勝新が初監督に挑戦した刑事映画をAmazonプライムビデオで観ました。初見。
製作・監督・脚本・主演は勝新太郎。予告編はありません。
暴力団の取締り強化を図っている大阪府警。大阪では、政治家をバックに持つ大淀組と新興の入江組とが中町信用金庫の不正融資をめぐって抗争中で、入江組の組員が大淀組の沢本(蟹江敬三)に理髪店で射殺される事件が発生。事件の報告を受けた捜査四課の立花刑事(勝新太郎)は、後輩の相棒和田(前田吟)とさっそく捜査を開始。といっても、向かった場所は馴染みの赤松(伴淳三郎)が経営するストリップ小屋。客席にいた入江組組員に探りを入れて、彼らが去った後はのんびりとストリップ鑑賞。立花は赤松とはいろいろと貸し借りのある関係で、野球賭博の借金もあったりします。つづいて、大淀組本部に出向いた2人。幹部の杉浦(山崎努)はあっさりと実行犯の沢本を差し出します。しかし、大淀組の尾形組長(山形勲)はその後も介入してくる入江組への報復として、部下が入江組組員2名を白昼の路上で刺殺。捜査本部の会議で西野課長(大滝秀治)に対応を聞かれた立花は、途中で捜査打ち切りにしない度胸が上層部にあるなら自分が捜査を担当すると凄みます。西野のお墨付きをもらった立花は和田と本格捜査に乗り出します。
まずは、不正融資の当事者である中町信用金庫の支店長栗原(藤岡琢也)を直撃。騙し討ちで大淀組撲滅に協力させることに成功すると、今度は大淀組幹部杉浦を強制連行。杉浦は取調べに全く応じないどころか、不敵な笑みを浮かべるばかり。時を同じくして、捜査に協力する予定の栗原支店長が、休日のドライブ中に家族もろとも交通事故(に偽装した殺人)で死亡。大淀組の卑劣なやり口に激怒した立花は杉浦の情婦真由美(太地喜和子)の家をガサ入れ。ついでに真由美を寝取ったぞと杉浦を挑発して、真由美のパンティーを見せびらかすと、2人は外に出て殴り合いの喧嘩をしはじめます。やがて、大淀組の尾形組長が入江組に狙撃される事件が発生しますが、(大淀組の背後にいる大物による)圧力がかかったのか、捜査は突然の打ち切り。お前の行き過ぎた捜査が原因だと責任転嫁する西野課長に警察手帳を投げつけて、立花は姿を消してしまいます。その後も大淀組と入江組の対立はさらに激化。2つの組が殺し合いにまで発展することになったのは、身を隠していた立花の単独行動による作戦で・・・というのが大まかなあらすじ。
劇場公開は1971年8月12日。カツシンの記念すべき初監督作品として、自分のプロダクションで好きなように作れる環境を存分に生かした良し悪しが出ている内容でした。脚本には菊島隆三が参加しているので、「野良犬」(1949)的な刑事のバディ物というのが着想の出発点だったのかも。冒頭の賭場シーンに漂うただならぬ空気は、実際のヤクザが演じているからだとか。ほぼクローズアップだけで画面は構成されていて、ドアップの濫用は映画の最後まで続きます。ストリップ小屋シーンは実際の踊り子さんが出演していて、トルコ風呂シーンも実際の施設で撮影されていて、後半の手打ち式シーンもリアルに再現していてとか、手持ちカメラによるブレも相まって、即興のドキュメンタリー映像を観てるリアルさが大きな見どころ。ストーリーテリングよりも、各シーンをどう奇抜に撮るかにこだわっている感じ。ただ、そのこだわりを眺めているだけで飽きない魅力があるのは間違いないものの、物語を楽しみたい人はそっちのけという印象は否めません。そもそも、勝新太郎演じる主人公のはみ出し刑事に対する人間的魅力をあまり感じません。
主要キャストの山崎努、太地喜和子、伴淳三郎、前田吟、大滝秀治あたりの芸達者たちとカツシンとの絡みがシーン単位で完結していて、物語の核心じゃないところでそれぞれが独立して存在してる感じなのが残念。終盤に出てくる兄の若山富三郎にいたっては共演すらしていません。ラスボスに相当する山形勲をやっつけたとしても、どうでもいいかなと思っちゃったのは私だけでしょうか。鉄砲玉役の蟹江敬三とトルコ嬢役の横山リエは短い出番ながら強い印象を残してました。映画の結末はというと、警察のバッジを捨てた立花はヤクザの撲滅をあきらめたわけではなく、敵対する組員のフリをした電話で2つの組を抗争を煽ります。行方をくらました立花を探していた和田と再会すると、警察側はクビにしてないことを聞いて現場に復帰。2つの組は手打ちしたものの、大淀組の尾形組長に事情聴取の名目で警察への連行をお願いすると、警察には行かずに埋立地に直行して、尾形を車ごと穴に落として生き埋めにする越権行為を見せて幕を閉じます。なにげにトイレのシーンが多い映画でございました。















