「仁義なき戦い 総集篇」(1980)

 

実録ヤクザ映画の名作シリーズの総集篇をAmazonプライムビデオで観ました。

 

 

監督は深作欣二。5部作を3時間43分にまとめたダイジェスト版。各作品の予告編はコチラ

 

今日は「仁義なき戦い」が公開されてからちょうど50年目の記念すべき日。ちなみに、1973年1月13日にはスピルバーグの傑作「激突!」やキャロル・リードの秀作「フォロー・ミー」も公開されたようです。ということで、以前買ったブルーレイBOXにも収録されている総集篇を久々に観ました。この総集篇が公開されたのは、1980年4月5日。日本暴力団抗争史上屈指の「広島ヤクザ抗争事件」で起きたさまざまなエピソードを駆け足で紹介しているだけなので、シリーズの魅力である群像劇の面白さを堪能したい人は1作ずつ観るのがオススメ。この総集篇はざっくりと抗争の流れを知りたい人や、何度もシリーズを観てる人向けといったところでしょうか。

 

昭和21年の広島県呉市。復員してヒマを持て余していた広能昌三(菅原文太)は、闇市付近で起きた争いごとで土建屋山守組の子分たちの助っ人を買って出たことがキッカケで仲間となります。老獪な山守義雄(金子信雄)を親分とする山守組は血気盛んなギラついた組員たちの力で一大勢力を築くものの、権力の拡大と同時に内部分裂が勃発。組員同士の覇権争いは、地元広島のヤクザだけでなく、全国制覇を展開する明石組などの外部勢力を巻き込んだ一大抗争に発展。昔の仲間や捨て駒にされた若者達が次々と死んでいくなか、広能自身もその激しい波に揉まれていきます。肥大化した暴力闘争に警察も本格的な壊滅運動を開始。こうして、多くの犠牲者を生んだ血で血を洗う争いは約20年にも及んでいくのであった・・・というのが大まかなあらすじ。

 

山守組の隆盛と内部分裂を描く「仁義なき戦い」第1部で1時間ちょっと、広島市vs呉市の勢力争いとなる「広島死闘篇」が1時間弱、休憩をはさんで、権力争いがドロ沼化した「代理戦争」は50分ちょっと、ようやく警察が介入してくる「頂上作戦」を50分ちょっと、で、「完結篇」からは最後のナレーションの締めのフレーズが使われている程度。実質的には、笠原和夫が脚本を担当した4部作でほとんどが構成されている内容です。ナレーターは酒井哲(1981年に54才で亡くなられている)ではなく、第1部のナレーションを担当した小池朝雄で、一部を総集篇用に録音し直した模様。ちなみに、最後のナレーションは以下の通り。

 

『こうして、広島抗争事件は死者17人、負傷者26人、逮捕者約1,500人を出しながら、なんら実りなき終焉を迎え、ヤクザ集団の暴力は市民社会の秩序の中に埋没していったのである。戦後の混乱期、広能がヤクザ社会に身を投じてからすでに20数年。歳月の流れはさまざまな組織を生み続け、組織はまた次々に戦いの種をまき続けて、そして、多くの若者たちの血が流されたのである。人間の社会から弱肉強食の戦いが絶えるのは、果たしていつのことであろうか?』

 

 

当時の新聞広告に記載されている小松方正と遠藤辰雄は第1部には出演してませんね。