「あれば便利だな」とは思いながらも、踏ん切りというか気持ちの中でのもう一押しがなくて、なかなか買わない物、誰にでもありますよね?
私にとっては、J-TRIP のメンテナンススタンド がそれでした。


J-TRIP のメンテナンススタンド 品番:JT-127H


ZX-12Rのようにセンタースタンドの無いバイクを整備する時は、サイドスタンドで傾けたままで作業するしかありません。これがかなり不便でした。

チェーンに注油する時は、そのままでは後輪が回らないので、塗っては車体ごと動かし、また塗って動かし… 単純ながら面倒な作業でした。
洗車やワックスがけをするにも、サイドスタンドで傾いた側の面を作業する時は、しゃがみ込むような窮屈な姿勢をとらなければなりません。

それもこれも、メンテナンススタンドがあれば楽ちんです!
便利なら迷うことはないと思い立ち、念願のJ-TRIPメンテナンススタンド「初めてセット」を買いました。(少々、大袈裟ですね)

このスタンドを御存知の方もいらっしゃるでしょうが、まだ買うのを迷っている方のために、インプレ記事を書いてみます。
(^-^)v



このスタンドの特徴は「一人でも楽に、確実にメンテナンススタンドを掛けることが出来る」です。普通、この手のスタンドは、バイクを支える人とスタンドを掛ける人の二人が必要です。

リアのスイングアームを支えるスタンドの金具が、V字又はL字の形をしているので、一人がバイクを真直ぐにしてからでないと、もう一人がスタンドをスイングアームに引っ掛けることが出来ないからです。
でも、このJ-TRIPのスタンドは一人でOKです!



そのタネ明かしは、サイドスタンドを掛けたままで、バイクのリアタイヤを固定しているアクスルシャフトと、メンテナンススタンドの受け部を先に金具で留めるからです。決してスタンドがバイクから外れないようになっているので、その後は一人でメンテナンススタンドでバイクを支えることが出来ます。

詳しい内容とスタンド掛けの方法は J-TRIPのホームページ に掲載されています。

ですが、実際に私がやってみた感想を交えながらの手順も、写真で紹介してみます。

---------- インプレ交じりのスタンド掛け手順 --------------


【 スタンドの掛け方 】


a.まず、バイクをサイドスタンドで支えます。ギアはニュートラルでも構いません。

b.付属のゴムバンドでフロントブレーキをロックします。
これはメンテナンススタンドを掛ける時に、バイクが不用意に動かないようにするための保険です。言い換えれば、このバンドでキチンとブレーキをロックさせてれば、ミスでバイクを倒すようなことは、まず有りません。



c.貫通式のリアアクスルシャフトに付属の金属棒を差し込み、メンテナンススタンドを留めます。この状態はまるで自転車、というよりママチャリみたいな感じですね。



d.バイクの左側の後ろに立ち、足でメンテナンススタンドの後部を踏みながら、両側のローラーが地面に接地するように、両手でバイクを真っ直ぐにします。
一連の中で、初めての人は最も不安を感じる部分です。(私もそうでした)

ですが、それは心配いりません。
スタンドを踏むと、力学的にバイクを直立させようという力が働きます。その力にプラスするようにバイクを手で直立させるので、自分の力は殆ど要りません。

両側のローラーが地面に接地すれば、バイクは直立状態です。メンテナンススタンドの左右のスパンは、センタースタンドよりずっと広いので、この3点(フロントタイヤ、2個のローラー)で支えられた状態でもグラツキはありません。

e.最後にメンテナンススタンドの後部を地面に接地するまで踏み下ろすと、2個のローラーは地面から離れ、スタンド本体が接地します。



これでスタンド掛け完了!
特別なコツも要らないし、力も使いません。

【 スタンドの外し方 】


スタンドを外す時も簡単です。ですが注意点が2つ!


注意1.サイドスタンドが出ていること

注意2.ゴムバンドでフロントタイヤがロックされていること




この2点を確認することがポイントです。

うっかりミスを防ぐため、ここは念入りに指差し確認!

では、外し方を紹介します。


a.バイクの後ろにまわり、右手をバイク後部の右側面に添え、左手でメンテナンススタンドの後を握ります。


b.左右のローラーが接地するまで、ゆっくりと(あくまでユックリ)メンテナンススタンドの後ろを持ち上げます。
この状態でもバイクは3点(フロントタイヤ、2個のローラー)で支えられているので、グラツキも無くしっかりと直立しています。


c.そのままさらにスタンドの後ろを持ち上げるとリアタイヤが接地しますので、バイク後部の右側面に添えた右手でバイクをそっと左側へ押します。


d.サイドスタンドが静かに接地し、バイクは普通にサイドスタンドで立っている状態になったら、リアアクスルシャフトに差し込んだ金属棒を引き抜き、メンテナンススタンドを取り外します。


どうです!簡単でしょう!


【 残念な点 】


でもこのメンテナンススタンドにも欠点が2つあります。

それはこのスタンドが簡単に掛けられるように出来ているが故の欠点とも言えます。


1.リアのアクスルシャフトを貫通する穴が空いていること。

  穴に金属棒を通してスタンドを取り付ける構造のため、これは仕方ありませんね。


2.このメンテナンススタンドを使って、リアタイヤを外す作業は出来ない。

  アクスルシャフトを抜くことは出来ないので、これも仕方ないです。

  でも、私はリアタイヤを外すことは殆ど無いかも・・・




上の欠点さえ気にならなければ、この「一人で掛けられるメンテナンススタンド」はとても重宝しそうです。

どうしてもリアタイヤを外す作業をする必要があるときは、別売の受け部(V字又はL字)だけを買えば、スタンド本体はそのまま使えます。


それに何より、メンテナンススタンドの思わぬ効用に、自分自身がメカニックになった気分に浸ったり、ZX-12R も心なしかレーシーな感じに見えたりするから不思議です!


皆様も、如何ですか?




メーカー名:J-TRIP

商品名:はじめてスタンド

品番:JT-127H(スタンド本体 + 初めて受けセット)

定価:概ね12,000円前後


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引っ越しで一番面倒なことがアパートやマンション、一戸建てなどの物件探し。
どの路線沿いにするか、駅からの距離はどうか、家賃や物件価格は予算内か、日当たりと間取りはどうか、などなど考えたらキリがないです。

でも、やっぱりバイク乗りにとって一番大切で譲れない条件は「ちゃんとバイクを置く場所があるか」ですよね! バイクの引っ越しに自分がついていくようなものかも。

東京23区内は特に土地が狭いので、一軒家はともかくアパートやマンションにバイクを置けるスペースが殆ど無いのです。たとえ有っても、雨ざらしだったりセキュリティ面で問題ありのケースが殆どです。家主や不動産屋側からすれば、バイク置き場なんて金にもならない無駄な装備なんでしょう。



アパートの物件探しで、都内の不動産屋に行くといつもこんな感じです。

    私「バイク置き場があれば、駅から遠くてもいいですよ」
不動産屋「あっ!今ね、ちょうどいい物件があるんです。」
    私「そこはバイク置き場はあるんですか?」
不動産屋「バイク置き場?そんなものは無いけど、築3年で綺麗な部屋ですよ」
    私「バイク置き場が無いならダメです」
不動産屋「だけどね、駅からも近いし日当たりもいいし」
    私「バイクが置けないなら他を探します」
不動産屋「え?だってこんなにいい物件はめったに無いですよ!」
    私「バイクが置けないなら意味ないですから」
不動産屋「大屋さんもいい人だし、今なら安くしてくれるかも」
    私「さようなら」
不動産屋「おっ、お客さん!勿体無いですよ!!」
    私「バイクが勿体無いから、さようなら」


捨てる神あれば拾う神ありで、引越しの度に足を棒にして、なんとかバイクの置ける物件を探し当てています。そしていつも思うのが「もう引っ越しは懲り懲りだー」。
20代のころは、バイクに乗るために働いて、寝るためにアパートに帰るようなものだったので、
バイク置き場にオマケで部屋が付いていればOKでした。(まさか)


今、住んでいるマンションのバイク置き場。

右がZX-12R、左がアフリカツイン


いま住んでいる場所はマンションですが、バイク置き場は屋根付きで、セキュリティーもそれなりにしっかりしています。
女房は、日当たりや周辺環境の良さでこのマンションに決めましたが、私が決めた理由がバイク置き場を気に入ったからというのは内緒です。



バイクや車の洗車スペースもあって便利!



【 初めてのバイク選び 】
学生時代の最後の年(1984年)、バイクに乗りたい願望が混み上がり、バイトで貯めたお金で自動二輪免許(中型)を取りました。

友人の何人かがバイクに乗っていたことや、スクーターでバイクの楽しさの入口を知ったからというのもあります。でも一番の理由は、単純でストレートながら「バイクに乗って遠くに行きたい」なのです。
理由なんて、後から考えたって半分はコジツケですから。

免許を手にした後に考えることは一つだけ。「さあ、どんなバイクを買おうか?!」
初心者にとっては、最も難しくて楽しい悩みです。

ですが、既に意中のバイクは免許の取得前に決まっていました。
それが SUZUKI GSX400FW なのです。


【 どんなバイクか 】
GSX400FW は、当時のSUZUKIの400ccクラス主力マシン、空冷式並列4気筒エンジンを搭載したGSX400Fの後継車として1983年に発売されました。

新開発の水冷式エンジンは最大50馬力を発揮しましたが、時代はパワー競争の真っ盛り。「今日の最強マシンは明日のスタンダードマシン」ともいえる程のスペック競争をメーカー同士で繰り広げていたのです。GSX400FWのエンジン性能は瞬く間に平凡なものとなりました。



先代モデルのSUZUKI GSX400F(1983)


SUZUKIはその劣勢を挽回すべくエンジン各部の見直しを行い、9馬力上乗せの59馬力のエンジンを新たに搭載し、1984年のマイナーチェンジで「2型」を発売しました。私が買ったモデルもこの「2型」です。落ち着きのあるハーフカウル、当時流行のアンチノーズダイブサス、何よりカッコいいのが白地にブルーの流れるような美しいグラフィック、もうこれしか目に入りませんでした。


SUZUKI GSX400FW(2型)

【 比較検討あれこれ 】

周りのバイクに乗ってる友人達の意見は一致して、「どうせカウル付きに乗るのなら、少々高くても GSX-R!」

SUZUKI GSX-Rは発売されたばかりの新型車で(1984年)、400ccクラス最高の59馬力はもちろんのこと、クラス初のアルミフレームに耐久レーサーイメージの2灯式ヘッドライト、クラス最軽量の157kgの車体、ヨシムライメージの集合管など、バイク乗りが欲しがるツボを全て心得た垂涎のマシンでした。
というか、当時の中型車としては、考えられる全ての贅を尽くしたバイクなのです。


SUZUKI GSX-R(1984年)

初めての自動二輪車に、そこまでの性能と装備は要らないよ…というのが私の気持ちでした。
ましてや押出し材のアルミフレームだなんて、アパートのアルミサッシと同じじゃないか! コケたらすぐ逝っちゃうし(廃車)、素人にはリスクの高いものに思えました。(当時のアルミフレームは現在のようなツインスパーではなく、ダブルクレドールをそのままアルミ化したような感じでした)
それに買うのだけで精一杯なのに、フルカウルだとコケて傷付いたときの修理費が心配です。

その点、私が欲しい GSX400FW(2型)は、手堅いスチールフレームにリスクの少ないハーフカウル、それにエンジンは GSX-R と全く同じものなのです。(GSX400FW 1型のエンジンをベースに GSX-R のエンジンが作られ、それが再び GSX400FW 2型に使われました)
その高性能さと堅実さが気に入り、素人ながらのバイク選びは GSX400FW で決まったのです。

【 契約&納車 】
友人の行きつけの店であれこれ説明を聞き、初めてのバイクに対する不安と期待に鼓動を高めながら、無謀にも新車での購入契約をしました。
定価は56万円、諸費用を入れると、値引き分を差し引いても60万円を超えます。
バイト代の貯えをつぎ込んでも半分に満たないので、残金はローンにしました。
もうすぐ大学も卒業だし、就職後はローンの支払いも楽だろうと考えたからです。

10日後の納車までか待ち遠しく、悶々とした日々を過ごしました。準備よくバイクカバーを前もって買いましたが、嬉しさのあまり部屋の中で広げて上から寝転んだりして、指折り数えてその日を待ちました。納車されたら殆ど一緒の布団で寝そうなほどのハイテンションです。


SUZUKI GSX400FW(2型)


納車の日、店員さんからの操作説明は全て上の空で、かえって焦らされるような思いで鼻息だけを荒げていました。

新車での慣らしに気をつけながら、落ち着くための深呼吸息をしてからスタート!
わっ…!! すげえー!


初めて経験するDOHC水冷式4気筒エンジンは、教習所で乗ったHawk2の空冷式2気筒エンジンとは、全く次元の違う滑らかなものでした。
慣らし運転なのでアクセルは半分しか開けられませんでしたが、ガラスの上を氷が滑るようなスムーズさは道路から浮いているようで、タイヤで走っていることが信じられない程でした。



滑らかな水冷式4気筒16バルブ

【 失った時間を取り戻せ! 】
それからの毎日はバイクを中心にまわる日々でした。

暇を見つけては、というより無理やり時間を作って、いろんなところに出かけました。伊豆,箱根,富士はもとより、信州,房総,日光など、関東近辺の主なところを走りまわりました。いくら走っても、納車の日に味わった水冷式4気筒エンジンの感動は、薄れたりしません。走れば走るほど、違った感動が違った景色の中でこみ上げる感じです。


なぜ、もっと早くバイクに乗らなかったのか!

こんなに素晴らしい乗り物に巡り合った時期が、時間のたっぷりある大学生活の終わりが近づいてからということが悔やまれました。

失った時間を取り戻すかのように、大学卒業後に就職してからも、帰宅後や休日の時間の狭間を使ってバイクを乗り回しました。




【 インプレッション 】

1984年当時、旋回性の高さを売りにしたフロント16インチタイヤが流行りましたが、このバイクもその流れにのってか16インチのフロントタイヤを装着しています。変に切れ込む感じもなく、私にとっては自然なハンドリングに思えました、逆に言えば、「おおっ!16インチ!」と思える旋回性はありません。


高速域でも車体は安定し、400ccクラスとしては平均以上のスタビリティです。小さめのフロントカウル&スクリーンですが、見た目以上に防風効果があり、長距離ツーリングも快適です。GSX1100S カタナのスクリーンとデザインが似てるのも、SUZUKI の拘りかも。


一体式のコンビネーションメーター


メーター周りの装備は豪華絢爛で、スピード,タコ,水温,燃料の各メータに加え、液晶式のギヤポジションインジケーターや、バッテリー液面の警告ランプ、各灯火ランプの球切れを知らせるオーケーモニターなど、まるで自動車のようです。

当時、「豪華=自動車的」みたいな発想をメーカーが持っていたようで、バイク乗りが求めるバイクらしさとはズレが有ったかもしれません。でも、このバイクの豪華なメーター類はかなり便利で、特にギヤポジションインジケーターは初心者の私には有難い装備でした。


トラブルは特になく、強いて言えばレギュレータが壊れたことがあげられますが、電装系のトラブルは他のバイクにもよくあったことで、GSX400FWに限ったことではありません。



【 あとがき 】

20年以上前に乗っていたバイクですが、運転していた時の感覚は今でも思い出せます。初めてのバイクの印象って、それだけ強烈なのですね。

このインプレもかなり力が入って、予想外の長文になりました。


当時も今も、GSX400FWはハッキリ言ってかなりの不人気車です。レーサーレプリカブームに巻き込まれ、GSX-Rの影に隠れた不運のバイクと言えます。

そんな境遇だからこそ、一層の愛着を感じているのかも。


--------------- 主な諸元 -------------------------


車名:GSX400FW

形式:GK71A

全長×全幅×全高:2110mm×735mm×1215mm
軸距:1435mm
シート高:780mm
乾燥重量:178kg


エンジン型式:水冷式4サイクル4気筒
排気量:398cc
最高出力:59PS/11000rpm
最大トルク:4.0kgm/9000rpm


燃料タンク容量:17L
タイヤサイズ 前:100/90-16
タイヤサイズ 後:110/90-18


発売年:1984年

定価:566,000円


-------------- 1984年のヒット曲 --------------------

1位 わらべ:『もしも明日が…。』
2位 安全地帯:『ワインレッドの心』
3位 松田聖子:『Rock'n Rouge』
4位 チェッカーズ:『涙のリクエスト』
5位 中森明菜:『十戒 (1984)』

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