「続 網走番外地」(1965)

 

高倉健主演ヒットシリーズ第二弾をU-NEXTで観ました。初見。

 

 

監督は石井輝男。予告編はコチラ

 

冒頭、函館の銀行で宝石を強奪する事件が発生。時を同じくして、網走刑務所を出所した橘真一(高倉健)が本州青森に向かうべく、函館港にいました。出迎えに来た舎弟の大槻(アイ・ジョージ)が同行中。青函連絡船には、別の殺人を自供して網走刑務所を一時的に出て、殺害現場の郡山に刑務官(関山耕司)同行で実況見分をしに行く桐川(田中邦衛)、なにかと橘に絡んでくる女スリのユミ(瑳峨三智子)置き引き常習犯(潮健児)スネーク路子(三原葉子)率いるストリッパー一座、そして、強奪した宝石の運び屋(室田日出男)の一行が同乗していました。船内で起きたトラブルのどさくさで運び屋が落としたマリモを1個くすねた大槻。このマリモがキッカケで、のちに大騒動が起きます。下船してすぐ、別れたユミに全財産を掏られたことに気づく橘と大槻。

 

青森で一文無しになった二人は、橘がパンティーの露天商に、大槻がいざり乞食になって日銭を稼ぎます。そこにマリモを取り返しに来た運び屋。マリモに強奪した宝石が入っているのを見つけた橘。警察に通報しようとするも、「もう手遅れよ」と突如ユミが現れます。運び屋の1人を橘、大槻、ユミが殺したという記事が新聞に載ってるではありませんか。で、列車でトンズラを図る三人の前に殺し屋吉村(中谷一郎)が登場、マリモをよこせと脅迫。途中停車したスキを突いてマリモをホームの弁当売りに渡す橘。次の列車に乗っていたスネーク路子が弁当売りからマリモを譲ってもらったことで、今度はストリッパー一座を追う運び屋たち。その後、宝石強奪を指揮したヤクザのボス依田(安部徹)、賭場で再会した網走仲間の鬼寅(嵐寛寿郎)も絡んでの大乱闘となって・・・というのが大まかなあらすじ。

 

1965年7月10日。同時上映は鶴田浩二主演「関東やくざ者」。前作の好評を受けて急遽作られた続編。モノクロからカラーになったものの、準備期間も撮影期間も短かったのがバレバレのザツな作り。前作の人物設定を引き継いでる箇所と違う箇所が混在するいい加減さ。ツギハギだらけのゴッタ煮感がカオスな面白さを生み出しています。網走番外地の番外編といった趣き。シャバが舞台になっているため、女っ気があるのも良いですね。なにより、おっさんどもが1個のマリモを奪い合うくだらなさがたまりません。ゆるいロードムービーとしていろんな景色を楽しめる面もあり、特に、クライマックスの夜祭りでの決闘シーンはフォトジェニック。配給収入では年間7位のヒットになったみたいです。

 

健さんが他の石井輝男映画での吉田輝雄の役回りになっていて、周囲の人たちが映画を賑やかにしています。女性陣では、作り物みたいな顔をしている瑳峨三智子のヒロインより、温泉場でも賭場でも脱ぎっぷりが健在の三原葉子の方が目立ちます。健さんの舎弟役アイ・ジョージは、人気歌手だったことを知らないと、なぜに準主役級の立ち位置にいるのかが分からないくらい、華を感じません。田中邦衛が細かな笑いを取って序盤で退場、終盤から急にアラカンが出てきて健さんを助ける見せ場あり。トルコ風呂を経営する悪玉の依田役に安部徹。網走刑務所時代の橘のルームメイトでもあります。他には、青森の親分役に由利徹、路子の夫役に大坂志郎地元の賭場の親分役の沢彰謙は、前作に続いてのイヤな役どころ。東映一筋の名脇役、"さわあきよし"と読むことを初めて知りました。