belle waves #1
ミュージカル 『ラフヘスト〜残されたもの』
2024年7月18日(木)〜28日(日)
東京芸術劇場シアターイースト
脚本・作詞:キム・ハンソル
作曲:ムン・ヘソン、チョン・ヘジ
演出:稲葉賀恵 上演台本:オノマリコ
訳詞:オノマリコ、ソニン
音楽監督:落合崇史
出演:
ソニン(キム・ヒャンアン)
古屋敬多[Lead](キム・ファンギ)
山口乃々華(ピョン・トンリム)
相葉裕樹(イ・サン)
演奏:
ピアノ:落合崇史
バイオリン:廣田碧/森麻祐子
STORY
2004年2月29日、ヒャンアンは最期の瞬間に、自分の人生を振り返るように手帳を一枚ずつ遡る。2004年の記憶から時間はさかのぼり、1936年、自由奔放な詩人イ・サンとナンランパーラーで初めて会った時、トンリムとしての時間が順番に流れ始める。最初の夫となったイ・サンの死後、もう芸術家を愛することはないと思っていたトンリムの前に現れた画家ファンギ。静かで控えめなファンギと手紙をかわすうちに少しずつ心が解けていく。同時に、苦しい思いをしてしまうかもしれない瞬間にも、勇気ある選択をしていくトンリムを見ながら、ヒャンアンは自分の人生の岐路に起こる出来事が、自分を光輝かせてくれていたのだと気付く。Les gens partent mais l’art reste ─ 人は去っても芸術は残る。イ・サンと共にした、そしてファンギと共にするすべての瞬間を経て、やがてヒャンアンは自分自身が芸術になったことを悟る。【公式サイトより】
第8回韓国ミュージカルアウォードで作品賞、脚本賞、音楽賞を受賞した作品の日本初演。
中央に互い違いに傾斜のついた回転盆。周囲には机や椅子、スタンドライトなど。天井からはオブジェが数点ぶら下がり、奥には一面にカーテン。上手側のカーテン陰にピアノとバイオリン。
事前情報ほぼゼロの状態で観に行ったけど、李箱(イ・サン)とその妻とその再婚相手の話で、タイトルの「ラフへスト」はフランス語の"l'art reste"(芸術は残る)を韓国語読みしたものだとか。「ラール・レスト」がなぜそうなる!?
物語は2004年2月29日、ヒャンアンが亡くなるところから始まり、1936年2月29日、トンリムがイ・サンと出会う場面へと移る。ヒャンアン=トンリムというのがすんなり理解できる見事な導入部。ちなみにヒャンアンは誕生日も2月29日だそうで。
その後はトンリムとイ・サンが結婚するも、イ・サンが一人で東京に向かうという物語が描かれる一方、ヒャンアンとファンギの物語が時間を遡る形で描かれる。ヒャンアンとトンリムが邂逅するシーンも効果的(トンリムがペンを落としてしまうというアクシデントがあったけど、ヒャンアンが拾って隙を見てバッグに戻していた。笑)。
少人数でのミュージカルというのは最近の韓国のトレンドのようだが(昨年、オンラインで観た作品もことごとく少人数だった)、芸術家、とりわけ詩人が題材になるというのも韓国らしいところだよなぁ。
ソニンさんは当初、老女の演技。場面が進むにつれ、だんだん歌声も若くなっていくというさすがのテクニック。
初めて見る山口乃々華さん(後で知ったけど元E-girlsなのね)は伸びやかな歌声で、ソニンさんとの掛け合い(歌も台詞も)も相性のよさが感じられた。