先日、免許の更新のため、府中の運転免許試験場に行ってきました。東京都の場合は、運転免許更新センター(新宿、神田)や、一部の所轄の警察署でも更新手続きが可能ですが、過去3年間に違反履歴がある人は運転免許試験場(鮫洲、江東、府中)でしか手続きが出来ないみたいです。



警視庁 府中運転免許試験場


運転免許試験場には殆どの人が更新手続きのため来ているようですが、平日の午後だったので、かなり空いていました。

じつは「運転免許試験場」は、東京でも有数の芸能人遭遇スポットだとか。免許更新手続きは代理人に依頼することは不可能で、芸能人や有名人が自ら来るしかないからです。

いくらテレビに出ていても、お上の前ではみな平等なのです!


とはいえ、人の顔に無頓着な私は、免許試験場で一度も芸能人に遭遇したことはありません。すれ違いざまに、2次元のテレビ画面でしか見たことのない芸能人の顔が、いきなり目の前を通り過ぎても「あっ!」とは気付かないのです。




更新手続き料4250円を支払い(金額は優良,一般,違反者で異なります)、本人確認と写真撮影、2時間の講習を受けたのち、出来たばかりの免許証を受け取りました。


すると・・・ 何やら気になる文字が免許証の条件欄に・・・

「中型車は中型車(8トン)に限る」


そうです、免許区分が2007年9月に変更になり、それまで「普通免許」を持っていた人は、「中型免許(車両重量8トン以下)」の区分にスライドすることとなったのです。


それまでは、普通免許で乗用車はもとより積載4トン未満のトラックまで運転出来たのですが、今回の改正で積載5トン(車両重量8トン)まで運転できるようになったのですから、儲けモンと言えるかも。


でも、条件欄の「~限る」の文字を見て、昔を思い出すライダーも多いのではないでしょうか。以前は自動二輪免許に「大型自動二輪」「普通自動二輪」の区別は無く、全て「自動二輪」とされていました。400cc未満の中型自動二輪の場合は、免許証の条件欄に「自二車は中型に限る」の文字が印刷されていたのです。


その「~限る」の条件をクリアし、大型バイクも乗れるようにするには、警察で実技試験を受けて条件を消してもらうこと、いわゆる「限定解除」の試験を受ける必要がありました。

私の場合も、ここの府中運転免許試験場で20数年前に限定解除を受けたのですが、その時の思い出が頭の中をよぎりました。

当時の合格率は5~10%未満だったそうですが、皆、大型バイクに乗るべく試験にチャレンジしていました。


府中運転免許試験場の自動二輪車試験コース(バイク専用)


そういえば芸能人の近藤マッチが、ここの府中運転免許試験場で、休日に一人で特別練習をさせてもらっている写真がフライデーされていました。

芸能人と無名の一般人の違いを思い知らされた貴重な写真でした。

お上の前では平等ではなかったようです。


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アフリカツインの生産終了は、パリダカレプリカマシンのブーム終焉を意味したとしても、ビッグオフ車、或いはデュアルパーパス車そのものが衰退したわけではありません。

しかし、流れとしてのトレンドは、ビッグオフ車のデュアルパーパス車化、デュアルパーパス車のオンロード車化にあると言える気がします。(あくまで私個人の感想なのですが、皆さんは如何でしょう)


その流れを、アフリカツインの生い立ちをに関するページの最後として、各バイクメーカごとに紹介したいと思います。



【 YAMAHA 】

ビッグオフ、デュアルパーパス車のオンロード化の流れの兆候は、1991年の YAMAHA TDM850 の発売にあったと思います。(TDMがその流れを作ったという意味ではなく、TDMにより兆しがはっきりしたという意味で)


搭載されたエンジンは、XTZ750 SuperTenere(スーパーテネレ)の水冷式並列2気筒 750ccエンジンをリファインし、排気量を850ccに増加させたものです。


YAMAHA TDM850(1991年)     マイナーチェンジしたTDM850


ストロークの長いサスペンションと、ややアップ気味のハンドル、必要充分以上の最低地上高・・・

ビッグオフを連想させる車体構成ではありましたが、キャストホィールにオンロードタイヤの足回りは、オフロード車ではないことを明確に示していました。 どのバイク雑誌も、このTDM850 をどう紹介していいのか戸惑っているようにも読み取れました。


でも、これこそが、パリダカレプリカマシンを経たビッグオフ車の枝分かれの1つと言える気がするのです。



水冷式並列2気筒10バルブエンジン


大柄な車体による余裕のタンデム走行、ロングストロークの快適なサスペンション、自然なポジションによる疲れの少ない乗車姿勢、どれもビッグオフが長距離ツアラーとして広く受け入れられた要素を取り入れ、オンロードバイクと割り切った上で、新たに開発したのがTDM850なのかもしれません。

多様化するバイク乗りの要望に応えるべく、ビッグオフ車やデュアルパーパス車に求められているニーズの一部を、オンロード車で実現したと思うのです。


排気量をアップしたTDM900(2002年)


この850ccエンジンを搭載した新型スーパーテネレが発売されるのでは…

パリダカレプリカファンは淡い期待を持ちましたが、それは実現しませんでした。

TDM850は、数回のモデルチェンジを経て完成度を高めながら、2002年にはTDM900としてフルモデルチェンジされ、多くのバイク乗りに愛用されています。



YAMAHA TDM900


【 HONDA 】

1000年代最後の年である1999年には、HONDAからもTDM900と同じコンセプトの XL1000V バラデロ(Varadero)が発売されました。そしてそれは、当時、並販されていたアフリカツインの、その後を担うモデルとして開発したとも言えるモデルだったのです。


より快適に、よりパワフルに、より遠くまで、アフリカツインを凌駕する性能とクオリティを兼ね備え、オンロードを巡航するツアラーバイクとして、世界中で受け入れられたのです。最大馬力95ps の 1000ccVツインエンジンは、荷物を満載しながらのタンデムツーリングを余裕でこなすキャパシティを持っています。


XL1000V バラデロは、2003年、2007年とモデルチェンジを繰り返し、インジェクション化,ABS装着などの時代のニーズを取り込みながら進化を続けているのです。



HONDA XL1000V バラデロ(Varadero) 1999年~



HONDA XL1000V バラデロ(Varadero) 1999年~


【 BMW 】

ヨーロッパ車の雄とも言うべきBMWは、HONDA などからの「追撃」を振り切るべく、R1150GSの次期モデルとして究極のツアラーバイクを目指した R1200GS を2004年に発売しました。


スタイルはデュアルパーパス的な要素を持ちながらも、 車体はオンロードでの走行性能を最優先に考慮して設計されています。従来から採用しているBMW独自のテレレバー式フロントサスペンションの利点を生かし、他車とは一線を画す最高レベルのツーリングマシンに相応しい、安定感と落ち着きのあるハンドリングを実現しています。


従来のBMWビッグオフ車ファン以外からも、極めて高い支持がR1200GSに対し集まっているようで、現在、BMWにおいて最も多くの販売台数を記録しているのがR1200GSだそうです。

まさにGSシリーズは、BMWの顔とも言える存在になったのです。



BMW R1200GS(2004年~)



1169ccの水平対向2気筒エンジン


R1200GS で明確なアドバンテージを築いたBMWは、他社が次の切り札を出すのをそのまま待っていることはしませんでした。

2006年、BMWは「工場出荷時から世界一周旅行に対応可能」をキャッチコピーにした R1200GS Adventure を追加発売したのです。


アフリカツインがデビューしたとき、大胆にもアフリカ大陸をイメージしたネーミングで発売されましたが、R1200GS Adventure は恐れ多くもその上を行く「地球」をイメージしているのでしょうか。


BMW R1200GS Adventure(2006年~)

33リットルものガソリンタンクを搭載し、フロント周りを覆うガード、そして何より、スポークホィールが標準装備とされています。

標準仕様のR1200GSに対し、「R1200GS Adventure」は明確にオフロードでの走行性能向上をセールスポイントとしてリリースされたのです。




この意味するものは、「オンロード」へと向かったビッグオフ或いはデュアルパーパス車が、「オフロード」へと里帰りする流れを示唆するものでしょうか。

このジャンルをリードしようとするBMWの、これからの動向が気になります。


もし、この流れが大きなものになれば、いずれHONDAからも「Super AfricaTwin 1200」が発売されることがあるかも・・・


そんなことを想像するのも、バイクの楽しみの一つですね!



◆ シリーズ「アフリカツインの生い立ち」終わり


「アフリカツインの生い立ち」を最初から読む (Page1)へ


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パリダカを4連覇(1986~89)した HONDA はワークス参戦を撤退しましたが、市販車であるアフリカツインは販売を継続しました。1993年には、それまでの型式RD04をモデルチェンジし、キープコンセプトのままながら、さらに完成度を高めた新型モデル(型式RD07)を発売しました。


HONDA アフリカツイン RD07(1993年~1995年)


フレームは剛性の向上と軽量化を目指して新たに設計され、サスペンションなどの足まわりのグレードアップと改良が行われています。

また、車体のデザインも見直され、結果としてパリダカのイメージは若干薄れています。「パリダカレプリカ」ではなく「アフリカツイン」として、独自のスタイリングを目指そうとしていることが伺えます。





新設計のフレーム


RD03からRD04への進化の度合いと比べれば、ややインパクトの薄いものかもしれませんが、多くのアフリカツインのファンは、RD07の登場でほっと一安心したことと思います。当時のトレンドは徐々にビッグオフ車(或いはデュアルパーパス車)のツアラー化へと向かっていました。イメージ的にも流れから外れつつあるアフリカツインに対し、HONDA が持っていたかつての情熱が薄れつつある事を心配していたからです。

その後、RD07は1996年に外装関係を中心とした小変更(マイナーチェンジ)を受けましたが、形式名に変更はありませんでした。(分類の便宜上、RD07後期型と呼ばれることがあります)
エンジンは吸排気系の見直しにより、最大馬力が57psから58psに向上しています。僅か1psのアップなので、これはおそらくリファインの目的が燃費や静寂性を高めることにあって、結果的に馬力が上がったのだと思います。

また、フロントカウルまわりのデザインも変更されました。走行時の風の巻き込みを少なくすることで快適性を高め、長距離ツーリングの負担を減らしています。


HONDA アフリカツイン RD07(後期型 1996年~)写真は99年モデル


RD07前期型で既に完成の域に達していたアフリカツインからすれば、今回のマイナーチェンジは、もはやモデルライフの延命と言えなくもありません。

BMWなどのように、根本的な見直しを繰り返してきた1000cc超の大排気量車と比較すれば、アフリカツインは基本構造や物理的なキャパシティの面で、もはやこのジャンルをリードする存在とは言い難くなってきたのです。



私のアフリカツインはこのタイプです!



U字ロックのホルダーが後期型の特徴


RD07は輸出のみでなく、200台~300台規模ではありながら継続的に国内限定販売を続けてきましたが、2002年をもって生産を終えました。RD07(後期型)はアフリカツインの実質的な最終型となったのです。

ビッグオフからパリダカレプリカへの流れをつくったアフリカツインは、新たに製造されることはなくても、まだまだ世界で数え切れない程の台数が現役で走り回っています。

そしてアフリカツインの最終章が、新たなコンセプトの元に開発されたBMW迎撃マシン、HONDA バラデロの序章へと繋がっていくのです。


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アフリカツイン(RD07前期型)の主な諸元は以下のとおりです。
(括弧内は1990年モデルのRD04)


型式:RD07(RD04)
発売日:1993/4/12(1990/3/20)


全長×全幅×全高:2320×905×1430(2330×895×1420)
軸距:1555mm(1560mm)
シート高:865mm(880mm)
車両重量:234kg(236kg)
乾燥重量:207kg(209kg)


エンジン型式:RD04E(←)
排気量:742cc(←)
最高出力:57PS/7500rpm(←)
最大トルク:6.1kgm/6000rpm(6.1kgm/5500rpm)


燃料タンク容量:23L(24L)
タイヤサイズ 前:90/90-21(←)
タイヤサイズ 後:140/80-17(130/90-17)


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アフリカツイン(RD07後期型)の主な諸元は以下のとおりです。
(括弧内は1993年モデルのRD07前期型)


型式:RD07
発売日:1996/2/23(1993/4/12)


全長×全幅×全高:2320×905×1430(←)
軸距:1555mm(←)
シート高:870mm(865mm)
車両重量:234kg(←)
乾燥重量:207kg(←)


エンジン型式:RD04E(←)
排気量:742cc(←)
最高出力:58PS/7500rpm(57PS/7500rpm)
最大トルク:6.1kgm/6000rpm(←)


燃料タンク容量:23L(←)
タイヤサイズ 前:90/90-21(←)
タイヤサイズ 後:140/80-17(←)



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