東映集団抗争時代劇の1本をAmazonプライムビデオで観ました。
監督は工藤栄一。予告編はありません。
江戸時代の末期。狩猟中に館林藩主の松平斉厚(菅貫太郎)が隣の忍藩領内につい侵入して、罪のない老人を殺してしまいます。たまたま近くにいた忍藩主の阿部正由(穂高稔)が駆け寄って、暴挙をたしなめると斉厚が逆ギレ。正由の右目を弓矢で射貫いて逃亡。正由はやがて死亡します。忍藩家老の榊原帯刀(南原宏冶)は老中水野越前守(佐藤慶)に訴状を提出。ところが、斉厚は将軍の弟であるがゆえ、罪をもみ消したい幕府側は非があるのは正由で、忍藩は即刻取り潰しという裁定を下します。家老榊原はせめてもの計らいとして、藩取り潰しのお達しまでの数ヶ月の猶予を申し入れ。部下たちが謀反を起こさないように、なだめるための時間が欲しいという願いが通ります。しかし、榊原はその猶予期間のうちに主君の仇を討つ準備を進めます。親友で忍藩番頭の仙石隼人(夏八木勲)に斉厚暗殺を依頼。引き受ければ死を免れないと知りつつ、仙谷は任務を承諾。まずは脱藩して、忍藩と関係のない素浪人の立場で暗殺隊のメンバー集めを開始。榊原との連絡役となった藤堂、独断で斉厚襲撃を企んでいた三田村(里見浩太郎)を含めた7人、金庫番として勘定方の市橋(汐路章)をメンバーに加えます。
10人は斉厚が参勤交代のために滞在する江戸に潜伏。その間に、ひょんなことで知り合った反骨の浪人井戸(西村晃)も暗殺隊に加入。おしどり夫婦だった仙谷は貞淑な妻織江(宮園純子)を捨てて、死んだ兄の代わりに暗殺隊に加わったぬい(大川栄子)を駆け落ち相手と称して、江戸で浪人生活を送っていました。仙石の不貞行為に激怒した義弟喬之助(近藤正臣)はその体たらくに絶望。単独で斉厚を襲撃するも、返り討ちに遭って死亡。上京した織江はぬいから真相を聞いて、夫の悲願達成を陰ながら祈ることを決意。自身の存在が計画の妨げになると察して自害します。喬之助の襲撃を受けて、警戒を強める館林藩陣営。バカ殿の対応に手を焼いている家老の秋吉刑部(大友柳太朗)は幕府老中水野と示し合わせて、隠密作戦を決行。水野が榊原に忍藩存続の可能性をちらつかせて暗殺の動きを中断させたスキを突いて、大名行列の日程を予定より早めて、江戸から館林までを1日で戻り切ってしまおうとします。日光街道の森の中で斉厚暗殺の準備を進めていた11人の暗殺隊でしたが、斉厚一行が通り過ぎる直前に計画中止を命じられて・・・というのが大まかなあらすじ。
劇場公開は1967年12月16日。同時上映は「わが恐喝の人生」。集団抗争時代劇の傑作「十三人の刺客」(1963)に続けとばかりに作られた仇討ち秘話。仇討ちの真意を近しい人にも黙して語れないジレンマの部分には『忠臣蔵』マインドもブレンドされてます。100分という尺のため、登場人物のそれぞれの背景の掘り下げが足りないのは致し方なし。役者陣の小粒感も否めず。ただ、死を賭して任務を遂行する夏八木勲の精悍な顔つきは信頼度大。ラブラブだった夫の宿命を受け入れる宮園純子の清らかな表情を強調した演出にしているのも情感たっぷり。兄の無念を晴らすために暗殺隊に加わる大川栄子のひたむきさも地味ながら輝いてました。東映の脇役でおなじみの有川正治と岩尾正隆も果敢に散っていく暗殺隊の一員なのに、ポスターのクレジットにも入っていないのは残念。西村晃や南原宏冶といった悪役キャスト寄りの人たちが正義を果たす側にいるのも面白いです。特筆すべきは、斉厚一行を待ち構える森林のシーンでのモノクロ映像で、光と影のコントラストを生かした美しさは絶品の一言。
で、結末はというと・・・、準備していた作戦がご破算になって、シュンとしていた暗殺隊のところに家老榊原が馬に乗って駆けつけてきます。すでに腹を斬っていた榊原は、改めて藩の取り潰しが決まったことを報告。水野の企みを見抜けなかった落ち度を詫びて息絶えます。「こうなったら、斉厚を追っかけてとにかく殺すぞ」というド直球の作戦を語る仙谷に全員が賛同して、過ぎ去っていた斉厚一行の後を追います。大雨だから近くの空き家でひと休みしようとバカ殿がワガママを通したことで、彼らに追いついた暗殺隊。最初の3人が捨て駒として50人近くでバカ殿を警護している空き家を襲撃して、場が混乱したところを二の矢が襲撃。逃げる斉厚を農家の裏手に追い込むと、なんとか生き延びた仙谷が立ちはだかる秋吉刑部を始末。斉厚を納屋に追い詰めて、外に出たところをバッサリ。そこに、まだ死んでなかった秋吉刑部が現れて、仙谷と相討ち。たった1人生き残った浪人井戸が斉厚の首を斬り取って去って行く姿と、藩取り潰しの裁定が白紙になったテロップを映して、映画は虚しく終わります。













