「デルタ・フォース」(1986)

 

チャック・ノリスとリー・マーヴィン共演のアクション映画をWOWOWオンデマンドで観ました。初見。

 

 

監督はメナヘム・ゴーラン。予告編はコチラ。荻昌弘の解説はコチラ

 

あるテロの人質救出作戦に失敗したデルタ・フォース。そんな中でも部下を命懸けで救出するマッコイ大尉ことチャック・ノリスだけは大活躍していました。しばらくして、多数のアメリカ人を乗せたアテネ発NY行きの航空機がアラブ人ゲリラのアブドゥル(ロバート・フォスター)ムスタファ(デイヴィッド・メナハム)ハイジャックされると、大統領の命令により、再びデルタ・フォースに緊急出動要請が出ます。バーでバーテンを口説こうとしていたアレクサンダー大佐(リー・マーヴィン)など、続々と集まる隊員たちの中にマッコイ大尉の姿がありません。彼は軍隊生活に嫌気が差して除隊したばかりでした。でも、ハイジャックのニュースを見るや、どこで知ったのか、デルタ・フォースの集合場所にやって来ます。「お前は今日から少佐だ」と大佐に言われて、ニヤリとするマッコイ。昇進おめでとうございます。

 

一方、航空機は犯人の要求通り、ベイルートに着陸。乗客は老夫婦(マーティン・バルサムとシェリー・ウィンタース)オマリー神父(ジョージ・ケネディ)チビッ子を連れた家族、休暇中のアメリカ海軍兵士などの顔ぶれ。144名全員が人質です。ベイルートでゲリラ部隊メンバーを機内に補充して、乗客の中のユダヤ人男性だけをコッソリとゲリラ本部へ連れ出して監禁、人質を2か所に分散させます。いったんアルジェリアに向かって女子供だけを解放。そのスキを突いて、デルタ・フォースが強行突破して機内にいる犯人を制圧する予定でしたが、直前で人質が別の場所にもいることを知って作戦中止。襲われそうになった犯人は見せしめで乗客の一人を処刑して、またベイルートに戻ってきます。ハイジャック犯にここまで好き放題にされたら、デルタ・フォースが黙っているワケがありません。というか、チャック・ノリスがそれを許しません。結局、ゲリラ部隊は全員皆殺しにされておしまい・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「The Delta Force」。世界最強とされるアメリカ陸軍特殊部隊"デルタ・フォース"の活躍を描いた痛快作。アラン・シルヴェストリの有名なテーマ曲は、ここぞという時以外のどうでもいい場面でもしつこく流れます。そして、この二人がいる部隊なら無敵だと思わせる夢の競演が実現。まずは、名優リー・マーヴィン。本作が遺作となりました。100%白髪で完全に爺さんではあるものの、デルタ・フォースを指揮する歴戦のリーダーとして、現場でもきちんと活躍。大佐役の当初の予定はチャールズ・ブロンソンだったそうです。その大佐が全幅の信頼を寄せているのが、マッコイ少佐演じるチャック・ノリス。ベイルートでのカーチェイス銃撃戦人質奪還まではフツーの最強軍人レベルですが、朝日をバックにポーズを決めて単身でゲリラに立ち向かうところからは人類最強クラスのチャック・ノリスらしさが全開。特注のミサイル搭載バイク一網打尽バイクの後部からもミサイルを発射できるのは若干卑怯です。デルタ・フォース全員で倒した敵の数倍分をたった一人で地獄に送り込みます。

 

チャック・ノリス無双ぶりに転じるまでの前半はスリリングなハイジャック描写。パニック映画の被害者役常連のベテラン俳優たちがドラマパートを引っ張ります。主犯役がロバート・フォスターだと気づくのに少し時間がかかるくらい、アラブ人にしか見えませんでした。チーフCAのイングリット(ハンナ・シグラ)の献身ぶり、キャンベル機長(ボー・スヴェンソン)の冷静ぶりなどもお約束の描写。米軍司令本部で命令する将軍役のロバート・ヴォーンも少ない出番で花を添えてます。終盤にゲリラ部隊の残党を出し抜いて航空機を奪い、追っ手を退いたチャック・ノリスを乗せて、人質と共に航空機で脱出した面々は無事にイスラエルに到着。空港で人質の帰還を待つ妻や家族たちが出迎える中、激しい戦闘で最愛の部下を失ったマッコイたちデルタ・フォースが裏からトボトボと帰路に着くシーンで映画は終わりました。ちなみに、無名時代のリーアム・ニーソンがデルタ・フォース隊員役で出演。無双する主人公の遺伝子どうしが本作で繋がっていました。