「あぁベリンダ」(2023)

 

CM撮影中にCMキャラから戻れなくなった女優の映画をNETFLIXで観ました。

 

 

監督はデニズ・ヨルルマズル。予告編はコチラ

 

ドラマやCM等で活躍中の人気女優ディララ(ネスリハン・アタギュル)。気が乗らないシャンプーのCM撮影中に異変が起きます。馴れ馴れしい夫役の俳優気分を害しながらシャワーシーンを撮っていると、撮影スタジオではなく、急に誰かの家のバスルームでシャワーをしていたディララ。隣の部屋に行くと、夫役の俳優が夫のような態度で接してきます。子役の姉弟自分の子供であるかのように家にいます。慌てて家を飛び出して、男優をしてる彼氏の家を訪ねると、彼氏を寝取ろうとしていたライバル女優が家にいて、彼氏からも「どなたさんですか」と言われて追い出されます。業界人仲間といつも飲んでいるバーに駆け込んで状況を説明しても、あんた誰ですかという対応をされるに及んで、自分が異世界に迷い込んだことを把握します。

 

どうやら、「ベリンダ」というシャンプーのCMで演じていた、夫1人と姉弟の子供と暮らす、共働きのママのハンダンというキャラになってしまっていたようです。夫の妹のダンナが勤めている同じ銀行に働いていて、不倫関係にあることも知ったディララ。さらに、銀行の金を横領して持ち逃げして一緒に暮らそうと話している事実も発覚。病院の精神科に行って、異常な状況を訴えますが、聞く耳を持ってもらえず、しばらく入院させらます。ハンダンという女に成り切るしかないと半分あきらめて演じ切るようになったディララ。一方で女優魂が消えないディララは、本来なら彼氏のはずの男を訪ねて(スケベ野郎なのでベッドを共にします)、舞台オーディションのチャンスをゲット。舞台デビューの機会を得ることになって、母親業も板についてきたディララですが、銀行の横領がバレそうになって警察に追われるようにもなってしまい・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Aaahh Belinda」。1986年に作られた同名映画のリメイクとのこと。たぶん、トルコでは有名な作品で、トルコ人向けに作られたコメディなんだと思われます。精神病院に入院となった主人公が、同じく入院中の患者から、この世はメタバースなんだからこの世界でのキャラを演じなきゃいけない的なことを言われるシーンがあるので、多少は現代風にアレンジされてそうです。慣れない主婦業や、母親業、堅気の銀行職員をすることによるドタバタもそれほど面白くなく、現実世界への戻り方もかなり強引です。いったんは異世界での人物像を演じ切ることに決めて、いろいろと騒動があってから突然、元の世界に戻ってきたら、カットの声が掛かってCM撮影は無事終わりましたとさというエンディング。異世界で起きたエピソードの全ては、女優であるディララが慣れないキャラの役作りをしている妄想シーンだったのではとも感じ取れる構造になっていて、ちょっとだけなるほどなと思わせてくれます。私からの感想は以上です。というぐらい、あまり印象に残らないコメディでした。