ナイトクラブ経営者の悲哀を描いた映画をU-NEXTで観た。
監督はジョン・カサヴェテス。予告編はコチラ。
舞台はLAの外れ。小さくてもソコソコ繁盛しているナイトクラブ『クレイジー・ホース・ウエスト』を経営するコズモ(ベン・キャザラ)。店の借金を完済、ようやく正真正銘の一国一城の主になって、気分上々。従業員や踊り子たちにつまらないオヤジギャグを言うおっさんですが、皆から愛されてはいるようです。これからの門出を祝ってハデに盛り上がるぞと意気込んだコズモは、踊り子数人を引き連れてリムジンに乗り込んでカジノに出かけます。案の定カモられてカジノに数万ドルの借金をしてしまうコズモ。金策に困ったコズモに、カジノを経営してるマフィアから「ある中国人を始末したら借金は帳消しにするよ」という甘い誘いが。マフィアの執拗な取り立てに耐えられず、ついに殺しの依頼を受けるコズモ。慣れない殺人をなんとか実行するコズモですが、殺した中国人は西海岸を支配するギャングのボスであったことが分かって・・・というのが大まかなあらすじ。
日本だと、ヤクザに脅されて崩れていくキャバクラ店長みたいな話。日本初公開時に観て以来。フィルムノワール的世界を描いているものの、カサヴェテスの関心は、自分が経営するナイトクラブこそが人生の全てだと行動するコズモの心情に集中しています。インディーズ映画に情熱を注ぎ込む自身の想いに重ねているそうです。といった、作り手の背景を知ったうえで観ないと退屈に感じるだけかも。ベン・キャザラ演じるコズモの、だらしなくてスキだらけの人物像が愛らしく、彼を密着取材したノンフィクションを観ているよう。やっと借金を完済したのに見栄を張ったばっかりにすぐ借金地獄に戻ってしまうダメダメさとか、これから中国人を暗殺に行く道中でも、ナイトクラブのショー構成が気になってチャイナタウンから店に電話をかけるミョーな熱心さとか。
コズモ自身が作・演出しているというショーのとんでもなくつまらなさそうなところもたまらないです。ミスター・ソフィスティケーション(ミスター伊達男)と呼ばれるくたびれたMCのじいさんがしょーもない漫談や歌で繋ぎながら、トップレスの踊り子がグダグダと絡む場末感満載のショー構成。店名を勝手に拝借した、パリにある名門ナイトクラブ『クレイジー・ホース』とは段違いのクオリティ。ちなみに、コズモが愛する黒人ダンサー(アジジ・ジョハリ)はデヴィッド・ボウイの当時の恋人で、撮影中にしゅっちょうボウイも顔を出していたとか。IMDBトリビアによると、マーティン・スコセッシとの会話の中で構想された作品だったようです。まあ、結果的には、主人公の内面をじっくりと見つめる、いつものカサヴェテス映画でございました。

