「網走番外地 荒野の対決」(1966)

 

ムショ帰りの健さんが牧場の窮地を救うために暴れるシリーズ第5弾をAmazonプライムビデオで観ました。初見。

 

 

監督は石井輝男。予告編はコチラ

 

網走刑務所屁をこいたりしているうちに出所した橘(高倉健)。一緒に出所した樫山(由利徹)とブラブラしてる時に、道南射撃大会が開かれていました。飛び入り参加したは、優勝候補の鮫島(杉浦直樹)を破って見事優勝して、賞品の仔馬をゲット。銃の素人である橘が勝つはずがなく、実は、橘と同時に銃を発射した栗田(田崎潤)が的に命中させていたことが分かります。分け前欲しさに加勢していた栗田が現れると、そのからくりを知った鮫島と殴り合いのケンカ。すぐ仲直りして橘と樫山も交えた4人で酒を交わします。そこに、仔馬を買い取りたいという男(小林稔侍)がやって来て、仔馬を連れたまま行方をくらまします。仔馬は権田牧場にいました。同じ頃に出所していた返町(待田京介)が働く原口牧場に身を寄せた橘は、権田(河津清三郎)が一帯の牧場利権を独り占めにしようとしている悪党であることうぃ聞きます。

 

奪い返した仔馬を花子と名付けて可愛がる橘。しばらくして、権田が原口からセリ市の委員長の座を奪うため、次々と嫌がらせの工作を開始。橘は返町と共に戦って、原口や原口の娘(大原麗子)たちを守ります。権田はその報復として花子を射殺。そして、セリ市開催当日。原口牧場が上場した馬が買われないようにまたも妨害をする権田一味。気づいた橘たちと乱闘に発展する混乱を治めたのが、これまた網走を出所したばかりの鬼寅(嵐寛寿郎)。権田は屈服したかと見せかけて、原口牧場の売却済みの馬を全頭毒殺します。怒りが頂点に達した橘は、同じ思いの鬼寅、返町、樫山、途中で加わった佐竹(谷隼人)の網走帰りの4人と栗田を連れて、祝杯を上げている権田牧場に乗り込んでいきます。しかし、権田の用心棒となっていた鮫島が彼らの前に立ちはだかって・・・というのが大まかなあらすじ。

 

劇場公開は1966年4月23日。同時上映は北島サブちゃん主演の「兄弟仁義」。網走刑務所の描写が少しあってから、シャバに出た健さんが縁のある牧場を守るために、極悪なライバル牧場と戦うお話。田中邦衛は刑務所シーンのみの出演でお役御免。あと、この年に東映入りした谷隼人が新人としてシリーズ初参戦。本作では健さんにまとわりつく由利徹がそこそこ活躍します。健さんに色目を使う三原葉子などの女たちを必死で追っ払おうとする健気なオネエ役。射撃の名手として現れる田崎潤の存在理由が謎で、監督とは新東宝時代からの付き合いがあるとか、そんな理由なんでしょうか。クライマックスで馬に乗って討ち入りに来た健さんと敵対することになる杉浦直樹とひと悶着ある場面での主要人物アップ応酬が見どころ。最後は花子の墓参りをしてから去っていく健さんの姿で終わります。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ターン」(2001)

 

交通事故の影響で違う時空に行ってしまった女性のお話をWOWOWオンデマンドで観ました。初見。

 

 

監督は平山秀幸。予告編は見つからず。

 

小学校教師の母(倍賞美津子)と暮らす27才の真希(牧瀬里穂)。まだまだ駆け出しの銅版画作家なので、ようやく画廊に作品を置いてもらえたのが精一杯で、まだ売れた実績もありません。空いた時間には版画教室で地元の子供達に教えたりしてるようです。ある平日、昼寝をしていた居間で目覚めた後、版画教室に車で向かおうとしたところ、交通事故に遭ってしまった真希。ハッと目覚めると、自宅の居間で寝転んでいる自分に気づきます。外の路地に出ても、周囲には誰一人いません。テレビは映らず電話も通じません。しばらくして事故が起きた14時15分になると、また、居間で寝ていた自分に戻ります。どうやら、この世で1人ぼっちになって、同じ日をエンドレスで繰り返すことになってしまったようです。最初こそ外に出かけたりして、1人だけの世界を楽しんでいましたが、次第にモーレツな孤独感が襲ってきます。百数十日が過ぎたある日、急に雨が降り出したと思ったら、鳴らないはずの電話が鳴っているではありませんか。真希はあわてて電話に出ます。

 

受話器からは泉という男性(中村勘太郎)の声が聞こえます。彼が務める出版社から出す本の装丁に画廊で購入した彼女の銅版画を使いたいという問合せの電話をしたようです。この電話が切れたら、一生誰とも連絡が取れないと思った真希は必死で繋ぎ止めます。そして、この電話を切らない約束をして、毎晩20時に話をする取り決めをします。その後、真希の身の上話をたくさん聞いたは真希の母に会いに行きます。直希は交通事故以来、意識不明のまま入院しているとのこと。つまり、泉は別の時空に取り残された真希の意識と交信しているわけです。その夜、真希の母を自宅に呼んで会話をさせますが、お互いの声は聞こえず、真希の声は自分しか聞こえないことを知ります。電話の直希とのやりとりを続けながらもどうすることもできない日々が流れていく中、直希は誰もいないはずの世界に別の男性がいることに気づきます。しかし、その男性とんでもないヤツで、運の悪いことに泉との電話が途切れてしまう事態も生じて・・・というのが大まかなあらすじ。

 

劇場公開は2001年10月13日。原作の北村薫の同名小説は未読。演出面ではアレッという箇所も散見される内容でした。交通事故前に「少し急がなきゃ。」と状況説明セリフをしゃべる主人公。1人ぼっちになる前から、独り言を言うキャラ設定なんでしょうか。たぶん、小説の心理描写を登場人物のセリフにしている気がします。意識を失った娘と交信ができる男が現れる奇跡が起きたわりに、母のリアクションが薄いところにも違和感がありました。電話が途絶える原因もお粗末。ただ、牧瀬里穂の独特な純粋さと中村勘太郎の人の好さそうな雰囲気がとても良くて、時空を超えたデートぎこちなさ微笑ましく、物語の行く末を見届けようという気にさせてくれます。ショートカットで凛としている姿(胸のちょっとした膨らみも)が素晴らしく、ファンタジックな雰囲気にピッタリ。ずっと眠っている主人公の意識が戻らず、別の時空にいる主人公も迷子のままで映画が終わったらブチ切れるところですが、しっかりと優しいエンディング待っていました

 

 

 

 

「レンタル・ファミリー」(2025)

 

ブレンダン・フレイザーが日本でレンタル家族派遣業の仕事をするお話をAmazonプライムビデオで観ました。

 

 

監督はHIKARI。予告編はコチラ

 

東京で一人暮らしをしているアメリカ人フィリップ(ブレンダン・フレイザー)歯磨き粉のCMで少し有名になった過去のある俳優です。現在は端役の外人タレント仕事しかないようで、ある日、家族や友人、恋人を演じる代理サービスを行う『レンタルファミリー』の白人男性役のスタッフとして働く仕事にありつきます。レズビアンの偽装結婚相手を演じる仕事で結婚式場から逃げ出したくなったりしつつも、同僚の愛子(山本真理)に説得されて、なんとか演じ切ったフィリップ引き籠りゲーマーの孤独を紛らわす友人を演じた後、私立中学受験をするミア(ゴーマン・シャノン眞陽)の父親を演じる仕事、認知症を患った名俳優の長谷川菊雄(柄本明)を元気づけるために取材と称して密着インタビューするライターを演じる仕事が舞い込んできます。どちらも相手をする本人の家族に依頼されていて、当人には素性を明かさずに演じ切らなければいけません。友人がいないフィリップは、ニセモノを演じる喜びや不安を馴染みの風俗嬢(安藤玉恵)に語ります。

 

持ち前の誠実な人柄で顧客の心を開いて、少しずつ絆を育んでいくフィリップ。自分に懐くようになったミアと依頼主の母親に無断で連絡を取り合ったことで、クレームを受けた社長(平岳大)から注意を受けたりもします。菊雄からも信頼を得たフィリップは、家族に内緒で生まれ故郷へ2人で行こうと頼まれるも、さすがに断ってしまったため、嫌われてしまいます。やがて、お受験の最終面接を最後にミアと別れた後、ふと考えを改めたフィリップは菊雄を連れ出す旅を決行。しかし、菊雄の願いを叶えて感謝された一方で、旅先で倒れる事態になって警察沙汰にまで発展すると、強制送還されそうになる大ピンチに。そんなフィリップを守ろうとせずに保身に走る社長の態度に激怒した愛子は、代役稼業に嫌気が差したことも相まって、フィリップの窮地を救おうと仕事を投げ出して奔走。で、大胆な解決策でその騒動が収まった後、今度は無事に中学に合格したミアがフィリップがニセの父親だと気づいてしまって・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Rental Family」。演じることで人生を円滑にしようとしている人々の悲喜こもごもを描いた作品。レンタルファミリー業は実在していて、需要もかなりあるんですね。不倫相手の代役を演じさせて謝罪するとか、いくつか登場する仕事内容のチョイスがとてもユニーク。ワケありの依頼者の注文に応じてウソで欺くという倫理的な怪しさも見え隠れするビジネスに外国人スタッフの視点も織り交ぜた企画の面白さが秀逸。デカイ図体で気が優しい人物像がピッタリのブレンダン・フレイザーをはじめとして、脇役にいたるまで行き届いたキャスティングだったことも素晴らしかったです。社長をしている平岳大の役どころにもサプライズ展開があって、ほろ苦さを抱えた人物像の掘り下げもほど良い塩梅だし、リアルな成り行きよりも少しファンタジックなテイストを重視していて、いかにも日本的風景挿入ショットにもそれほど嘘臭さがないし、2時間弱に全てをいい具合に収めた脚本がとても練られていました。