劇団桟敷童子
『阿呆ノ記』
あほうのき
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大手忍(隣町の鉄砲火薬問屋の娘・つじゑ)
稲葉能敬(鉄砲衆・一鉄)
瀬戸純哉[劇団離風霊船](鉄砲衆・仙場)
前澤亮(鉄砲衆・八幡)
藤澤壮嗣(鉄砲衆・稔次)
もりちえ(村人・繁ヨシ)
増田薫(村人・カヨサ)
井上莉沙(村人・イネコ)
柴田林太郎(村人・庄助)
吉田知生(村人、村役場職員・馬田)
鈴木めぐみ(九州対馬組の行商・久那代)
山本あさみ(阿呆ノ婆・ひい婆)
川原洋子(阿呆ノ婆・ふう婆)
板垣桃子(阿呆ノ婆・みい婆)
STORY
昭和12年、九州の辺境の地にある阿呆村。女頭目・伊織の息子・啓太郎は鉄砲衆頭を務めていたが、孫の甚太郎は動物の血を見るのが苦手で、鉄砲撃ちには向いていないと見なされていた。中国との戦争が始まる中、村役場職員の馬田は日給1円と徴兵免除の好条件を餌に、鉄砲衆たちに鉄道工事の仕事を持ってくる。伊織の弟・玄葉は工事に反対する姉と対立し、班長となって工事を取り仕切る。そんなある日、隣村の鉄砲火薬問屋の娘・つじゑがモーゼル銃とともに啓太郎の後妻としてやってくる。つじゑは甚太郎に鉄砲の撃ち方を教え、甚太郎も戸惑いながらも次第につじゑを母として受け容れていく。
劇団桟敷童子、新作公演。
生贄、人柱のために育てられた阿呆丸と呼ばれる子供たちが登場する3つめの作品。本作の舞台となる阿呆村では明治時代に生贄の風習は禁止されており、年老いた姿で目撃されることがあるという設定。
阿呆村ではそうした民話的な伝承が残る一方で、中国との戦争に伴い、近代化を強いられていく。鉄砲衆が徴兵免除を餌に鉄道工事に駆り出されるも、次第に赤紙が届くようになる。話が違うと言ってももう遅い。彼らは日本という国の生贄に他ならない。
桟敷童子の舞台美術はいつも凄いが(ちなみに塵芥は東憲司さんの別名)、今回は輪をかけて凄く、終盤の大仕掛けはまさに山が怒っているようにしか見えなかった。
キャストでは主演の音無美紀子さんが女頭目という役どころを颯爽と演じ、大手忍さんの立ち居振る舞いも様になっていてダブル主演と言ってもいいほどの存在感を放っていた。気弱な青年からの成長を見せる加村啓さん、憎まれ役を務める原口健太郎さんらの演技もよかった。
上演時間1時間58分。
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