ハードオフ⑩ | レコ屋巡りの夜

レコ屋巡りの夜

塩化ビニール(=レコード)中毒患者のトホホな日々を綴りたいと思います。
オリジナルが欲しいけど高いなら諦めます。

GWに世間は突入した模様(雨だけど)。でも雨だろうが何だろうが、セールがあるなら掘り師はレコ屋へ向かうのであろう。しかしレコ価格高騰+欲しいものが出ない+金欠=今の私は、行く所なんてどこにもないですよ、我が街のHO(ハードオフ)以外には…。

 

オフになったらハードに過ごせと脳内レコ師匠・かまち潤先生も仰られている。車を使えば10分ほどの距離ですが、ガソリン代もやたら高いし、そもそも1枚110円のレコを買うのに金を使うのは嫌だしなといつものチャリンコでGO! 良い歳したオッサンが休日に何をやっているのでしょう?…客観的に見ると、かなり悲しい状況なのであった。

 

強風吹きすさぶ中、チャリを漕ぎ漕ぎ20分、やっと我が街でレコに触れあえる唯一の場所=HOに到着!幹線道路沿いが災いしてか、とにかく通常のレコ棚が全く動かない事でも有名なお店である。

 

さぁさぁさぁ!と店内突入して、真ん前の壁際の一角にあるレコ壁見れば…先週来た時と全く変わっていない(涙)。相変わらずビリー・ジョエルの帯付きが2000円で鎮座し、Pink Floyd / Saucerful EMI 再発帯なし が4000円近くの猛烈価格。買わへんて、どんだけ長く飾っていても。壁も動かなけりゃ棚も動かない。スカスカのレコ棚を洋楽のみ1分も掛からずパタパタ見て、チェック終了。本日も変化なし!本当に私は何をしに、ここに来てるのだろう?(涙)

 

しかしかまち潤先生を師と仰ぐ男は諦めない。そう、私にはジャンクという名のレコ墓場がある!土葬する国には Grave Digger (墓堀り人)という職業があるが(…確かメタルバンドにもいましたね)、この店の Vinyl Grave Digger を自称する私の職場と言って良いであろう。

 

Grave Digger - Heavy Metal Breakdown 1st album

 

ウ~ム…ドイツらしい素晴らしいパワー・メタルだ!これからはこのアルバムを脳内に流しながら掘ろう!

 

店内奥地の薄暗い一角、ここがレコ墓場=レコード・ジャンク・ヤードだ。一番端から奥を眺めると、あの青いレコ箱が乱れていない(ホッ)。某オヤジ墓掘り人が来ると、引き出したレコ箱をそのまま放置して横へ横へと移動する。作法を知らぬ若者ならいざ知らず、良い歳ぶっこいたオヤジが何やってんだよ!…と墓掘り人同志も無言の罵り合いをしていてる。今日は他に掘っている輩も、自分がスルーする7”に被りついてるオッサン一人なので安心してLPを見始める。

 

相変わらず出るわ出るわ、八代亜紀、森進一、石原裕次郎の大御所系、アリス、南こうせつ、オフコース、さだまさし等のフォーク・ニューミュージック系、『ラテンミュージック・デラックス』、『世界のマーチ』、『全国民謡をあなたに』、『軍歌の全て』等勘弁しておくんなはれ系…。相も変らぬスーパーラインナップ!しかもジャケがボロボロなのが殆ど。この中から私は Jimi Hendrix / Electric Ladyland UK 青テキスト盤、Velvet Underground & Nico US MONO 1st Press TORSO盤を見つけようと試みているのだ。無謀な戦いだとは自覚している…。誰もが無理だと言っている…。しかし!誰もが不可能だと攻め立てる中、不可能を可能にした大谷翔平なる漢がメジャーにいるじゃないか?それに比べりゃ高がハードオフの墓掘りではないか?NOTHING IS IMPOSSIBLE! と鼻息荒く掘り捲る!

 

オリジナル・ジャケはやはりyoutube の規約に引っかかるらしくありませんでしたの Jimi Hendrix / Electric Ladyland

 

 

Velvet Underground & Nico / S/T ...個人的には2nd の方が好きかな

 

掘り始めて2メートル左に移動したあたりで、先週はなかった一塊のレコを見つける。オオオッ、北島三郎先生の作品が5~6枚まとめて入ってる!その中から、一際目立つ1枚を抜き出す!

 

北島三郎 - 花のステージ(第2集)NIPPON COLUMBIA ALS 4013 国内盤 LP 帯付き 1963年 110円

 

北島三郎先生…日本の演歌界の重鎮にて最重要人物。そもそも演歌って英語に訳せば "Japanese Deep Soul" ではないのか?Deep Soul は私の守備範囲だ。何よりこのジャケだよ。私の中のサブちゃんは、与作的な羽織袴でNHKホールでコブシを回してるイメージですが、どうよこれ?ギター片手の男が1人。カッコ良いじゃん!がっつり帯も付いてるし!と、いつものように直感に任せたジャケ買いである(=…冷静に考えても考えなくても、最初から結論は見えていたんですが…)。

 

で、家に帰ってロクに洗いもせずいきなりターンテーブルに乗せてみる。自分の直感を信じるのだ!演歌…と食わず嫌いだった自分を改め和物ディープ・ソウルの世界へ!

 

…やっぱ私には無理でした(無念!)。

 

因みに『演歌』をアプリに翻訳させると、『Enka』『Enka Ballad』となり、"Japanese Deep Soul" と翻訳してくれませんでした(ヌアァ!)。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

更に掘り進めた男は、先週まではなかったこれまたレコ墓場の住人に指を止める:

 

Nini Rosso - In Tokyo ( Globe SJET - 7942 ) 国内盤 LP 帯付き 1967年 110円

 

今まで無視に無視を重ねていた男、その名はニニ・ロッソ。皇帝の国からやってきたトランペット吹きか?と思いきや、イタリア人らしい。Wikiによると、『夜空のトランペット』(1964年)が伊、独、スイス、オーストリアでチャート1位を獲得!勢いに乗った男は恐れを知らず、イタリア国内に飽き足らず欧州~日本へとライブツアーへ出かける。そしてこれは初来日?の1967年3月の東京サンケイ・ホールのライブのようだ。

 

ガッツリした帯に凛々しい立ち姿のニニ。あのマイルスも膝まづいたという伝説がどこかにあると信じ、これも直感で買ってみる。直感で買う=ジャケ買い…やめとけと誰が言ったんだい?聴いてみなきゃ分からんやろ?

 

で、早速帰って聴いてみたんやが…

やっぱり私には無理だった~~~~~~~~~!さらば、ニニよ。二度と君がターンテーブルに乗ることはないだろう。(完!)

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

そして2連続で直感勝負(=ジャケ買い)した男は、更に自分の直感を信じて勝負に出る。Nini Rosso in Tokyo の後に出てきたのが、先週までやっぱりなかったこれだ!

 

SAM (THE MAN) TAYLOR - IN JAPAN (MGM YS 5042) 国内盤 LP 1961年 110円

 

"THE MAN"(漢)” サム・テイラーの IN JAPAN ですよ。これがサムのライブ・イン・ジャパンか? 帯は無かったんですが、何となく名盤ではないか?といういつも外れる直感が騒ぎ出し、調子に乗ってジャケ買い3連発とこれも購入。

 

結局このアルバムライブ盤ではなく、漢(男=the Man)サムが来日ライブを1961年9月~12月にやった時、その合間を縫ってチョチョイのチョイと録音したものらしい(笑)。

 

曲に”ブルース”とあるし、ハモンド・オルガンも入っているではないか!期待は高まる。

 

 

確かにハモンド的なオルガンは鳴ってるし、意外とこれは行けました~。

 

このレコが入っていたレコ袋が…

『チリやホコリがつかないレコード! Anti Static (静電気防止) AS ( = Anti Static ) 方式レコードは永久的に静電気の発生を防ぎ、チリやホコリによる雑音や摩耗を起こしません。』

 

と。マジっすか、これ?これが本当なら大発明だと思うけど。『特許出願中』となってるけど、どうなったんだろ?

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 

 

 

というわけで、今回も ジミヘンもヴェルベットも出て来ませんでした。「お前バカだろ?」と言う方もおられるでしょう。しかし!万が一(…否、兆が一)発見できれば、この世の全てのレコ掘り師に勝利したと言えるでしょう。その時までサラバだ~!!!!!(つづく…)

 


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