サロン劇場B-side

目白台和敬塾内 旧細川邸サロン
作:岸田國士「葉桜」「留守」
補訂:村松英子 上演台本・演出:藤井ごう
音楽:大西玲央
衣装協力:万葉烏梅染しぎや
舞台監督:新井和幸、小林直幹
制作:サロン劇場
出演:
「葉桜」
村松えり(母)
村井友映(娘・美彌子)
「留守」
村松えり(お八重)
水野小論(おしま)
中丸新将(八百屋)
村松英子(奥さま)
STORY
「葉桜」19歳の娘・美彌子に持ち込まれた縁談。母は見合い相手の態度が気に入らず、娘の気持もはっきり市内。母は娘から相手とどんな話をしたのか聞き出そうとする。
「留守」奥さまが知人の画家夫婦に招かれ、帰りも遅くなると出て行った後、女中のお八重は隣の家の女中・おしまを招き入れる。お八重はおしまから旦那さまとの関係が噂になっていると聞いて驚き、噂を流していたうちの一人、八百屋を家に上げて話を聞き出す。
サロン劇場の主宰・村松英子さんの娘・村松えりさんによるサロン劇場B-side、7年ぶり2回目の公演。
会場となる和敬塾本館は昭和11年、細川護立侯によって建てられた邸宅で、ふだんは一般公開されていない建物。その応接間(サロン)で岸田國士作品を鑑賞できるとはそれだけでもう一種の体験ですらある。
最初の「葉桜」は母と娘の結婚をめぐっての会話劇。下手側のソファに母、上手側のソファに娘でどちらも和装。上手側には鏡台。
母は娘の見合い相手があまりお気に召していないようだけど、娘の態度は煮え切らない。娘に幸せな結婚をしてほしいと思う親心は変わらないけど、そこには自身の結婚に後悔がある節も見え……。見合い結婚が当たり前だった当時の人々の結婚生活に対する本音が垣間見えて面白い。
続いて「留守」。
最初に洋装の奥様が出てきて、女中のお八重にあれこれ話しかける。実はこのシーンは原作戯曲にはなく(話している内容は本篇中での会話に基づいている)、村松えりさんが着替えるための時間稼ぎでもあるのだろうな。笑
まさに鬼の居ぬ間に洗濯といった趣で様々な話に花を咲かせるお八重とおしま。こういう市井の人々にスポットを当てるあたりが岸田國士さんのよさよなぁ。
最後に八百屋も揃って寿司を食べるシーン、お八重とおしまはここのは海苔巻きがおいしいからと八百屋に食べさせ、自分たちはまぐろを食べる。このあたりのやりとりも可笑しかったが、これまた脚色だったりする。
ナイロン100℃『江戸時代の思い出』のツアーを終えたばかりの水野小論さんから公演案内のDMを頂いたおかげで観ることができてよかった。
上演時間1時間1分。
