「混血児リカ ひとりゆくさすらい旅」(1973)

 

青森の三沢でリカが暴れる続編を観ました。初見。

 

 

監督は中平康。予告編はコチラ

 

リカの親友花子の使いで横浜にやって来た女が「花子が青森の三沢で狂人になっている」と伝えた瞬間、何者かに拳銃で脳天を撃ち抜かれて死亡返り血を浴びたリカ(青木リカ)射殺犯を退治してから、さっそく三沢へ向かいます。列車での道中、尾行する男がチラホラ。とりあえず、横浜駅白河駅のホームでそれぞれ男を線路に突き落として殺害。前作でも電車に飛び込んで自殺するシーンがあったので、たった2作で計3人が電車に轢かれて死亡することに。で、三沢駅に着いて、たまたま出会ったチビッ子から、父の乗っていた貨物船が爆発して行方不明になった話を聞くリカ。あるクラブで歌手のカズミと知り合って、花子も歌手として働いていたことも聞き出します。貨物船が沈没した当日、花子はその船に乗っていたようです。夜、貨物船の機関長らしき男がストッキングを被ったチンピラ集団に追われるところに遭遇するリカとカズミですが、機関長は殺害されて、残された死体は首だけになっていました。

 

やがて、精神病院で入院中の花子に面会に行くと、どうやら花子は貨物船を沈没させた犯人を恐れて、狂人のフリをしてる様子。リカたちはそれに気づきません。その後、二人は外人たちに襲われますが、カズミが女装した男だったことでドン引きした外人が逃げ出します。クエスチョンマークが変化して、棒と玉が付いてましたというテロップを使った遊びも駆使して、演出も快調。やがて、外人を使った麻薬取引で暴利をむさぼっている田中という黒幕が登場。貨物船に麻薬を運んでいたことがバレそうになったので沈没させて、島村組のヤクザに生き残った貨物船クルーを殺させていた事実が発覚。警察官(藤木孝)も田中とグルでした。クラブで田中たち一味と貨物船クルーたちが乱闘を始めると、なぜかリカがステージに上がって持ち歌を歌い始めます。その後、田中の犯罪現場を張り込んでいた刑事も殺されて、リカも島村組に捕まって、リカを助けようとした謎の男(峰岸隆之介)と共に拉致されて、大ピンチとなったリカは・・・というのが大まかなあらすじ。


劇場公開は1973年4月7日。同時上映は「高校生無頼控 突きのムラマサ」。二本立ての穴埋めをしていくためにシリーズで数本作る予定だったんでしょうか。前作以上に異常に速いテンポで話が展開します。場面が変わるたびに誰かが誰かに襲いかかるので、観ていて飽きません。相手が殺し屋だろうと、銃を持っていようと、たいてい無傷で勝ってしまうリカの強さは健在。ラスボスを崖に追い詰めて射殺崖から落ちて一件落着。愛車ハーレーに乗ってどこかへ去っていくラストは前作と同じ。緻密なストーリーテリングは放棄して、勢いのみで畳みかける脚本・演出(前作と同じ)にわざとしているんだなと痛感。これはこれで職人技です。ハダカの露出は前作よりかなり抑えめ。リカが出向いた先で騒動に巻き込まれる構成は、主人公が歌うところも含めて、日活の渡り鳥シリーズを思わせます。前作になかったのはコミカルな要素を加わったたこと。青森でのロケ映像もふんだんで、大量の燕が舞うシーンは壮観。

 

出演者は準主役で峰岸隆之介(峰岸徹)。実は刑事であり、警察署長(といえば、鈴木瑞穂)の依頼でリカを救う役割だったことが判明。リカとのキスシーンもあり。島村組二代目の女親分役の浜かおるという人は目のパッチリした美人さん。田中の極悪非道さを知って、最後はリカの味方となって戦います。一番目立っていたのは、警察官役の藤木孝。ラスボスの田中に見捨てられて、パンツ一丁でムチで叩かれて命乞いしたにも関わらず、田中の愛人に射殺されてしまいます。他に、クラブで悪酔いして暴れる流れ者役で鈴木やすし。ヤクザの親分役でちょっと出演する殿山泰司は脚本の新藤兼人とのつながりでしょうか。他にチビッ子役の子がどこかで見た記憶があるなと思ったら、初代あばれはっちゃくの吉田友紀でした。失速するかと思ったら、2作目の方が面白かったのがオドロキ。吉村公三郎に監督が代わったシリーズ最終作もいずれ観てみたいです。