「クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち」(2011)

 

パリの老舗ナイトクラブの裏側に迫ったドキュメンタリーをWOWOWオンデマンドで観ました。

 

 

監督はドキュメンタリーの巨匠フレデリック・ワイズマン。予告編はコチラ

 

おフランスのパリで1951年から営業している有数のナイトクラブ。著名人も多数来店する観光スポット。ウリは女性のヌードショー。それも芸術性を伴ったパフォーマンスである点がミソ。アートだからという理由でインテリのおっさんも見に来やすい理屈があります。選りすぐりのボディラインのオトナの女性たちが、照明をうまく使った幻想的な舞台でトップクラスのトップレスなダンスを披露してるっていうんですから、一度はナマで見てみたいですね。たしかに、だらしない体のお姉さんは一人もいませんでした。海外版の予告編の方がハダカ多め。

 

踊り子、演出家、衣装デザイナー、裏方のスタッフ、幕間の芸人、店のオーナー、それぞれのプロがプロらしく仕事をしている日常を切り取っています。労働環境のダメな点を責任者に訴える姿などはどこの職場にもある風景。舞台監督をしているフィリップ・ドゥクフレは有名なアーティストのようです。一つ一つが洗練されたショーなので、ほぼ突っ込みの余地がないステージパフォーマンスなんだろうなあと容易に推測できましたが、ダンサー自身がレコーディングしている歌声だけは素人丸出しでちょっとどうかと思いました。実際の店舗は、昨年、コロナ禍でいったん休業していたものの、秋から通常の夜営業を昼営業に変更して一時的に再開したようですが・・・、現在は臨時休業中のようです。

 

監督はフレデリック・ワイズマン。社会性の高い、さまざまなテーマの長尺ドキュメンタリーを撮っている大物。恥ずかしながら、ワイズマンの映画をまだ1本も観たことがありません。3時間以上の映画が多い中、今作は2時間ちょっとなので、観やすいです。なにせ、こちらには観たくてたまらない下心もありましたので。撮影期間が合計10日間程度だったらしく、ちょっとした記録映像レベルにとどまっていて、何らかのテーマをじっくりと深掘りした内容にまではなっていませんでした。ナレーションやテロップ、BGM、インタビューといった装飾を一切排除して、撮影した素材そのものを提示して受け手に感じてもらおうとするスタンスは、この監督の作風のようです。いずれ、他の傑作群も観てみようと思いました。