「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」
林芙美子の短詩ですね。
桜の季節になると、この詩が頭をよぎります。
たぶん林芙美子が書いた意味とずれてしまうと思うのだけど、つい何年か前までの日本の価値観は「女性は若い方が価値がある」という感じでしたね。あ、今でもそうかな。だから美魔女という言葉が流行るんですものね。
だけど個人的には、歳を経た桜の木の方が妖艶な気がします。
歳を経て、包容力がついてきたもののもつ色気。
人間もそうですよね。
若さに需要があると思うのは、意識していようとしていなかろうと、出産が大きな要因になっているのだと思います。出産はタイムリミットがありますから。もちろん若いものに見出す美しさというものもあるけれど。
見た目の若さにしがみつかず、あるがままの自分を客観視し、その歳なりの知恵がついてきたかどうかの方に主眼を置いて生きていきたいなぁと思います。そうすれば短い花の命を嘆くこともなく、堂々と自分の生きてきた経緯を見つめられるのじゃないか。そんなことを考える桜の散る季節。