ハローワークで知ったこと | 潰瘍性大腸炎さんがなかなか別れてくれない

潰瘍性大腸炎さんがなかなか別れてくれない

潰瘍性大腸炎歴30年目で大腸全摘した人のブログです。

手術後も潰瘍性大腸炎の薬が必要になるとは思っていませんでした。
潰瘍性大腸炎さん、いつになったらわたしと別れてくれますか?

ハローワークのイラスト

 潰瘍性大腸炎で大腸全摘後に会社を退職し、それからずっと雇用保険の受給期間延長をしていた私は、退職から3年目の今年、延長を解除して失業手当をもらおうとハローワークへ足を運んだ。ハローワークへ行くのは人生初。そこで私は、これまでまったく気にしなかった雇用保険制度の数々を知った。

 

 

私がハローワークへ行ってはじめて知ったこと。それは、

  1. 受給開始までの日数が決まる条件と、受給できる日数が決まる条件は違う
  2. 失業手当をもらうには条件が多い
  3. 失業手当をもらう人は職探しをすることが大前提だが、その仕事は正社員に限らない
  4. ハローワークの求人には、雇用保険の対象にならない労働条件のものもある
  5. 職業相談は、難病に関する就労相談にも応じてくれる
  6. ハローワークの求人に申し込むには紹介状が必要
  7. ハローワークの求人はネット検索できる

今回は、これらを順に説明したい。

 

 

1. 受給開始までの日数が決まる条件と、受給できる日数が決まる条件は違う

 

 失業手当は退職するとすぐもらえるわけではなく、受給がはじまるまでの日数は退職理由によって異なる。簡単に云うと、会社都合で退職した人は7日で、自己都合で退職した人は7日プラス2ヶ月または3ヶ月、といった具合に。

 

私は休職期間満了による退職で会社都合退職にあたる、と総務担当者から聞いていた。実際もその通りで、私は7日の待機期間のみで受給開始となった。

 

 次は失業手当の受給日数。これも2通りある(障害者に適用されるものは除く)。ハローワークで渡された「雇用保険受給資格者のしおり」の内容を引用すると、

(1)定年・自己都合・懲戒解雇・契約期間満了等により離職した方は90日から150日

(2)倒産や解雇、雇止め等により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた方は90日から240日

と、(2)の方が保証が手厚くなっている。

 

これを読んで、私は(2)に該当かなと思った。会社都合退職だし、病気で休職中に会社規程の休職期間が満了して自然退職となったので、当然再就職の準備をする時間的余裕などなかったから。その後、病気療養による雇用保険受給期間延長をしていた期間も、病気療養中だから再就職準備なんてできる状態ではなかった。

 

しかし結果は違い、私は(1)とのこと。私は意味がわからず担当者に理由を尋ねたら、「休職期間満了による退職はこれまでずっと(1)なので」と説明された。制度上そうなら仕方がないが、私は少しがっかりした。勝手な勘違いと言われればその通りだが、なんだか少し騙された気分だった。

 

そもそも、(2)の後半部分の記述が紛らわしい。なぜなら、病気で休職したり退職したりした人は皆、再就職の準備をする時間的余裕なんてないと思うから。退職を余儀なくされるほどの病気であるなら、時間だけでなく精神的にも余裕なんてあるわけない。しかしそうした事情はまったく関係ないらしかった。

 

 これには注意が必要で、雇用保険について解説しているいくつかのWebサイトにはここを誤認させるような記述がある。私がこのブログを書いている現在も、Googleで「雇用保険 受給日数、会社都合退職」と検索をしてみると、「会社都合で仕事を辞めた場合、給付日数は90〜330日」などの強力スニペットが表示された。これでは多くの人が誤解するだろう。

 

 正しくは、失業保険の受給日数は会社都合退職か自己都合退職かで決まるのではなく、退職した理由によって上記(1)か(2)かが決まる。そこからさらに、雇用保険被保険者として雇用されていた期間と離職時の年齢によって最大日数が決まることになっている。

 

もっと詳しく知りたい人は、ぜひ厚生労働省のWebサイトで確認してほしい。

 

 

2. 失業手当をもらうには条件が多い

 

 失業手当を受給するには就職活動をしないといけない。一応それは知ってはいた。が、雇用保険受給説明会で詳しい話を聞くと、想像していたよりも条件が多くて驚いた。

 

まず、初回訪問ですぐに認定日が決まり、その認定日は必ずハローワークに行って報告しないといけないとか。認定日は4週ごとで、日程は余程のことがないと変更できないとか。時間も指定されるとか。次の認定日までの間に2回の求職活動が必要だとか。その求職活動は、ネット検索をするだけでは活動実績にならないとか。

 

私は何も知らずハローワークへ行ったので、初日に「あなたの認定日はこの日なので必ず来てください」と言われことが衝撃だった。そして、自分の認定日が主治医の外来診察日と同じでなくてよかったと思った。まあ、認定日と通院日が被ったら外来予約の方を別の週に変更すればよい話だが、たぶん気持ちが落ち着かなかったと思う。

 

 

3. 失業手当をもらう人は職探しをすることが大前提だが、その仕事は正社員に限らない

 

 私は、前職を退職したとき傷病手当を受給していて、傷病手当の受給が終わると失業手当が受給できると総務の担当者から聞いていた。このとき私は、失業手当はフルタイム正社員として働けるようにならないと受給できないと思っていた。しかしそれは間違いだった。

 

ずいぶん前から雇用保険はパート労働者にも適用されているから、正社員に限らず、派遣やパート、アルバイトでも対象になる場合がある。そして、失業手当がもらえる条件の一つは雇用保険が適用される労働条件の仕事を探すことなので、パート・アルバイトでもいい。

 

思い返せば、雇用保険受給期間延長決定通知書には「延長の解除は週20時間以上労働できると医師が判断したとき」と書かれていた。だからちょっと計算してみればわかったはず。私はそれだけ関心がなかったのだろう。

 

 ハローワークで仕事を探すとき、まず求職申込書を提出する。この申込書が、正社員希望かパート希望かを選ぶ形式になっている。

 

私は時短勤務(1日6時間)でも体調をコントロールできなかった過去があり、フルタイム勤務は正直きついと思っていたので、迷わずパートを選んだ。

 

 パート希望者は、求職申込書に希望する労働時間・週の出勤日数も記入する。失業手当をもらうなら、これを週20時間以上になるように記載しないといけない。例えば、1日4時間労働の週5日勤務とか、1日5時間労働の週4日勤務とか。

 

仮に1日4時間の週3日と書いてしまうと、週20時間以上はたらく意思がないとみなされ、失業保険の受給資格がなくなってしまうので注意が必要。

 

 

4. ハローワークの求人には、雇用保険の対象にならない労働条件のものもある

 

 私は当初、ハローワークの求人はすべて雇用保険対象の仕事なのかと思っていた。ハローワークも雇用保険も同じ厚生労働省の管轄だからという理由で。しかし違った。

 

パートの求人には、週の所定労働日数が2日や3日など、雇用保険が適用されない仕事もある。

 

 ついでに、ハローワークのパート求人は「雇用期間の定めあり」が多いと感じた。期間は1ヶ月や3ヶ月、1年や3年など様々。契約更新の可能性についても、原則更新や条件による更新、更新なしと色々。

 

私が学生のころ経験したアルバイトは期間が決まっていなかったので、案外雇用期間が決まっている求人が多いのだなと思った。社会人向け求人はだいたいこうなのだろうか。

 

私が検索で見つけた求人の中にはハローワーク職員(パート)の求人もあり、それも「雇用期間1年、更新なし」だった。私は、ハローワークは労働者が安定した仕事に就けるよう支援する組織と認識していたので、まさかそのハローワークが1年限りの労働者を募るとは、と少々複雑な気持ちになった。

 

 

5. 職業相談は、難病に関する就労相談にも応じてくれる

 

 これこそ、私が今回一番書きたかったことである。

 

 特定疾患受給者証を持つ人は難病支援センターで就業相談ができるが、場所は数が少ないため遠かったり利用には予約が必要だったりして、敷居が高いと感じていた。

 

でも、職探しに関することなら、普通のハローワークの職業相談窓口でも相談に応じてくれる。経験してそれがわかった。

 

病気の心配があると、求人先が難病の人でも応募可能な職場かとか、必要な配慮をしてくれそうかとかが気になるもの。

 

 私の場合は雇用主が難病の人を雇ったときにもらえる助成金※ の存在を知っていたので、職業相談で自分が難病患者であると告げ、「応募検討の段階で自分に必要な配慮が受けられる職場かどうかがわからないと決められないし、安心して応募ができない」と伝えた。すると、そのときの担当者に「応募先に直接電話で聞いてみましょうか」と提案された。

 

具体的には、私は大腸がないから排便回数が多くて我慢もできない。だから、職場がいつでもトイレに行っていい環境または雰囲気かどうか知りたい。また、トイレが近くにあるか、個室は複数か、温水洗浄機能付き(いわゆるウォシュレット)かも気になる。通院や検査のある日は確実に休みにできないと困るので、出勤日が固定されていたり融通がきかない職場では継続して働けない。

 

これをハローワーク担当者に伝えたところ、私が応募を検討している求人先に、その場で電話確認してくれたのであった。おかげで安心して応募ができ、とても助かった。

 

 ただ、こうした問い合わせをしてもらうからには、病気を開示して求人に応募するということでもある。私は、以前の職場では周囲に病気を開示していなかった(知っていたのは総務部長だけ)。だからはじめは迷った。でも、私の過去と現在の状況を聞いてくれたハローワークの担当者に、そんな状況で病気を隠して働くのはもっとつらいんじゃない?と問われ、確かになあと思った。そうして、自分はこれからは病気を開示して仕事を探そう!と決めた。

 

※: 厚生労働省の特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)

 

 

6. ハローワークの求人に申し込むには紹介状が必要

 

 ハローワークで紹介している求人のほとんどは、応募するときにハローワークが発行する紹介状が必要。私はこれも、ハローワークに行くまで知らなかった。

 

 

7. ハローワークの求人はネット検索できる

 

 ハローワークにある求人票は紙だが、専用のWebサイト(ハローワークインターネットサービス)で見ることもできる。ネットだと条件で絞り込んで求人を探せるのでとても便利。私は実際に使ってそう思った。

 

私は主に、ネットで求人検索して、気になる求人があったらハローワークに行って詳しく聞く。そういう使い方をしている。

 

***

 

あとがき

 

 私は潰瘍性大腸炎で大腸全摘したとき、ギリギリまで前職場に復帰する気でいた。全摘手術したあと人工肛門の状態で復帰するつもりだったし、予定より早く人工肛門を閉じたときは、復帰後にまた入院しなくていいからうれしいとさえ思っていた時期が確かにあった。いま思うと謎だ。なぜそこまで復職を当たり前に考えていたのか。

 

結果的に、私は復帰せぬまま退職してよかったと思っている。私には仕事を忘れて療養する期間が必要だった、とあとでわかったから。その長い療養生活のおかげで私は大腸のない身体に慣れることができたし、考え方も変えることができた。以前の私は仕事が第一だったけど、いまは何より身体が第一。

 

だからこれからは、自分が体調を崩さずに続けられるペースで働いていける職場を探す。そう心に誓っている。