邦画斜陽期にヤケクソで作ったスケバン映画を観ました。初見。
監督は中平康。予告編はコチラ。
朝鮮戦争時代に米兵に襲われて妊娠した女子高生が産んだのが青木リカ(青木リカ)。純真だった女子高生の頃に、母を愛人に囲う成金野郎に自身も襲われて無理矢理処女を卒業させられて、高校は卒業できないまま、地元では有名な不良となっていきます。ヤクザとのケンカでおっさんを殺害して、少年鑑別所入り。同部屋のスケバン"夜桜の令子"とも対等にやり合うリカは早々に脱走に成功。その間に不良仲間がヤクザに全員強姦されたので、ヤクザの立花組に単身で怒鳴り込みに行きます。不良仲間がベトナムに慰安婦として売り飛ばされたり、度胸を買われてボスに気に入られて、立花組が経営するバーでなぜかダンサー歌手デビューをしたり、組と対立したところを一匹狼の鉄に助けられたり、組のチンピラを誘惑して右腕を斬り落としたり、結局、ボスをドスでぶち殺したりして、また鑑別所戻り。
とにかく、5分に1回くらいのペースでデタラメに話が進んでいく中、リカは鑑別所の優しい沼田先生(津嘉山正種)にひそかに恋心を持っている描写があったりしながら、因縁のライバル令子と戦っている時に、別の先生を過失で殺害してしまいます。で、また脱走したリカは、先に脱走した令子を追ってる時に、波止場でまた一匹狼の鉄と再会。立花組のバックにいる大阪組と戦うつもりでいる鉄と共同戦線を張ったリカ。その後、令子から呼び出しを受けて決闘する直前に大阪組に捕われるも、鉄に救出されて愛し合う二人。その頃、リカの母は麻薬中毒と梅毒でスラム街で廃人になっていて、母にかつての愛人を殺させたりもしてるうちに、最後は、リカと鉄が大阪組のアジトに乗り込んで、囚われていた令子と共に大乱闘を繰り広げて・・・というのが大まかなあらすじ。
劇場公開は1972年11月26日。梵天太郎の原作漫画の映画化。東宝の配給で、同時上映は「高校生無頼控」。なかなかのカルト映画でした。監督は中平康、脚本は新藤兼人という文芸寄りの作品を発表してもおかしくない布陣、お上品な東宝でバイオレンス、ヌードありのスケバン路線を作ったのは、全体的な興行不振による商業的要請によるものだとか。次から次へと物騒な出来事が起きる展開は他に類を見ない目まぐるしさ。出産間近の女性が病院を脱走。ヤクザにムリヤリ孕まされた子を産みたくないと海辺で泣き喚いてるところにリカが現れます。女は出産後に死亡。死産した赤ちゃんをリカがカゴに入れてヤクザに届けるというバイオレントなオープニング。そこからリカの出生秘話紹介コーナーがあって、一緒に暮らしていた祖母が真っ青な顔で死ぬと、リカの母は不幸まっしぐらの人生が続きます。一方、ヤクザにも物怖じしない女に成長したリカは、叱咤激励のテロップが出るラストまでずっと暴れまくります。
主役&挿入歌を担当したのは、3,000人の応募者から選ばれて、本作の役名を芸名としてデビューした青木リカ。セリフ棒読みのぶっきらぼうさが、映画全体の殺伐としたテイストと妙にマッチ。アクションシーンでは運動神経の良さを感じます。この後、2作目、3作目と主演して以降は目立った活躍はされなかった模様。脇を固めるキャスティングがいかんせん地味で、ハダカは盛りだくさんだけど、映画自体に華がないのは残念。リカの母役に今井和子、鑑別所でリカの良き理解者となる先生役に津嘉山正種(声が若い)、脱走仲間の子と米兵が落ち合う部屋を貸している老婆役に初井言栄、悪の黒幕である中国人ボス役に内田良平といったところ以外は知らない人ばっかり。とはいえ、エロとバイオレンスを可能な限り凝縮したジェットコースタームービーとしては、一見の価値ありの作品でございました。


