【千一夜物語/景録】第3夜〜第814夜のうちから9話を歌詞にした | 大阪文学学校本科修了生・元産科ナースが書く【動物愛護と俳句のブログ】

大阪文学学校本科修了生・元産科ナースが書く【動物愛護と俳句のブログ】

大阪文学学校本科修了生。主に、動物の俳句を記事にします。♦6/29より、エンタメ系の記事を1番目に、メイン記事(俳句はこちらにあります)を2番目に置きます。








これは2024/04/05に作成した新記事です


千夜一夜物語のあらすじ 

《引用元》

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%83%E5%A4%9C%E4%B8%80%E5%A4%9C%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%89%E3%81%99%E3%81%98



今『千一夜物語』(岩波書店刊)を読んでいます。これまで、第3夜〜814夜のうちから9話を歌詞にしました。9話が含まれている全物語をWikipediaの「千一夜物語のあらすじ」より引用してまとめました。





第1曲目の元物語

🕌美しきズームルッドと「栄光」の息子アリシャールとの物語(第316夜 - 第331夜)


  • バートン版「アリ・シャルとズムルッド(第308夜‐第327夜)」
  • 東洋文庫版「アリー・シャールとズムッルドとの物語(第308夜‐第327夜)」

昔、ホラーサーンの国の豪商「栄光」にはアリシャールという美しい息子がいたが、「栄光」が死ぬと浪費を始め、一文無しになってしまった。アリシャールが歩いていると、美しい女奴隷が競りに掛けられているのが目に入った。女奴隷はズームルッドという名で、買いを入れた老人ラシデッディーンに難癖をつけ、次に買いを入れた者にも難癖を付け、女奴隷が同意しないと売買は成立しないという条件だったので、競りは不成立になりそうになった。ズームルッドはアリシャールを見つけ、買うように頼んだが、アリシャールは一文無しなので買えないと言うと、ズームルッドは自分の千ディナールをアリシャールに渡し、アリシャールはその金で買いを入れて落札した。

ズームルッドはアリシャールの家に行き、愛し合った。朝になると、ズームルッドは無数の刺繍のある美しい垂れ幕を作り、アリシャールはそれを市場で50ディナールで売った。ズームルッドは毎週美しい垂れ幕を作り、アリシャールはそれを売り、2人は幸せに暮らした。ある日、見知らぬキリスト教徒がアリシャールの後を着けて来て、アリシャールの家に入り込み、水を求め、次に食事を求めた。アリシャールは面倒になり食事を与えたが、一緒に食べようと言われ、一口食べたところ、麻酔薬で眠らされてしまった。このキリスト教徒はバルスームと言い、ラシデッディーンの弟で、ズームルッドをさらって行った。

麻酔から覚めたアリシャールは、ズームルッドがいなくなったことを知り、町を狂乱してさまよったが、ある老婆に呼び止められ事情を話すと、老婆は力になると言い、物売りになって町の家々を回り、物を売りながら台所女からズームルッドの噂を聞いて回った。老婆はラシデッディーンの家にも行き、ズームルッドを見つけ、明日の晩アリシャールが来て口笛を吹くので、そうしたら家から逃げ出すようにと言った。

次の晩、アリシャールはラシデッディーンの家の前で眠ってしまい、それを見たアフマート・エド・ダナフ盗賊団のクルド人ジワーンと言う盗賊がアリシャールの衣服を剥ぎ取っていると、ズームルッドは盗賊をアリシャールと勘違いし、口笛を吹き、ジワーンも口笛を吹き返したので、ズームルッドは家から逃げ出し、ジワーンにつかまってしまい、盗賊団の洞窟に連れて行かれた。洞窟で、ジワーンは母である老婆にズームルッドを預け出て行った。ズームルッドは老婆が眠ったすきに、道中の安全を考え男装し、馬を奪い逃げ出した。

11日目の朝、ある町に着くと、町中の人が男装のズームルッドを歓迎した。その町の王が世継がなく死んだので、その町の風習に従い、初めにその道を通って町に入ったズームルッドが新王になったのであった。ズームルッドは貧しい人に財産を分け与え、善政を敷いた。ズームルッドは毎月の始め、町にいる人全てを広場に集め、数々の料理を振る舞い、人々を観察した。すると、クリーム飯を食おうとしているキリスト教徒バルスームを見つけたので、捕まえ、悪行を自白させ死刑にした。次の月、クリーム飯を食おうとしている盗賊ジワーンを見つけたので、捕まえ、悪行を自白させ死刑にした。その次の月、クリーム飯を食おうとしているラシデッディーン老人を見つけたので、捕まえ、悪行を自白させ死刑にした。町の人はだれもクリーム飯に近づかなくなった。

一方、アリシャールは、眠ってしまいズームルッドを救出できなかったことを悔い、ズームルッドを探す旅に出た。1年後ズームルッドが治める町に来て、広場での食事に加わり、クリーム飯を食おうとしたところ、ズームルッドに見つけられ、召し出され、男装のズームルッドに気付かず戸惑うが、ついに王がズームルッドと気付き、愛し合った。ズームルッドは退位し、アリシャールとホラーサーンに帰り、幸せに暮らした。






第2曲目の元物語

🕌ヌレンナハール姫と美しい魔女の物語(第807夜 - 第814夜)


昔、ある国に、長男アリ、次男ハサン、三男フサインという3人の王子がいた。3人の王子たちは美しい従姉妹のヌレンナハール姫に恋をし、最もすばらしい宝を持って来た者が結婚するということになり、旅に出た。3人はある宿屋で、1年後宝を持って再会することを約束し、分かれた。

長男アリ王子は、インドの海に面したビスシャンガール王国に着き、美しい町並みと、珍しい品々を見ていると、3万ディナールで祈祷用の絨毯を売る商人がいた。不思議に思い、聞くと、その絨毯は魔法の絨毯で、心に念じればどこにでも空を飛んで運んでくれるもので、たとえ門が閉まっていても門はひとりでに開くというものであった。アリ王子は4万ディナールでそれを買った。

次男ハサン王子は、ペルシャのシーラーズの都に着き、その国の言葉でバジスターンという市場に行き、珍しい品々を見ていると、3万ディナールで象牙の筒を売る商人がいた。不思議に思い、聞くと、その象牙の筒は魔法の望遠鏡で、心に念じればどんなに遠くの物でも見えるものであった。試しにヌレンナハール姫を心に念じ覗くと、浴場でお化粧をする姫が見えた。ハサン王子は4万ディナールでそれを買った。

三男フサイン王子は、サマルカンド・アル・アジャムに着き、バザールで珍しい品々を見ていると、3万ディナールでスイカほどの大きさの林檎を売る商人がいた。不思議に思い、聞くと、その林檎は魔法の林檎で、その匂いを嗅げばどんな病気でも治るというものであった。試しに今にも死にそうな盲目の中風の病人に匂いを嗅がせたところ、病人はたちまち直り、元気に走り去っていった。フサイン王子は4万ディナールでそれを買った。

3人は約束の宿屋で再会し、互いの品物を見せ合ったが、次男のハサン王子が象牙の望遠鏡でヌレンナハール姫を見ると、姫は瀕死の病気で、周りの奴隷たちが嘆き悲しんでいる様子が見えた。そこで、3人は長男アリ王子の魔法の絨毯に乗り空を飛んでヌレンナハール姫の病室まで行き、三男フサイン王子の林檎の匂いを嗅がせると、ヌレンナハール姫はたちまち元気になった。

3人の品物はどれも劣らずすばらしい品物で、どの1つが欠けてもヌレンナハール姫を助けることができなかったので、勝負は引き分けとなった。そこで、決着を着けるため、矢を一番遠くまで飛ばすことができたものがヌレンナハール姫の夫になることにした。まず長男アリ王子が矢を撃ち、次に次男ハサン王子が矢を撃つとアリ王子の矢より遠くに飛んだ。三男フサイン王子が矢を撃つと、矢はどこまでも飛んで行き、見えなくなってしまった。矢が見つからないので、勝負は次男ハサン王子の勝ちとなった。

ハサン王子とヌレンナハール姫の結婚式の日、長男アリ王子は悲しみのあまり王位継承権を放棄し、修道僧となり王宮を去った。フサイン王子は、射た矢を探し、矢の飛んだ方向にどこまでも進んでいくと、切り立った岩山の麓に矢が落ちているのを見つけた。よく見ると、岩山には切れ目が入っており、触ると扉のように開いた。フサイン王子が入り暗闇の中を進んで行くと、広々とした草原に出て、そこには壮大な御殿があり、美しい女がフサイン王子に挨拶をして御殿の中に招き入れた。

女は実は魔神(ジン)で、魔法の絨毯も、魔法の望遠鏡も、魔法の林檎も、全てはこの女魔神の物であった。女魔神はフサイン王子をずっと見ていたと言い、結婚を求めた。フサイン王子はヌレンナハール姫を上回る美貌の女魔神を見て、結婚を承諾した。フサイン王子は6か月間その女魔神の御殿で、幸せに過ごした。

6か月すると、フサイン王子は、王のことが気になり、王宮に帰りたいと女魔神に言った。女魔神は場所を知られないように用心することと、すぐに帰ってくることを条件に、王宮に行くことに同意した。フサイン王子は召使の魔神たちを連れて、豪勢な行列を組んで王宮に帰った。王はフサイン王子の帰還を喜び、フサイン王子がどこにいたかを聞いたが、フサイン王子は答えなかった。フサイン王子は毎月1回王宮に来ることを約束して女魔神の御殿に帰った。

次の月、フサイン王子が来たとき、大臣たちは行列の見事さから、フサイン王子の力が強大であり、謀反を起こすかも知れないと、王に進言した。王は狡猾な老婆を呼び、王子の後をつけさせたが、王子が消えた岩の扉を、老婆はどうしても見つけることができなかった。

次の月、老婆は秘密の岩の扉の近くで病人のふりをして倒れていた。そこに出て来たフサイン王子は、老婆を見つけ、治療するため老婆を連れて女魔神の御殿まで戻った。女魔神は老婆にどんな病気も治す「獅子の泉」の水を与えた。老婆は女魔神の御殿を案内してもらい、その豪華さに驚いた。老婆は帰るため岩山の扉を出ると、再び入り口が分からなくなっていた。

老婆は王宮に戻り、王と大臣たちに女魔神の宮殿の豪華さを伝え、今度フサイン王子が来たら、魔法の天幕など献上することを要求し、要求に従わなければ殺そうと話した。フサイン王子に要求を伝えると、フサイン王子は承諾し、御殿に帰って女魔神に相談した。女魔神は魔法の天幕を出し、シャイバールという名の身長40〜50cmで、ひげが10mもある力持ちの魔神を呼び出し、フサイン王子のお供をして王宮に行くように言った。

王宮に着くとシャイバールは、フサイン王子の謀反を疑ったとして老婆と大臣たちを鉄棒で殴り殺し、王には退位を迫った。王は退位して修道僧になり、長男アリ王子と隠遁した。フサイン王子は新しい王になり、次男ハサン王子は、陰謀に加わっていなかったので、王国の最も豊かな地方の領主となった。フサイン王子は女魔神の妻と幸せに暮らした。






第3曲目&第4曲目の元物語
🕌漁師と鬼神との物語(第3夜 - 第9夜)

  • バートン版「漁師と魔神の物語(第3夜‐第9夜)」
  • 東洋文庫版「漁夫と魔王との物語(第3夜‐第9夜)」

ある漁師が網を打つと、スライマーン(ソロモン王)の封印がある壷が取れた。漁師が壷を開けると、サクル・エル・ジンニーという鬼神が現れた。鬼神が漁師を殺そうとすると、漁師が「本当にこの小さな壷に入れるのか」と聞き、鬼神が壷に入ったところを、再度封印してしまった。鬼神は封印を解くように懇願するが、漁師は「イウナン王の大臣と医師ルイアンの物語」を語り断った。しかし、鬼神は再度懇願したため、漁師は封印を解き、鬼神はお礼に、不思議な魚が取れる湖を漁師に教えた。

漁師はその湖で魚を取り、王(スルターン)に献上して多額の褒美をもらった。王の料理人が魚を料理しようとすると、調理場の壁から乙女が出てきて、魚を黒こげにし、壁の中に消えて行った。王は不思議に思い、漁師から湖の場所を聞き、調査に出かけたところ、湖の畔の宮殿に住む故マームード王の子であるマサウダ王に出会った。以前、マサウダ王は、妻が黒人と浮気しているところを見つけ、黒人を殺そうとしたが、逆に妻の魔法にかかり、下半身を石にされて動けなくなり、国民は魚にされ、国は湖にされていた。王は話を聞くと、黒人を殺し、黒人のふりをして、マサウダ王の妻に魔法を解くように命じ、魔法が解けると女を殺した。王には子供がいなかったので、マサウダ王を養子にして、都に帰り幸せに暮らした。


イウナン王の大臣と医師ルイアンの物語

ルーム人(ローマ人)の国ファルスのイウナン王はらい病にかかり、誰も治せなかった。そこにルイアンという医師が来て、「馬に乗って槌で玉を打てば治る」と言い、実際王の病気は治った。王はルイアンを重用したが、それに嫉妬した大臣がルイアンを中傷し、殺すように進言した。それに対し、王は「シンディバード王の鷹」の話をし、ルイアンを庇う。これに対し大臣は「王子と食人鬼の物語」をし、王にルイアンを殺すことを決心させる。

王はルイアンを呼び出し殺すことを告げるが、ルイアンは王に一冊の本を献上し「私を殺したら、この本を開いて読めば、私の首はどんな問いにも答えるでしょう」と言った。王は驚き、ルイアンを殺す前に本を読もうとするが、本の紙は張り付いていて、容易にページをめくることができず、王は指をなめながらページをめくるが、実は本には毒が塗ってあり、毒をなめた王は死んでしまった。

シンディバード王の鷹

ファルスの王シンディバードは、ある時、家来と共に狩に出て大きな羚羊(カモシカ)を見つけ「これをやり過ごした者は命がないぞ」と宣言した。ところが羚羊は、王の頭上を飛び越えて逃げてしまい、王は自分に死刑を宣告した形になってしまった。その時、王の鷹が羚羊に追いつき、クチバシで眼を潰して羚羊を動けなくし、王は羚羊を捕まえることができた。

王は、木の幹をつたう水を見つけ、杯に取って鷹に与えるが、鷹は杯を倒して飲まなかった。今度は馬に与えるが、鷹はそれも倒して馬に飲ませなかった。王は怒り、鷹を殺すが、王が水と思っていた物は、毒蛇の毒であったことを知り後悔した。

王子と食人鬼の物語

ある王子が狩に出たとき、大きな獣が見つかり、お供の大臣は王子に追いかけるように言った。王子は砂漠の奥深くまで獣を追って行ったが、結局見失ってしまった。すると、そこで王子は隊商からはぐれたインドの王女を見つけ、これを助けて馬に乗せ帰ろうとした。

帰る途中、王女は用を足しに行きたいと言い、王子は馬を休めた。王子は王女の後をこっそりつけて行き、王女は実は女食人鬼で、王子を食べようとしていることを知った。戻ってきた王女に王子は「私には敵がいる」と言うと、王女は「神に祈れば敵は消える」と答えた。王子が神に祈ると、王女は消えてしまい、王子は助かった。王子は、大臣が獣を追うように言ったことがこの危険の原因と考え、大臣を死刑にした。






第5曲目の元物語
🕌荷かつぎ人足と乙女たちとの物語(第9夜 - 第18夜)


  • バートン版「バグダッドの軽子と三人の女(第9夜‐第19夜)」
  • 東洋文庫版「荷担ぎやと三人の娘の物語(第9夜‐第19夜)」

バグダードのある荷かつぎ人足の所に、美しい乙女ファヒマが来てこれを雇い、市場で買った豪華な料理や菓子を大きな館まで運ばせた。館には、上の姉ゾバイダと中の姉アミナがおり、荷かつぎ人足は雄弁の才能を気に入られ、客として迎えられ、4人は全裸で戯れた。

すると、3人の托鉢僧(カランダール)が訪ねて来て、さらに、商人に変装した教王(カリーファハールーン・アル・ラシード、大臣ジャアファル・アル・バルマキー、御佩刀持ちマスルールの3人組が訪ねて来た。全員が「汝に関わりなき事を語るなかれ、しからずんば汝は好まざることを聞くならん」と誓うと、客として迎えられる。食事が済むと、上の姉ゾバイダは2匹の牝犬をムチで打ちはじめた。次に、中の姉アミナは琵琶を弾き詩を歌い、感極まって服を破ってしまうが、体にムチの痕があるのが見えた。客たちは、不思議に思い、誓いにもかかわらず、姉妹に質問してしまった。すると7人の黒人剣士が現れ、客を全員縛ってしまった。そこで、客たちが身の上話をすることになり、「第一の托鉢僧の話」「第二の托鉢僧の話」「第三の托鉢僧の話」が語られた。乙女たちは話に感動し、客全員を許し解放した。

翌日、宮殿に帰った教王は、3人の乙女と3人の托鉢僧を呼び出し、乙女たちに話をさせ、「第一の乙女ゾバイダの話」と「第二の乙女アミナの話」が語られた。教王は、女鬼神を呼び出し2匹の牝犬を2人の乙女に戻し、ゾバイダとこの2人の乙女を3人の托鉢僧と結婚させた。中の姉アミナは教王の息子アル・アミーンと結婚させ、末の妹ファヒマは教王自身と結婚させた。荷かつぎ人足は侍従長に任命した。彼らは、教王の庇護の下、幸せに暮らした。

第一の托鉢僧の話

私はある国の王の息子で、父王の弟は別の国の王で、私はその国に遊びに来ていた。ある夜、弟王の王子に頼まれて、王子とある女と3人で墓場まで行き、王子と女が地下階段を下りたら、階段に蓋をして分からないように土で埋め、そのことを秘密にするように言われ、その通りにした。しかし、私は秘密を守ることが負担になり、自分の国に帰ろうとした。

ところが、自分の国では大臣が反乱を起こして父王を殺しており、私は捕らえられてしまった。以前、私は大臣の目を誤って矢で潰しており、その復讐として大臣に左目を潰され、さらに処刑されることとなった。しかし、父王の恩を知る者により逃がしてもらった。

私は、弟王の都に行き、弟王に全てを話した。弟王は、地下階段を見つけ、下りていくが、王子といっしょにいた女は実は王子の妹であり、近親婚が許されないため地下に食料を蓄えそこで暮らそうとしたものであったが、地下の寝台で神の怒りに触れて抱き合ったまま炭になっている2人を発見した。

そのとき、自分の国の大臣の軍が弟王の国に攻めてきて、これを滅ぼした。私は托鉢僧(カランダール)となり、バグダードに逃げることとなった。

第二の托鉢僧の話

私はある国の王子であったが、インドへ向う旅の途中、盗賊に襲われ、一人見知らぬ町に逃げ延びた。国に帰ることができず、木こりとして生活するが、ある日、森で斧が地中に埋もれた銅の輪にひっかかり、それを掘り上げると、地中に繋がる階段が現れた。それを下りると、豪華な広間に通じ、寝台に美しい乙女がいた。乙女はインドの黒檀島の王アクナモスの王女で、12歳の時、結婚式の前夜、魔王の息子ラジモスの息子ジオルジロスにさらわれて、以来20年間ここに監禁されて、10日に1晩、鬼神ジオルジロスの相手をさせられていた。私は鬼神の不在を良いことに王女と交わるが、結局鬼神に見つかってしまい、王女は折檻の末殺され、私は猿にされて、ある山の頂に捨てられた。

猿になった私は、山の頂から転げ落ち、海岸に着き、通りかかった船の船長に拾われた。船がある港に入ったところ、猿になった私は紙に見事な筆跡で詩を書いたので、港の王は驚き、王は船長から猿になった私を買い取り、宮殿で飼うことにした。宮殿では姫君が私の正体を見破り、私を元の姿に戻そうと、鬼神ジオルジロスと激しい魔法の戦いを始めた。戦いで火と火がぶつかり合い、鬼神ジオルジロスと姫君は焼け死に、王は顔の下半分を焼かれ、私は左目を焼かれて失うが、人間の姿に戻ることができた。

姫君を失った悲しみに、王は私に去るように言い、私は托鉢僧(カランダール)になって、バグダードに来た。

第三の托鉢僧の話

私はある国の王子であり、父王カシブの死後、王となった。あるとき領地を巡る船の旅に出たが、嵐で進路を失い「磁石の島」に船は引き寄せられ分解し、私は「磁石の島」に打ち上げられた。すると声が聞こえ、「足元を掘ると弓と3本の矢が見つかるので、それで島の頂上にいる銅の馬に乗る銅の騎士を撃て。すると銅の騎士は海中に落ちるので、弓と矢を足元に埋めよ。島は沈むが、銅の男を乗せた船が通りかかるので、その船に乗り10日の旅の後、救いの海に至る。しかしアラーの名を唱えてはならない。」と告げられた。私はその通りに行動したが、10日目に思わずアラーに感謝の言葉を捧げてしまい、その瞬間銅の男は私を海に投げ捨てた。

私はある無人島に漂着した。私が見ていると、船が来て、土を掘って地中に埋めた階段を開き、食料と美しい少年をその中に残し、階段を再度埋めて、船は去っていった。私は、土を掘り返し、階段を降りたところ、少年は豪商の息子で、占い師から「磁石の島が沈んで40日後に、カシブの息子に殺される」というお告げを聞たので、ここに隠れに来たと話してくれた。私は少年といっしょに地下で暮らしたが、予言の日、私の持った包丁が少年の胸に刺さり、少年は死んでしまう。そこへ少年を迎える豪商の船が来たので、私は隠れた。

海を見ると、引き潮で島と陸が繋がっているのが見えたので、私はそこを渡って陸に逃げた。陸には巨大な真鍮の宮殿があり、そこに左目の潰れた10人の奇妙な若者と一人の老人がいて、老人に左目の理由を聞くと「羊の皮をかぶり露台にいると、ロクという巨鳥が羊と間違えさらって遠い山の上まで連れて行くので、そこで逃げ出し、歩いて黄金の宮殿まで行けば分かる」と言われた。言われたとおりにして黄金の宮殿に入ると、美しい40人の乙女たちがいて、非常な歓待を受け、40人と順番に夜を共にした。ある日、40人の乙女は「40日間宮殿を離れるが、庭の奥の銅の扉だけは開けてはならない」と言い、私だけを残し出かけてしまった。私は40日目に銅の扉を開けてしまうが、中に馬がいて、それにまたがると馬は空を飛び、真鍮の宮殿まで来て、私を落馬させ、そのはずみで私の左目が潰れてしまった。

私は、10人の奇妙な若者と一人の老人と別れ、托鉢僧(カランダール)となり、バグダードまで来た。

第一の乙女ゾバイダの話

私には、同じ父母から生まれた2人の姉と、父は同じだが母が異なる妹アミナとファヒマがいた。父が死んだとき、財産を姉妹で分け、私は姉2人といっしょに暮らしたが、姉2人はそれぞれ結婚し、商売の旅に出、夫が破産し離婚されて帰って来た。私は、姉2人を養ったが、1年後再び姉2人はそれぞれ結婚し、商売の旅に出、夫に捨てられて帰って来た。再度、私は姉2人を助け養うが、1年後、今度は3人で船旅に出た。

船は進路を失うが、住民がみな石になっている町にたどり着いた。私は宮殿の奥に入り込み、生きている若者を発見し尋ねると、若者は「この町の者は皆、ナルドゥンの神の信者であったが、アラーの神の怒りに触れ、全員石にされたが、イスラム信者である王子の私だけが助かった」と話した。私と若者は、バグダードに帰り結婚することを約束した。しかし、姉2人は嫉妬し、帰りの船から若者と私を海に投げ捨て、若者は水死した。

私は、ある島に打ち上げられた。ふと見ると、アオダイショウがマムシに追いかけられていたので、石をマムシに投げてマムシを殺した。アオダイショウは実は女鬼神で、女鬼神は助けてくれたお礼に、私を船の宝といっしょにバグダードまで連れて行き、姉2人を牝犬に変え、毎日この2匹の牝犬を300回ずつムチでたたくように言って去った。

第二の乙女アミナの話

私は、父が死んだ後、裕福な老人と結婚したが、すぐ夫は死に、多額の遺産を相続した。

ある日、私のところに醜い老婆が来て「家で結婚式があるので、賓客として来て欲しい」と言うので行ったところ、非常に大きな館で、結婚式はなく、それは、以前私を見て好きになった館の主である美しい若者と、私を会わせるために、若者の乳母の老婆がしくんだウソだった。私は若者を見て好きになり、私は「他の男には心を傾けない」と誓い結婚した。

ある日、醜い老婆をつれて市場の絹織物商人の店に行き、最も高価な商品を買おうとしたところ、商人が「金は受け取れない。かわりに頬にキスをさせてくれ」と言ってきたので、断ったが、醜い老婆が「キスをさせた方が良い」と説得するので、キスをさせたところ、頬に歯で傷をつけられた。家に帰り、夫に見つけられ、誓いを破ったとして殺されそうになったが、醜い老婆のとりなしで命は助かり、裸にされ一生消えない傷がつくようムチで打たれ、館から追い出された。その後、若者も館も消えてしまった。

後に、教王ハールーン・アル・ラシードが呼び出した女鬼神により、美しい若者は教王の息子アル・アミーンであることが分かった。






第6曲目の元物語
🕌美しきシャムスエンナハールとアリ・ベン・ベッカルの物語(第152夜 - 第169夜)

  • バートン版「アリ・ビン・バッカルとシャムス・アル・ナハルの物語(第153夜‐第170夜)」
  • 東洋文庫版「アリー・ビン・バッカールとシャムス・ウン・ナハールとの物語(第153夜‐第170夜)」

ある日、バグダードのアバールハサン・ベン・ターヘルという商人の店に、シャムスエンナハールという教王(カリーファハールーン・アル・ラシード)の美しい側室が来て、ペルシャ王の末裔でアバールハサンの親友の美しい王子アリ・ベン・ベッカルと出会ってしまい、2人は互いに一目惚れしてしまった。アバールハサンとアリ・ベン・ベッカルはシャムスエンナハールの女奴隷の手引きで宮殿に忍び込み、アリ・ベン・ベッカルはシャムスエンナハールと再会を果たした。そこに教王が来たので、アバールハサンとアリ・ベン・ベッカルは見つからぬよう逃げ出した。

アリ・ベン・ベッカルとシャムスエンナハールは、会えない恋のつらさから病気になった。アバールハサンは教王の怒りを買うことを恐れ、全財産を換金し、後事をアミンという友人に託しバスラに逃げた。アミンとシャムスエンナハールの女奴隷は連絡を取り、アミンの別邸でアリ・ベン・ベッカルとシャムスエンナハールを再会させる計画を立て、シャムスエンナハールは成功すればアミンに女奴隷を与えることを約束した。

計画は成功し、アリ・ベン・ベッカルとシャムスエンナハールはアミンの別邸で再会した。しかしその夜強盗が入り、別邸の財宝と2人をさらって行った。翌朝、アミンの所に盗賊の男が来てアミンを盗賊の隠れ家に案内し、2人が何者かを聞き、シャムスエンナハールが教王の側室と知ると、2人を解放した。しかし、そこに警吏隊が来てシャムスエンナハールを宮殿に連れ帰った。

2人は会えない恋のつらさから病気がますます重くなった。アミンのところに女奴隷から、教王が気付いたのですぐ逃げるようにとの連絡が入り、アミンは病気のアリ・ベン・ベッカルとともに町を逃げ出すが、野盗に襲われ、全財産を奪われた。アリ・ベン・ベッカルは失意のうちに死んだ。シャムスエンナハールも病が重くなり死んだ。アミンと女奴隷はアリ・ベン・ベッカルとシャムスエンナハールの墓を隣同士にし、埋葬した。






第7曲目&第8曲目の元物語
🕌鳥獣佳話(第146夜 - 第151夜)

鵞鳥と孔雀の夫婦の話

  • バートン版「鳥と獣と大工の物語(第146夜‐第147夜)」
  • 東洋文庫版「鳥獣と人間との物語(第146夜‐第147夜)」

ある孔雀の夫婦の所に、鵞鳥が一羽逃げてきた。聞くと「私はある夜、夢で『人間に注意せよ』と聞き、やみくもに逃げ出したところ、若いライオンに会った。そこへ人間から逃げ出したロバ、馬、ラクダが次々来て、口々に人間の怖さをライオンに話して逃げていった。そこへ人間が来て、ライオンは罠にかかって殺され、私は恐怖のあまり、ここまで逃げて来ました。」と鵞鳥は言った。そこに信心深い牡鹿が来た。牡鹿と孔雀の夫婦は毎日神に祈りを捧げたが、鵞鳥は忘れることがあった。ある日、人間が来て、牡鹿と孔雀の夫婦は逃げることができたが、鵞鳥は捕まり、食べられてしまった。

羊飼いと乙女の挿話

  • バートン版「隠者の話(第147夜‐第148夜)」
  • 東洋文庫版「聖者と鳩との物語(第147夜‐第148夜)」

ある国に、信仰心の厚い羊飼いがいたが、あるとき、神が信仰心を試そうと、天使に羊飼いを誘惑するように命じた。天使は若く美しい女の姿になり、羊飼いを誘惑するが、羊飼いは誘惑に負けず、信仰心を示した。

亀と漁師鳥の話

  • バートン版「水鳥と亀の物語(第148夜)」
  • 東洋文庫版「水禽とカメとの物語(第148夜)」

漁師鳥が獲物を探していると、禿鷹が見えたため、遠くへ逃げた。そこで亀と友達になり、互いに出会えたことを神に感謝した。

狼と狐の話

  • バートン版「狼と狐の話(第148夜‐第150夜)」
  • 東洋文庫版「狼と狐との話(第148夜‐第150夜)」

狼は狐を奴隷扱いし、いつも横暴に振舞っていた。ある日、狐は葡萄畑に人間が作った落とし穴を見つけ、狼を誘い出し、穴に落とした。狼は助けを請うが、狐は助けず、「鷹が鷓鴣を襲ったが、巣穴に逃げられ捕まえられなくなった。鷹は餌をあげると鷓鴣を騙し、巣穴から出たところを捕まえ食べるが、鷓鴣は自分の肉が毒になるようと呪い、鷓鴣も鷹も死んだ。」という「鷓鴣と鷹の話」をした。狼が助けてくれたら助言者になると言うと、狐は「自分の病気が治せない医者の話」をし、穴から自力で脱出できない狼の助言など役に立たないと言った。さらに、「蛇を助けて蛇に咬まれて死んだ人の話」、「子供を虐待すれば、恨みを抱き、大人になったときに復讐されても不思議ではない」と話し、大声を出して人を呼び、集まった人が狼を見つけ狼を殺すのを遠くから見ていた。

小鼠と鼬(いたち)の話

  • バートン版「二十日鼠と猫いたちの話(第150夜)」
  • 東洋文庫版「ネズミとイタチとの物語(第150夜)」

鼬(いたち)は胡麻の皮を剥く女の家で胡麻を一皿見つけ、腹いっぱい食べた。そして盗みの罪をなすりつけるため、小鼠に皿に胡麻が残っていることを教え、食べに行くようにそそのかした。小鼠は鼬の計略に気づかず、胡麻を食べているところを女に見つかり、胡麻を全て食べたと思われて殺されてしまった。

烏と麝香猫の話

  • バートン版「猫と烏の話(第150夜)」
  • 東洋文庫版「カラスと猫との話(第150夜)」

烏と麝香猫が森で話をしていると、虎の鳴き声が聞こえた。烏は木の上に逃げたが、麝香猫は逃げ場に困り、烏に助けを求めた。烏は羊飼いの犬を何匹もけしかけ、森に誘導した。森に犬が増えたため、虎は森から出て行った。こうして烏は麝香猫を救った。

烏と狐の話

  • バートン版「狐と烏の話(第150夜‐第152夜)」
  • 東洋文庫版「狐とカラスとの話(第150夜‐第152夜)」

ある所に獲物をとれないほど年老いた悪い狐がいて、食べ物がなくなったので自分の子供と妻を食べた。狐は近くにいた烏を手下にして食料を持って来させようと、話しかけた。烏は警戒したので、狐は「蚤が人から追われていたのを小鼠が巣穴にかくまい、小鼠が家の主人から金貨を盗めるよう、蚤が家の主人を刺しまくり水浴びをさせた」という「蚤と子鼠の物語」をして、異種族の動物間の友情を説いた。しかし、烏は「若い頃横暴だった禿鷹が、年老いて獲物を取れなくなり、若い頃の横暴さのため、誰からも軽蔑された」という「禿鷹の話」をして狐の本当の目的を言い当てた。また「大鷲が子羊をさらって行ったのを見た雀が、大きな羊をさらおうとしたが、羊を持ち上げることができず、逆に羊の毛が足に絡まって動けなくなり、羊飼いに殺された」という「雀の話」をして、年老いた狐が、元気な烏と対等の関係を築こうとするのは、雀のように僭越だと言った。狐は烏を手下にするのをあきらめて、去っていった。






第9曲目の元物語
🕌「幸男」と「幸女」の物語(第237夜 - 第248夜)

  • バートン版「ニアマー・ビン・アル・ラビアとその奴隷娘ナオミの話(第237夜‐第247夜)」
  • 東洋文庫版「ニイマ・ビン・アル・ラビーとその女奴隷ヌウムとの話(第237夜‐第247夜)」

昔、クーファの町に「春」氏というの豪商がいた。ある日、春氏に男の子が生まれ、その子は「幸男」と名づけられた。春氏は、奴隷市場で、生まれたばかりの女の子をつれた女奴隷「栄え」を買い、女の子を「幸女」と名づけ、幸男の妹のように育てた。幸男も幸女も美しい若者に育ち、二人が12歳になったとき、二人は結婚した。

4年後、クーファの太守ベン・ユーセフ・エル・テカフィは、16歳になった幸女の美しさを聞き、誘拐して教王(カリーファアブドゥル・マリク・ビン・マルワーンに献上しようと、老婆を雇った。老婆は祈祷者の振りをして春氏の家に入り込み、幸女を家の外に誘い出して誘拐した。幸女は教王に献上されたが、あまりに泣くので、教王の妹セット・ザヒアは不憫に思い介抱した。しかし、幸女は何日経っても泣くばかりで病気になってしまった。

一方、幸男は幸女を捜すが、まったく見つからなかった。ペルシャ人の学者に占ってもらうと、幸女はダマスにいると出たので、幸男とペルシャ人学者はダマスに行き、そこで医者を始めた。医者は大評判となり、ある日、後宮の老婦人が相談に来たが、それは幸女の病気のことであった。幸女が後宮にいることが分かったので、幸男は老婦人の手引きで女装して後宮に忍び込んだが、部屋を間違え、セット・ザヒアに見つかってしまった。親切なセット・ザヒアは事情を聞き、幸男を幸女に合わせてくれた。そこに教王が入ってきた。

セット・ザヒアは教王に「昔、ある国で兄妹のように育てられた子どもが大人になり結婚したが、妻はさらわれ王の後宮に献上された。夫は妻を捜し後宮に忍び込んだが、王に見つかり、2人とも処刑されてしまった。この話の王の行為をどう思うか」と尋ねた。教王が「その王の行為は軽率である。」と言ったので、セット・ザヒアは事情を話し、後宮に忍び込んだ幸男を許すよう教王に頼んだ。教王は幸男を許し、幸女を幸男に返し、褒美を与えた。またペルシャ人学者を侍医に任命した。幸男と幸女はクーファに帰り、幸せに暮らした。






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誤字脱字ありましたらすみません。読んで頂きありがとうございます。知微🐪🏝️🌌🌌🌌✨✨✨