『ゴールデンカムイ』(久保茂昭監督) | 新・法水堂

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『ゴールデンカムイ』

GOLDEN KAMUY


2024年日本映画 128分

監督:久保茂昭

原作:野田サトル『ゴールデンカムイ』(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)

脚本:黒岩勉

音楽:やまだ豊

主題歌:「輝けるもの」ACIDMAN

エグゼクティブプロデューサー:西憲彦、大好誠

プロデューサー:松橋真三、大瀧亮、植田春菜、森亮介、里吉優也

ラインプロデューサー:原田文宏

撮影:相馬大輔 美術:磯見俊裕、露木恵美子

照明:佐藤浩太

装飾:大庭信正、松本吉正、柳澤武

編集:和田剛 アクション監督:下村勇二

VFXスーパーバイザー:小坂一順

音楽プロデューサー:千田耕平

サウンドデザイナー:松井謙典

スクリプター:加山くみ子

衣装デザイン:宮本まさ江

ヘアメイクデザイン:酒井啓介

技髪デザイン:荒木孝治 特殊造形:百武明

特殊メイク:中田彰輝 操演・特殊効果:羽鳥博幸

ホースコーディネーター:辻󠄀井啓伺

アイヌ語・文化監修:中川裕、秋辺デボ

キャスティング:緒方慶子

助監督:李相國、山田一洋

制作担当:桜井恵夢、小沼秀剛、狭間聡司


出演:

山﨑賢人(杉元佐一)

山田杏奈(アシㇼパ)

玉木宏(第七師団中尉・鶴見篤四郎)

舘ひろし(網走監獄脱獄囚・土方歳三)

矢本悠馬(網走監獄脱獄囚・白石由竹)

眞栄田郷敦(第七師団上等兵・尾形百之助)

工藤阿須加(第七師団軍曹・月島基)

柳俊太郎(第七師団一等卒・二階堂浩平/洋平)

大谷亮平(第七師団一等卒・谷垣源次郎)

勝矢(網走監獄脱獄囚・牛山辰馬)

泉澤祐希(杉元と梅子の幼馴染・寅次)

高畑充希(杉元と寅次の幼馴染・梅子)

木場勝己(元新撰組二番隊隊長・永倉新八)

井浦新(アシㇼパのアチャ)

大方斐紗子(アシㇼパの祖母・フチ)

秋辺デボ(アシㇼパの大叔父)

マキタスポーツ(網走監獄脱獄囚・後藤竹千代)

山内圭哉(第七師団伍長・玉井芳蔵)、堀部圭亮(第七師団大尉・和田光示)、永尾柚乃(アシㇼパの従妹・オソマ)、浅田芭路(幼少期のアシㇼパ)、島津健太郎(網走監獄脱獄囚・笠原勘次郎)、成松修(第七師団・岡田文夫)、青木健(同・野間直明)、松嶋健太(同・前山一夫)、兼松若人(同・野崎)、野崎亨類(同・塩谷武郎)、髙野光希(同)、竜二(同・菊池清高)、金山拓矢、榎木智一(土方の部下)、小林峻(同?)、金城茉里奈(アイヌの村人)、宮崎歩夢(アイヌの少女)、野原壱太(アイヌの少年)、鈴木かつき(同)、二ノ宮陸登(同)、秋場千鶴子(梅子の母)、塚尾桜雅(寅次と梅子の息子・寅太郎)、鈴木武、西本銀二郎、金田誠一郎(銭湯の常連)、佐伯紅緒(客引きをする遊女)、伊藤優(牛山の相手をする遊女)、下総源太朗、福永武史、ボブ鈴木(妓夫太郎)、隈部洋平(百八十四銀行職員)、金谷真由美、ドン ジョンソン(武器商人トーマス)、八木拓海(二階堂浩平/洋平のボディダブル)

ナレーション:津田健次郎


STORY

舞台は気高き北の大地・北海道、時代は、激動の明治末期――。日露戦争においてもっとも過酷な戦場となった二〇三高地をはじめ、その鬼神のごとき戦いぶりに「不死身の杉元」と異名を付けられた元軍人・杉元佐一は、ある目的のために大金を手に入れるべく、北海道で砂金採りに明け暮れていた。そこで杉元は、アイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知る。金塊を奪った男「のっぺら坊」は、捕まる直前に金塊をとある場所に隠し、そのありかを記した刺青を24人の囚人の身体に彫り、彼らを脱獄させた。囚人の刺青は全員で一つの暗号になるという。そんな折、野生のヒグマの襲撃を受けた杉元を、ひとりのアイヌの少女が救う。「アシㇼパ」という名の少女は、金塊を奪った男に父親を殺されていた。金塊を追う杉元と、父の仇を討ちたいアシㇼパは、行動を共にすることに。同じく金塊を狙うのは、大日本帝国陸軍「第七師団」の鶴見篤四郎中尉。日露戦争で命を懸けて戦いながらも報われなかった師団員のため、北海道征服を目論んでおり、金塊をその軍資金代わりに必要としていた。そして、もう一人、戊辰戦争で戦死したとされていた新撰組の「鬼の副長」こと土方歳三が脱獄囚の中におり、かつての盟友・永倉新八と合流し、自らの野望実現のため、金塊を追い求めていた。【公式サイトより】


野田サトルさんの大ヒットコミックを久保茂昭監督が実写映画化。


原作は少し読んだことがある程度の私だったが、不死身の杉元を山﨑賢人さんが演じると発表された時は驚いた。元々「ミスター実写映画化俳優」と呼ばれているぐらい(嘘。今作った)漫画の実写化作品に多数出演している山﨑さんだけど、同じ「週刊ヤングジャンプ」で連載中の『キングダム』の主演も務めて更に『金カム』もとは……(ちなみに脚本も同じ黒岩勉さん)。

それでも山﨑さんをキャスティングしたのはそれだけ映画関係者からの信頼も厚いからこそだろうし、毎回プレッシャーの大きな役を引き受ける山﨑さんもすごいなと感心してしまうな。


前置きが長くなったけど、鶴見中尉や牛山などいかにも漫画的なキャラ造形に抵抗さえなければ、多くの人が満足感を得られる作品になっていると思う。

まずは何よりもロケーションの素晴らしさ。ほとんどが実際の雪山で撮影されたそうだけど、そのことが圧倒的なリアリティを産み出し、オオカミや熊の動きも溶け込んでいる。

まだ物語全体から見れば発端というところだけど、杉元とアシㇼパが次第にバディとしての絆を深めていくあたりもよかった。

思っていたよりギャグシーンが多めで、杉元と白石が極寒の川に落ちて凍えそうな思いをしつつ火を起こそうとするところや、アシㇼパが杉元の持っていた味噌をオソマ(アイヌ語でウンコ)と呼んで拒絶反応を示すところなども単純に楽しかった。


キャストもそれぞれ適役で、とりわけオーディションで選ばれたという山田杏奈さんはアシㇼパのイメージにぴったりで、ブルーの瞳が神秘的。

矢本悠馬さんは最初出てきた時、気づかなかったほどだったけど、こういう役柄をやらせたらうまいよねぇ。

ともに愛知県出身のWひろしも存在感を示す。とりわけ玉木宏さんは前頭葉の一部をふっ飛ばされたとかで何やら液体が額から流れるというケッタイな役どころを楽しそうに演じていた。

眞栄田郷敦さんとか大谷亮平さんとかは見せ場はまだこれからという感じかな。


本作も先日観た『カノジョは嘘を愛しすぎてる』同様、エンディングクレジットの途中で席を立たないで!映画。

もっとも、本作の場合はコミックでいうと3巻あたりまでだそうで、端から続篇が予想されていたので(クレジット前に新キャラが続々映し出されていたし)ほとんどの人は最後まで観ていただろうけど。

もっとも、続篇はWOWOWで連続ドラマとして放送されるとのことでブーイングの嵐。ま、私は長年のWOWOWユーザーなので何の問題もないけど。笑