さて、前回に引き続き、伝えるときに気をつけていることを書き留めていきます。
前回は相手の内側から自発的に変えていく(変わってもらう)というお話だったのですが、今回は、たくさん伝えたいことがあるときにそれを効果的に伝えていく方法についてです。
指導員が生徒に多くの指摘をしてしまうとき、その指摘を飴玉に例えると、山盛りの飴玉を相手の頭上から一気に浴びせるようなイメージがあります。
もちろんそんなことをすればすべての飴玉を受け取れるわけもなく、その多くがこぼれ落ちていくでしょう。
逆に、ひとつづつ「はい飴玉です、次はこの味の飴玉です…」と渡していけば、誰でも受け取れるような気がしますね。
もちろん受け取るスピードには個人差があります。片手でしか受け取れない人、両手で受け取れる人、足も使って受け取れる人…。
このように相手のキャパシティを考えてアドバイスを与えていかなければならないということには常々留意していますが、他に考えなければならないのが、与える手段と与える順番だと思います。
『手段』について
昔はよくわかっていなかったのですが、文章を読み取って理解するのが得意な人、またはそれが苦手な人、図で理解するのが速い人、遅い人、音声で理解するのが得意な人、苦手な人…いろんな種類の人がいるようですね。
初めて担当する生徒であっても、最初に話した時の手応えで、どの手段が一番伝わりやすいかを瞬時に察してあげて、効率よく伝わるようにしたいと考えています。
「あぁこの人は耳から言葉を処理するのが苦手なんだな、じゃあイラストならどうかな…」みたいな感じで、次々と効く薬を試していくんですね。
『順番』について
重要度の高いものから与えていく必要があると思います。
葉っぱから枝と幹が生えてくることはないので、幹がありそこに枝が生えて最後に葉っぱが生えるようにして、完成形をイメージしながら成長させたいと考えます。
例えば、行き先を見ることさえできない人にハンドルの回し方を説いてもさらに行き先を見なくなるだけなので、この場合に優先して解決する、幹となる部分が、視野の取り方だと思います。
「この際ハンドルの回し方は後にしよう!まず道を見る訓練をしましょう!」といった感じです。
我々指導員は、助手席に座って道案内しているだけのようにも見えますが、いつも残り時間から逆算して「今日はこれとこれをやろう!」と忙しく思考を巡らせています。
ときには当初の計画を諦めて「今日はこれだけ!これだけは成長させる!」と決めて、何か一つでも成長を褒めてあげられるようにしたりもします。
二兎を追って一兎も得られなかったら、教習生が「この時間何が成長したんだろう…」とネガティブになって帰ることにもなりかねませんからね…。
教習は、50分で相手をいかに成長させるかという試練だと思います。
可能な限り無駄のないように、でも無駄を削ぎすぎて人間味が減ることもないように、これからも指導を研究していきます。
長くなりましたが、前後編「より効果的に伝えるには」でした。
ではまた!