【おさんぽ行くか!】 2. 運命の日 | 日々コギ精進(仮)

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レオ…
ティーダ…
いつまでも君達を愛していますよ…

《運命の日》


彼はペットショップにいた。1112日生まれのティーダを我が家に迎えたのが420日。既に生後5ヶ月だった彼はもう”あのケース”には入れて貰えず、床に置かれたケージの中で”叩き売り価格”で売られていた。もういつ”最悪の方の運命の日”が彼のところにやってきてもおかしくはない、そんな状況だったように思う。


その後14年続く彼との日々の中で「売れ残りだったお前を助けてやったんだからありがたく思えよ」と彼に向かって何度か言ったことがある。もちろんそれは冗談としてだ。彼に一目惚れをした。顔立ちが好きだった。ただただ「この子と一緒に過ごしたい」とだけ思えた。だから彼を連れて帰った。彼はそれで”最悪の方の運命の日”は回避出来たと思うが、私に連れ帰られたことで”最良の方の運命の日”になったかどうかは分からない。


実家で飼っていた『レオ』は家族として迎えて早々寄生虫にやられて生死の境を彷徨ったが、ティーダもまた同じように我が家に来て直ぐに急病で危険な状況になった。真っ黄色の鼻水。激しい下痢。血便。その時にお世話になった獣医師さんから複数の体験談を聞いた。それを聞いた結果としての私なりの推論はあるが証拠は無いのでここでの言及は控える。だがひとことだけ。

 

「命を物のように扱うなや。真心を持って大切に扱えや」


復調したパピーティーダは怖いもの知らずだった。初めてのおさんぽで道路に下ろされた途端に走り出すような子だった(その時に私は人生初の肉離れをしたんだよなぁ)。道路脇1.5m下にある畑に平気でダイブしちゃう子だった(さすがに痛かったみたいでその高さからは二度とやらなかったなぁ)。

Nobody can stop me!!! Ahahahaha!!!

昔、そんな台詞をいう緑色の仮面を被った怪人のコメディー映画があったが、あんな感じで走り回るような子だった。多分5m先に大きな穴が空いていても気にせず気付かずに真っ直ぐに突っ走るような子だった。そう、彼は”失敗して初めて気付くタイプ”だった。


でも、怖いもの知らずに見えて変なところでビビリな面もあった。

高さ1mくらいなら平気で飛び降りるくせに、高さ15cmのアジリティーのハードルが怖くて飛び越せない。

大きな打ち上げ花火は燃えかすが落ちてくるくらい近くにいても音を全く気にしないのに、輪ゴムをパチンとしたら部屋の隅っこに丸くなって逃げていく。

雷が激しく鳴ろうが近くに落ちようがボケーっと空を眺められるくせに、緩衝材のプチプチを潰すと台所の隅でプルプル震える。

子供にはどんなにガシガシ撫でられても全く動じないくせに、ウトウトしている時に私が背中に僅かに触れた途端にビクッと飛び起きて逃げ出す。

カラスや鳩や小鳥や蝉やらには猛然とアタックするくせにハエからは逃げ回る。

彼の”怖さのボーダーライン”は本当に独特だったなぁ。不思議ちゃんと言えばそれはそうだと思う。


失敗して初めて気付くタイプ。

不思議ちゃん。


そんな彼と過ごした約14年と日々は大変だったけれど愉快で楽しい日々だった。私が彼を連れて帰った日は”私にとっては最良の方の運命の日”だった。それだけは間違いない。


かつては『フェルマーの最終定理』なんて超難題があったけど1995年に完全証明されたんだよね。他にもまだ証明されていない人類の難題は沢山あるし、ムー大陸もアトランティス大陸もバベルの塔も未だ発見されていないけど、多分お前の”怖さのボーダーライン”を理解することの方が難易度は高いと俺は思うんだよなぁ。

いつか理由を教えてくれない?

ティーダ?


つづく


※ティーダ「このタマゴはなんで硬いの? (・・;)?」

 なぜホッカムリをしているのかは覚えてないなぁ…(^^;;