「地獄のヒーロー」(1984)

 

チャック・ノリスの出世作をWOWOWオンデマンドで観ました。

 

 

実は、チャック・ノリスの主演映画、初めて観ます。シリーズ3作を一挙放送。配信でチャック・ノリス主演映画があまりないので、ありがたいです。

 

1976年から7年間収監されていたベトナム捕虜収容所から脱出したベトナム戦争の英雄ブラドック大佐(チャック・ノリス)が未だ捕虜収容所に収監されている米軍捕虜を救出しに行くアクション映画となっております。元々はブラドック大佐自身が捕虜収容所から脱出するストーリーが1作目だったようですが、続編として製作していた本作の方を1作目に差し替えたという経緯があるようです。

 

時は1984年、自分以外にも"MIA(戦闘中行方不明)"とされる米軍兵がまだベトナムに残されていると訴えるブラドック大佐ですが、決定的な証拠がなく米国政府は及び腰の対応をしています。上院議員と一緒にベトナム入りしますが、ベトナム軍の将軍は米軍兵捕虜収容の事実はなく、逆にブラドック大佐を戦争犯罪人として訴えると言い出す始末。さらに、ベトナム軍将校の中に、かつて仲間を殺して自身も痛めつけられた収容所のボスを発見。話し合いじゃなく、自分の力で救い出すしかないと決意するブラドック大佐。

 

さっそく、夜にホテルを脱出して将軍宅に侵入、捕虜収容所の場所を聞き出して抵抗する将軍を暗殺、すぐさまホテルに戻って議員秘書のベッドに潜り込んで、アリバイ作りに成功。とはいえ、一番怪しいヤツには間違いないので国外追放されたブラドック大佐は、隣国タイにいる昔の戦友タック(M・エメット・ウォルシュ)の力を借りて、船と武器を調達してタイからベトナム入りして救出する作戦を敢行。ベトナム軍将校はタイに2人の殺し屋を送り込みますが、ブラドック大佐に返り討ちに遭って、自分もあっさりぶっ殺されます。

 

いよいよ捕虜収容所にたどり着いたブラドック大佐。しかし、捕虜収容所はもぬけの殻でベトナム軍は米軍捕虜たちを移送中。後を追うブラドック大佐はバズーカで船を撃沈されてしまいますが、無邪気に喜んでいるベトナム軍たちの前に川からヌルっと顔を出して全員抹殺、さらなる追撃を戦友タックの自らの命を犠牲にするサポートで切り抜けたブラドック大佐はようやく4名の捕虜と対面してヘリに乗せて脱出に成功、最後は偽りの和平会見をしようとしているサイゴンにヘリを着陸させて、捕虜と一緒に会見場に乗り込んで終わりました。

 

バタバタと人が死んでいく大味なアクション映画で、ようやく見つけた4人の米軍捕虜も脱出中に殺されてしまうのではと心配しましたが、捕虜たちは1人も殺されず、無事脱出してくれてホッとしました。実際に弟がベトナムで戦死したチャック・ノリスの想いが伝わる念願の映画化作品だったようです。ブラドック大佐に「国に帰ろう」と言われて「本当か」と言葉を返す半信半疑の疲弊した捕虜とのやりとりのシーンには熱いモノを感じました。

 

公開週の興行成績1位となるこの映画のヒットにより、チャック・ノリスの快進撃が始まりました。監督のジョセフ・ジトーは同年の「13日の金曜日 完結編」(1984)、翌年のチャック・ノリス主演「地獄のコマンド」(1985)でも公開週のランキング1位を達成しています。劇中で「スパイダーマン」のアニメをチャック・ノリスが見ているシーンがありましたが、IMDBトリビアによると、当時、製作会社キャノン・フィルムズがマーベルから権利を買い取っていて、スパイダーマンファンのジョセフ・ジトー監督で実写映画化する構想があったそうです。それと、後のアクションスターとなるジャン=クロード・ヴァン・ダムがスタントマンとして参加しているのも有名なエピソードのようです。