TeXi's『theirs』 | 新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

TeXi's

『theirs』



2024年6月9日(日)〜16日(日)
アトリエ春風舎

脚本・演出:テヅカアヤノ

舞台美術:いとうすずらん

照明:緒方稔記(黒猿)

音響:櫻内憧海(お布団)、深澤大青

舞台監督:黒澤多生(青年団)

演出助手:天野天音

セーフティ・バウンダリー・キーパー:植松侑子(syuz'gen)

制作:河野遥(ヌトミック)、佐々木ラッコ(hatoba)、日和下駄(円盤に乗る派)

宣伝美術:ヤング荘

記録映像:松尾祐樹(富山のはるか・KPR/開幕ペナントレース)


出演:

上沢一矢(あげあげ)

新垣亘平(こーちゃん)

黒澤多生[青年団](たおにゃん)
松﨑義邦[東京デスロック](よっちゃん)


STORY
家に引きこもったよっちゃんを外に連れ出して遊ぶため、作戦を練るあげあげとこーちゃん。しかし、たおにゃんはそれに反対する。一方、家の解体を依頼された一同だったが、黒澤がここは自分の家だからと解体を止めさせる。
男女二元論が生み出す「加害性」について考える1年間のプロジェクト「ファジー」の第1作。
今回は男性のみ、8月上演予定の第2作『ours』は女性のみ、そして12月上演予定の第3作『yours』は全員揃っての制作になるとのこと。

開演時、舞台中央に白い家の枠組があり、周囲の壁には服やぬいぐるみ、時計など。上手側に段があり、そこにもホワイトボードなど雑多な物が配置されている。天井にはミラーボール、床には黄色と黒のラインテープで仕切り。家は4つのパートに分かれて動かせるようになっていて、横倒しにして使うことも。その他、机や椅子、ハンガーラックなど。

これまでのTeXi's作品同様、本作にはいくつかのレイヤーがあり、家レイヤーと解体レイヤーが絡み合いつつ、時折、劇場レイヤーが顔を出すという構成。
男女二元論の解体とは何を意味しているのだろう…と思いつつ見ていたけど、それは究極的には家の解体ということに繋がっていくということかな。家という制度の下では男が家長として中心的役割を果たし、女がそれを支えるという構造になりがちで、子供たちにも男であれば家を継ぐ、女しかいなければ婿を取ることを要求される。先週の『虎に翼』では新憲法の下、新しい家制度に反対する勢力が登場したことなども思い出されたが、家の解体となるとなかなか一朝一夕にはいかないよな…。
劇中、誰が一番りんごに見えるかを競う印象的なシーンがあるが、英語でAdam's appleと言えば喉仏のことを指すように、ここでのりんごは男性性の象徴でもある。それこそりんごがぶどうになるぐらいの変化がないと男女二元論の解体も難しいだろう(と、呑気なことを書いていられるのも自分が男性だからということは認識しつつ)。

上演時間1時間17分。


上演後にテヅカさん、制作の河野遥さんと観客によるアフター・トークセッションあり。