは有名なミュージシャン兼俳優だそうで、タトゥーをした少しワイルドな風貌オリジナル(チャ・テヒョン)の純朴さとはちょっとキャラが違います。ヒロインとなる女性が担当看護婦で余命僅かの父がいる設定は同じで、二人の恋愛エピソードは少し増量されてます。また、それぞれの幽霊のキーアイテムが、ジジイ(カメラ→ラジオ)、中年男(タクシー→ミニバス)、少女(オモチャ→ローラースケート)、中年女(のり巻き→コロッケ)といった感じで、インドネシア風にアレンジ。

 

オリジナルでヒロインの看護婦が担当する他の患者さんのエピソードはごっそりカットされていて、物語の焦点はクレスナと4人の幽霊のやりとり、リンダの父娘関係に絞られています。幽霊がクレスナに乗り移って奇行を繰り返す前半のドタバタ部分は、感情の起伏が激しい韓国版の方がメリハリが利いていて、4人の幽霊の個性も、泣かせるパワーもオリジナルの方が強いかも。ただ、オリジナルで少年だったのが少女に変更されてる点は、インドネシア版の方が少し可愛さをUPさせている印象。インドネシアのトロピカルな風土に合わせて丁寧に配色されたカラフルな映像は、韓国版よりキレイかもしれません。幽霊が現世の誰かを恨むためではなく、幸せの手助けをするために存在している点がファンタジーとして素晴らしく、オリジナルの良さを生かして、インドネシア風に料理された良作でございました。台湾版のリメイク「我的麻吉4個鬼」も今年夏に公開されたみたいなので、いずれ観てみようと思います。