パリダカを4連覇(1986~89)した HONDA はワークス参戦を撤退しましたが、市販車であるアフリカツインは販売を継続しました。1993年には、それまでの型式RD04をモデルチェンジし、キープコンセプトのままながら、さらに完成度を高めた新型モデル(型式RD07)を発売しました。
HONDA アフリカツイン RD07(1993年~1995年)
フレームは剛性の向上と軽量化を目指して新たに設計され、サスペンションなどの足まわりのグレードアップと改良が行われています。
また、車体のデザインも見直され、結果としてパリダカのイメージは若干薄れています。「パリダカレプリカ」ではなく「アフリカツイン」として、独自のスタイリングを目指そうとしていることが伺えます。
RD03からRD04への進化の度合いと比べれば、ややインパクトの薄いものかもしれませんが、多くのアフリカツインのファンは、RD07の登場でほっと一安心したことと思います。当時のトレンドは徐々にビッグオフ車(或いはデュアルパーパス車)のツアラー化へと向かっていました。イメージ的にも流れから外れつつあるアフリカツインに対し、HONDA が持っていたかつての情熱が薄れつつある事を心配していたからです。
その後、RD07は1996年に外装関係を中心とした小変更(マイナーチェンジ)を受けましたが、形式名に変更はありませんでした。(分類の便宜上、RD07後期型と呼ばれることがあります)
エンジンは吸排気系の見直しにより、最大馬力が57psから58psに向上しています。僅か1psのアップなので、これはおそらくリファインの目的が燃費や静寂性を高めることにあって、結果的に馬力が上がったのだと思います。
また、フロントカウルまわりのデザインも変更されました。走行時の風の巻き込みを少なくすることで快適性を高め、長距離ツーリングの負担を減らしています。
HONDA アフリカツイン RD07(後期型 1996年~)写真は99年モデル
RD07前期型で既に完成の域に達していたアフリカツインからすれば、今回のマイナーチェンジは、もはやモデルライフの延命と言えなくもありません。
BMWなどのように、根本的な見直しを繰り返してきた1000cc超の大排気量車と比較すれば、アフリカツインは基本構造や物理的なキャパシティの面で、もはやこのジャンルをリードする存在とは言い難くなってきたのです。
RD07は輸出のみでなく、200台~300台規模ではありながら継続的に国内限定販売を続けてきましたが、2002年をもって生産を終えました。RD07(後期型)はアフリカツインの実質的な最終型となったのです。
ビッグオフからパリダカレプリカへの流れをつくったアフリカツインは、新たに製造されることはなくても、まだまだ世界で数え切れない程の台数が現役で走り回っています。
そしてアフリカツインの最終章が、新たなコンセプトの元に開発されたBMW迎撃マシン、HONDA バラデロの序章へと繋がっていくのです。
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アフリカツイン(RD07前期型)の主な諸元は以下のとおりです。
(括弧内は1990年モデルのRD04)
型式:RD07(RD04)
発売日:1993/4/12(1990/3/20)
全長×全幅×全高:2320×905×1430(2330×895×1420)
軸距:1555mm(1560mm)
シート高:865mm(880mm)
車両重量:234kg(236kg)
乾燥重量:207kg(209kg)
エンジン型式:RD04E(←)
排気量:742cc(←)
最高出力:57PS/7500rpm(←)
最大トルク:6.1kgm/6000rpm(6.1kgm/5500rpm)
燃料タンク容量:23L(24L)
タイヤサイズ 前:90/90-21(←)
タイヤサイズ 後:140/80-17(130/90-17)
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アフリカツイン(RD07後期型)の主な諸元は以下のとおりです。
(括弧内は1993年モデルのRD07前期型)
型式:RD07
発売日:1996/2/23(1993/4/12)
全長×全幅×全高:2320×905×1430(←)
軸距:1555mm(←)
シート高:870mm(865mm)
車両重量:234kg(←)
乾燥重量:207kg(←)
エンジン型式:RD04E(←)
排気量:742cc(←)
最高出力:58PS/7500rpm(57PS/7500rpm)
最大トルク:6.1kgm/6000rpm(←)
燃料タンク容量:23L(←)
タイヤサイズ 前:90/90-21(←)
タイヤサイズ 後:140/80-17(←)