少年王者舘『決定版 夢+夜〜ゆめたすよる〜』 | 新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

少年王者舘
『決定版 夢+夜ゆめたすよる

YUME TASU YORU


2010年2月17日(水)~21日(日)

七ツ寺共同スタジオ

作・演出:天野天街
舞台美術:水谷雄司 映像:浜嶋将裕、内田欽弥
照明:小木曽千倉 音響:岩野直人

舞台監督:中村公彦(イリスパンシブルティ)
振付:夕沈+夢十夜☆ダンス部

音楽:珠水、FUMICO 小道具:丹羽純子

チラシ原画:アマノテンガイ

出演:

夕沈(ヘイタ)

中村榮美子(タロウ)

珠水(山ン本[サンモト])

白鷗文子(日見[ヒミ])

丹羽純子(月味[ツキミ])

井村昂(ヤマモト)

小林七緒[流山児★事務所](七目[ナナメ])

池田遼(一[イチ])

黒宮万理(人見[ヒトミ])

雪港(夕名[ユウナ])

水元汽色(夕見[ユウミ])

ひのみもく(仮名[カナ])

☆之(0[ゼロウ])

竹内大介(吉ン田[ヨンダ])

落合孝裕(ヨシダ)

石橋和也[ハレのヒ](十[ジユウ])

小林夢二(一十[カズトオ])

宮璃アリ(朝名[アサナ])

まえださち(マイナ)

水柊(空耳[ソラミ])

PECO(ハナ)


STORY
1954年。黒い雨が降る古びた駅の待合室。山本一郎(一)は夢の中で、自分の分身であるヘイタ、タロウ、ヤマモト、七目に出会う。一は恋人の人見との待ち合わせに何とか間に合うが、人見を怒らせてしまう。腹いせにあくびをしていた0(ゼロウ)を鉄パイプで殴り唐キ一。吉ン田、ヨシダ、十、一十に責め立てられた一は、やり直しを願い出る。日見、月味を従える山ン本はその願いを聞き入れて最初からやり直しをさせるが…。


昨年7月に上演された『夢+夜』の決定版。

上の粗筋は初演時のものだが、そこから大幅に追加。
結局、上演時間は1時間40分ほどに。

ひょっとしたら少年王者舘の最高傑作かも知れない。
舞台というのは言うまでもないが、生物(なまものと読んでもいきものと読んでも可)である。いつでも観ることができる映画と違い、その時その場所でしか観ることができない。
たとえば本作は5日間で6回の公演がある。この芝居の登場人物たちは1時間40分×6回分の時間しか生きられない。そして彼らは自らの存在に疑問を持ってはならない。終盤、「ここはどこだ」と一郎が言うたびに何者かに撃たれるのはそのためだ。
この芝居が終わってしまえば儚く消える登場人物たち。だからこそ切なく、その存在が愛おしくなる。私が演劇に惹かれる理由がこの作品の中にあるような気がした。

毎回のように書いているが、水元汽色さんはやっぱりいいなぁ。
黒宮万理さんも綺麗なのに変な台詞や動きをして素敵。客席から台詞を言う際に照明が当たっていなかったのはミス?

本日は楽日でもないのに珍しく天街さんによる役者紹介あり。その後のダンスも深い余韻を残す。