『ソウルの春』(キム・ソンス監督) | 新・法水堂

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『ソウルの春』

서울의 봄



2023年韓国映画 142分
脚本・監督:キム・ソンス
脚本:ホン・インピョ、ホン・ウォンチャン、イ・ヨンジュン
脚色:イ・ジミン、パク・チュンソク、キム・ソンテ
撮影:イ・モゲ (CGK) 照明:イ・ソンファン
編集:キム・サンボム (キム・サンボム編集室)
音楽:イ・ジェジン (studio FAME)
美術:チャン・グニョン、ウン・ヒサン
字幕翻訳:福留友子 字幕監修:秋月望

出演:
ファン・ジョンミン(保安司令官、戒厳司令部合同捜査本部長チョン・ドゥグァン少将)
チョン・ウソン(首都警備司令官イ・テシン少将)
イ・ソンミン(陸軍参謀総長、戒厳司令官チョン・サンホ大将) 
パク・ヘジュン(第9歩兵師団長ノ・テゴン少将)
キム・ソンギュン(憲兵監キム・ジュニョプ准将)
チョン・マンシク[特別出演](特殊戦司令官コン・スヒョク少将)
チョン・ヘイン[特別出演](特殊戦司令官専属副官オ・ジノ少佐)
イ・ジュニョク[特別出演](参謀総長付警護員クォン・ヒョンジン中尉)
キム・ウィソン(国防部長官オ・グクサン)
チョン・ドンファン(第10代大統領チェ・ハンギュ)
アン・ネサン(第1軍団長ハン・ヨング中将)、ユ・ソンジュ(陸軍参謀次長ミン・ソンベ中将)、チェ・ビョンモ(第2空挺旅団長ト・ヒチョル准将)、パク・フン(保安司令官秘書室長ムン・イルピョン大佐)、イ・ジェユン(保安司令部対共捜査課長、合同捜査本部捜査団長イム・ハクチュ中佐)、キム・ソンオ(第4空挺旅団長キム・チャンセ准将)、ナム・ユノ(首都警備司令部作戦参謀カン・ドンチャン大佐)、ホン・ソジュン(保安司令部人事処長ハ・チャンス大佐)、アン・セホ(首都警備司令部第30警備団長チャン・ミンギ)、チョン・ヒョンソク(第8空挺旅団長パク・ギホン准将)、パク・チョンハク(第30歩兵師団長モ・サンドン)、パク・ウォンサン(第3野戦軍司令官コ・ジェヨン)、パク・ミニ(首都警備司令部第33警備団長チン・ヨンド)、ヨム・ドンホン(国防部軍需次官補ペ・ソンハク)、チョン・ジンギ(首都軍団長ヒョン・チソン)、チェ・ウォンギョン(首都警備司令部憲兵団長ウォン・ギョン)、チャ・レヒョン(首都警備司令部憲兵団副団長ホ・ドンユン)、コン・ジェミン(第20歩兵師団長キム・ビョンジュン)、クォン・ヒョク(第71衛師団長チョ・ウテク)、ハン・チャンヒョン(第6空挺旅団長タク・チェオ)、ソン・ヨングン(首都警備司令部野戦砲兵団長ユ・ヒジョン)、チョン・スジ(イ・テシンの妻ソン女史)、ソ・グァンジェ(第13代国務総理ボンハク)、イム・チョリョン(大統領警護室長職務代理カン室長)、ヒョン・ボンシク(反乱軍合流将軍)、カク・チャヒョン(第2空挺旅団参謀長イ大佐)、チョン・ウンジョン(第2空挺旅団先頭参謀長車両運転兵ピョン少佐)、イ・スンヒ(第4空挺旅団15大隊長パク・スジョン中佐)、キム・ギム(陸軍参謀総長逮捕組、陸軍本部犯罪捜査団長ユン・ウミョン大佐)、ムン・ソンボク(陸軍参謀総長逮捕組、首都警備司令部33憲兵隊長ヨム・ギルノク大佐)、キム・オクチュ(チョン・ドゥグァンの妻)、パク・チョンピョ(幸州大橋警戒所パク・チョンピョ大尉)、カク・チンソク(国務総理公館憲兵特別警護隊長イ・ヨンス中佐)、ハン・ギュウォン(国務総理公館憲兵特別警護隊ソン・ギュウォン大尉)、ウ・ミファ(国防長官の妻)、チャ・ゴヌ(前中央情報部長キム・ドンギュ)

STORY
1979年10月26日、独裁者とも言われた大韓民国大統領が、自らの側近に暗殺された。国中に衝撃が走るとともに、民主化を期待する国民の声は日に日に高まってゆく。しかし、暗殺事件の合同捜査本部長に就任したチョン・ドゥグァン保安司令官は、陸軍内の秘密組織“ハナ会”の将校たちを率い、新たな独裁者として君臨すべく、同年12月12日にクーデターを決行する。一方、高潔な軍人として知られる首都警備司令官イ・テシンは、部下の中にハナ会のメンバーが潜む圧倒的不利な状況の中、自らの軍人としての信念に基づき“反逆者”チョン・ドゥグァンの暴走を食い止めるべく立ち上がる。【公式サイトより】

2023年、韓国で観客動員数1位を記録したヒット作。

1979年12月12日、後の韓国大統領・全斗煥(チョン・ドゥファン)率いるハナ会主導で起きた粛軍クーデターを題材にした本作。
パク大統領が暗殺されたという衝撃的なニュースが伝えられるところから始まり、チョン・ドゥグァンが陸軍参謀総長を拉致してクーデターを決行するまでを息をもつかせぬ展開で描く。冒頭の情報量が多いので(説明字幕も多め)ちょっと戸惑うが、チョン・ドゥグァンvsイ・テシンという構図が明確なので、ものがたりに引き込まれるのに時間はかからない。
その後の一進一退の攻防にも終始はらはらさせられっぱなし。事なかれ主義でチョンの逮捕に待ったをかける陸軍参謀次長とか、即座に公邸を脱出して挙句の果てにイ・テシンの首都警備司令官の職を解く国防部長官とか、ハナ会以外にも敵が多すぎてもう……。
史実を踏まえたものなので、最後はチョン・ドゥグァンがクーデターを成功させ、大統領に就任することは分かっていながらも、イ・テシンがチョンを仕留めてクーデター失敗という結末になるのではないかと期待したくなるぐらいにはチョンのことを憎たらしく思ってしまった。
最後、誇らしげに集合写真を撮る新政権の面々を見ていると泣けてきてしまったけど、韓国の人たちにとってみれば、こんな連中のせいで「ソウルの春」と呼ばれた民主化の空気が打ち砕かれ、1980年の光州事件へと繋がっていったわけで、憤懣やる方ない思いに襲われたことだろうな。

主演の2人は文句なしの出来栄え。
ファン・ジョンミンさんはとにかく狡猾で、チョン・ウソンさんはとにかく男前と分かりやすぎるぐらいに好対照。
あと、状況を摑みきれていないながらも、あくまで冷静に対処しようとする大統領役のチョン・ドンファンさんが印象に残った。