少年王者舘 第40回本公演
『それいゆ』
【東京公演】
2024年7月25日(木)〜29日(月)
ザ・スズナリ
作・演出:天野天街
舞台美術:田岡一遠【マタタキマケット】
美術製作:小森佑美加 【マタタキマケット】
映像:浜嶋将裕 照明:小木曽千倉
音響:高橋克司【東温音響】
舞台監督:岡田保【演劇組織 KIMYO / かすがい創造庫】
振付:夕沈、池田遼 音楽:珠水
衣裳:雪港、近藤樺楊 小道具:巴音、る
映像助手:ひらのみやこ 賄い頭:月宵水
チラシ製作:アマノテンガイ、橋本一弘
写真撮影:羽鳥直志 映像撮影:田中博之
制作協力:PECO、空沢しんか【劇団ジャブジャブサーキット】
制作:篠田ヱイジ、宮璃アリ、水柊、カシワナオミ
出演:
宮璃アリ(日御子)
水柊(ひまわり)
雪港(松島トモ子)
佐伯ピン子(太郎)
夕沈(正太郎)
五月女桜子(平太郎)
池田遼(一郎)
田口田一田一(龍哉)
小林夢二(ヒカゲ)
飯塚勝之(ヒトカゲ)
森春介(獅子16号)
巴音(ひなた)
新部聖子(次郎)
山本亜手子(夕目)
る(吉田)
近藤樺楊(吉田の娘・幸枝)
今井美帆(同・史枝)
ビードロ・ポンピイ(同・ヒカル)
後藤美智子(同・コヨミ)
廻飛呂男(わんや叔父さん)
井村昂(てんや叔父さん)
1998年初演、2003年に再演された作品の三演。
「それいゆ」はフランス語で「太陽」という意味だが、太陽系どころかこの宇宙の始まりからの気の遠くなるような時間を凝縮したような壮大な物語。
太陽は言うまでもなく、日の丸→日本のイメージでもあり(ひまわりの衣裳にも日の丸があしらわれている)原爆のイメージでもあるし、日御子(ひみこ)というネーミングもこの国の成り立ちを想起させる。
物語は満州から引き揚げてきた少年兵・太郎=正太郎=平太郎とその帰りを待つ父と妹・ひなた=次郎=夕目、そして隣人の吉田一家が軸となるが、全篇を通じて生と死のモチーフが繰り返される。
私は再演を七ツ寺共同スタジオで観ているが、その時と同様、役者陣が一文字ずつ持ったカタカナパネルをひっくり返して表示されるメッセージに涙腺崩壊。最初は「アタシイキタクナイ」と言っていたのが、「アイタイ」「キスシタイ」「イキヌキタイ」となっていくあたりは言葉の魔術師・天野天街の面目躍如といったところ。
改めて唯一無二の存在である天野天街さんが同郷で、その作品をリアルタイムで四半世紀にわたって鑑賞できたことは僥倖以外の何物でもないと感じた。今後、劇団がどうなっていくかは分からないけど、できれば唐組同様、過去作品を永遠に上演し続けてほしいなぁ…。せっかく15人も新人が入ったことだし(今回参加は11人)。
キャストでは名古屋公演を降板された夕沈さんも復活。名古屋公演ではどう対応したんだろう。【追記。とある方に教えていただいたところによると、井村昂さんが代役を務められたとのこと】
新旧ほどよく混じり合っていたけど、宮璃アリさんが再演で石丸だいこさんが演じて強烈なインパクトを残した日御子役だったり、雪港さんがこれまた個性の塊であるジル豆田さんが演じた松島トモ子役だったりというのはたまらないものがある(それにしても雪港さん、20年経っても見た目が変わらないのが驚異的)。
愚連隊を率いる池田遼さんのキレッキレの演技にもニヤニヤが止まらない。
新部聖子さんは客席案内等をされていた日与津十子さんが演じた次郎役でこれまたぴったりで、初演から同じ役を演じる山本亜手子さん、巴音さんとセットなのも嬉しい。最初の方はやや喉の調子が悪いのかなという気もしたけど、尻上がりによくなっていた。
五月女桜子さんもサマになっていたし、森春介さんも飛び道具的な面白さ。そして何と言っても、佐伯ピン子さんはそう来たか!という感じ。初演では中村榮美子さん(もロビーでお見かけ)、再演では眞藤ヒロシさんが演じた役で、長身が活かされていた。
上演時間2時間9分。
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