
【 どんなバイク 】
私が初めて手にしたバイクは、YAMAHA のパッソル(PASSOL)でした。1970年代の後半、HONDA が発売し大ヒットしたロードパル(通称ラッタッタ)に対抗するために、1977年に発売されたスクーターです。
コンセプトは「誰でも気軽に乗れる、安いバイク」で、女性がスカートをはいたままでも足を揃えて乗れるよう、ステップが平面状になっている「ステップスルー」がセールスポイントでした。(今のスクーターでは常識ですね)
私が買ったのは、発売から4年程経った1981年でした。当時大学生だった私は、友人から2万円で走行数百キロの「真新しい中古車」の状態で譲り受けたのですが、ほぼ新車と言っても差し支えの無いものでした。
【 便利な移動ツール 】
その頃の私はバイクに全く興味が無く、「初めてのバイク」を買ったというよりは、便利な移動ツールを手に入れたという気持ちが殆どでした。
ですが、空いた道を軽やかに走る気持ちの良さは充分に味わえました。
当時、神奈川にある大学の近くに住んでいましたが、周りは坂が多く、自転車で移動するのは大変でした。でも、このパッソルのおかげで私の行動範囲は飛躍的に広がりました。
まるで孫悟空が筋斗雲(キントウン)を手に入れたようなものです!
ペダルで漕がなくても前に進む
アクセルを回すだけで、スピード加減も思いのまま
これはちょっとした感動というかカルチャーショックでした。
急な坂道を息を切らせながら自転車を漕ぐ人の脇を、涼しい顔のままパッソルでスイ~っと追い越す・・・
昨日までの自分に対して、今日の自分がちょっとした優越感を味わうような感じかも。
最大馬力は2.3psでしたが、自分のアパートの周りを走り回るには充分なものでした。スピードもメーター読みながら時速45Km/hほど出るので、ちゃんと原付バイクとして一人前にスピード違反出来るのです。
YAMAHA パッソル
【 インプレ・・・未満】
ガソリンタンクのキャップはプラスチック製のネジ込み式で、カギは付いていません。ですので、時々キャップが盗まれてしまうのが欠点でした。
燃費はオドメーターが付いていないので不明です。徹底的にコストダウンしてたんですね。
パッソルはその便利さから大ヒットし、一時はスクーターの代名詞とも言えるほどでした。これが有名なHY戦争の火付け役となり、HONDAは対抗モデルとしてタクト(TACT)を発売するなど、各メーカーはスクーター市場の広がりに対応し(ただしKawasakiを除く)、続けざまに新型車を発売したのです。
HY戦争当時のHONDA タクト
スクーターでこんなに快適なんだから、250ccとかのバイクならもっと凄いんだろうな…
そうすれば、もっと遠くまで行けるんだろうな…
空前絶後のバイクブームの中、私は中型自動二輪免許を取る決意をしたのです。
(人生の転換点だったのかも)
--------------- 主な諸元 -------------------------
車名:PASSOL(パッソル)
発売年:1977年
全長×全幅×全高:1515mm×605mm×925mm
車両重量:45kg
エンジン型式:空冷2サイクル
排気量:49cc
最高出力:2.3PS/5000rpm
燃料タンク容量:2.3L
タイヤサイズ 前:2.50-10-4PR
タイヤサイズ 後:2.50-10-4PR
-------------- 1981年のヒット曲 --------------------
1位 寺尾聰:『ルビーの指環』
2位 竜鉄也:『奥飛騨慕情』
3位 近藤真彦:『スニーカーぶる~す』
4位 イモ欽トリオ:『ハイスクールララバイ』
5位 松山千春:『長い夜』
