「プロジェクトS」(1993)

 

「ポリス・ストーリー3」のスピンオフを観ました。初見。

 

 

監督はスタンリー・トン。英語版の予告編はコチラ。今週はミシェル・ヨー強化週間です。

 

中国国家保安局のエースであるヤン(ミシェル・ヨー)過激派の人質監禁現場に潜入して、仲間と共に事件を解決。同僚には恋人フェン(ユー・ロングァン)もいます。どちらも優秀な腕前の持ち主。ラブラブな二人ですが、戦争の英雄でありながら薄給に甘んじている現状を嘆くフェンが、一獲千金を狙って香港へ亡命すると言い出したのでケンカ別れ。それでもフェンを忘れられないヤンは仕事を抜け出して駅に向かうも、香港へ向かう列車が出てしまって、別れの言葉を言えずじまい。そして、半年後の香港。中国からの亡命者による犯罪組織が大企業向け警備システムの設計図を盗む事件の捜査協力を要請された中国国家保安局はヤンを香港に送り込みます。香港警察側の相棒は、ビル警部(トン・ピョウ)の甥っ子でもあるミン(エミール・チョウ)。凛としたヤンに一目惚れしたのを同居してる妹メイ(アテナ・チュー)に見破られて、必死に口説けとけしかけられます。

 

妹メイの婚約者でもあるルン刑事(ルイス・ファン)とヤンを連れて、犯罪組織のアジトに突入するミン。犯罪組織のリーダーは、軍隊時代の戦友とチームを組んだフェンでした。銃撃戦の最中、先にヤンの姿を見かけたフェンは身元がバレないように逃走。女性だと侮っていたヤンの格闘能力をまざまざと見せつけられて驚くミン。翌日、素知らぬ顔でヤンと再会して、元サヤに戻ろうとするフェン。ビジネスで成功していると偽って、近いうちにアメリカに移住しようと語ります。犯罪に手を染めていても、ヤンへの愛は本物です。仲良くしてる二人を見てヤキモチを焼くミン。一方で、銀行襲撃計画を着々と進行するフェイ。ただ、アジト潜入時に捕まった仲間を脱走させた際、犯罪組織のリーダーであることが警察にもヤンにもバレてしまいます。好きな男と戦う立場になったヤン。やがて、犯罪計画が実行されますが、組織内の裏切りが発生して・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「超級警察2 超級計画」。DVD化されてないみたい。「ポリス・ストーリー3」で大活躍したヤンを主役にして、中国人亡命者の犯罪組織逮捕の手伝いに香港にやってきたら、元カレがリーダーでしたという恋愛エピソード付きのアクション物になってました。この頃は中国本土の方が貧しく、自由を求めて香港にやってくる時代でした。今では香港に自由がなくなって、ジャッキーも中国の手先みたいに言われてしまって・・・いうことはさておき、悪人になってしまった元カレへの思いよりも、正義を貫くことを優先して闘う女をミシェル・ヨーが演じています。本土ではずっと制服姿だったヤンが、元カレにプレゼントされた一張羅の白いドレスと帽子を着て香港にやって来たり、再会して元カレの腕に抱かれるいじらしいシーンもあり。銀行襲撃成功後、フェンは最初から大金を独り占めするつもりだった首謀者の裏切りに気づくも、時すでに遅し。なんとかフェンを逮捕して更生させようとするヤンの思いもむなしく、哀しい別れを迎えます。

 

過激派籠城からの要人救出アジト突入からの銃撃戦、銀行襲撃からの追跡等の見せ場となる犯行シーンを細かいカット割りと体を張ったスタントで見せるアクション演出の手腕は確か。地下鉄で爆破が起きた後、大洪水になるクライマックスはちょいハデ。全体としては、手堅い作りのアクション映画に仕上がっていました。フェンの軍隊仲間の一人で「プロジェクトA」のラスボス役だったディック・ウェイが出演。それと、宝石強盗(エリック・ツァン)と格闘する女装刑事役でジャッキー・チェンも友情出演。本編と関係ないミニコントとして映画の中盤に挿入されます。あと、歌手でもあるエミール・チョウが歌うチャゲアスの「男と女」のカバー曲が流れたり、香港映画で活躍した大島由加里(別名シンシア・ラスター)が過激派一味の一人で出演してたりもします。