『鴨川ホルモー』
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2009年日本映画 113分
監督:本木克英
原作:万城目学 脚本:経塚丸雄
製作:野田助嗣
プロデューサー:矢島孝、野地千秋
撮影:江原祥二(JSC) 美術:西村貴志
音楽:周防義和 照明:土野宏志(土には点あり)
録音:中路豊隆 サウンドデザイン:岸田和美編集:川瀬功 振り付け:パパイヤ鈴木
主題歌:「神々LOOKS YOU」Base Ball Bear
出演:
山田孝之(安倍明)
栗山千明(楠木ふみ)
濱田岳(高村幸一)
石田卓也(芦屋満)
芦名星(早良京子)
斉藤祥太(三好・兄)
斉藤慶太(三好・弟)
荒川良々(京大青竜会会長・菅原真)
石橋蓮司(居酒屋「べろべろばあ」店長・安倍清)
佐藤めぐみ(龍谷大学フェニックス・立花美伽)、甲本雅裕(サラリーマン)、笑福亭鶴光(ホルモー解説者)、パパイヤ鈴木[クレジットなし](OB・鈴鬼玄斎)、渡部豪太(1回生・松永)、藤間宇宙(同・紀野)、梅林亮太(同・坂上)、和田正人(京都産業大学玄武組・清森平)、趙珉和(立命館大学白虎隊・柿本赤人)、三村恭代(京大青竜会3回生・竜造寺富子)、大谷英子(立命館大学白虎隊・細川珠美)、篠宮暁[オジンオズボーン](京大青竜会3回生)、高松新一[オジンオズボーン](同)、OH-SE[電撃チョモランマ隊](同)、中林大樹(警官)、澤武博之[KBS京都](ホルモー実況)、池田章宜、吉塚智彦、原野吉弘(京大青竜会3回生)、小倉結輝、白江美佳、植松翔平、荒木好之[クロコップ]、三好淳志、加集剛[現・カシューナッツ]、ドヰタイジ(京大生)、宮地佑樹、淺野道啓、永井貴也、高橋俊樹、高橋愛子、山本志穂、豆ちほ(舞妓)、豆はな(同)
STORY
鴨川のせせらぎが美しくも穏やかな五月の京都――。二浪してようやく京大生となった安倍は、同じ新入生である帰国子女の高村と葵祭のアルバイトの帰り、三回生の菅原と竜造寺から「京大青竜会」という怪しげなサークルの新歓コンパに誘われる。入会する気など更々なく、ただ飯にありつく目的で居酒屋「べろべろばあ」で行われたコンパに参加した安倍と高村。しかし安倍は、その席で美しい鼻筋を持つ早良京子に一目惚れ。その夜、下宿の近くで早良が泣いているのを目撃した安倍は、自転車を貸すという理由をつけて自分の下宿に招く。ところが安倍がトイレに入っている間に早良がベッドで寝てしまい、安倍は彼女の鼻に触れたいという欲求を抑えながら眠りに就く。翌朝、早良の姿はベッドにはなく、青竜会に入るつもりだという書き置きが残されていた。安倍は嫌がる高村を誘って青竜会に入る。青竜会に入会したのは、安倍、高村、早良の他に、大木凡人似のオタク系メガネ女子・楠木ふみ、超高圧的で仕切り屋の芦屋、温和な双子の三好兄弟など、一風変わった個性的なキャラの持ち主ばかり。当初はただのレジャーサークルと思われた青竜会だったが…。祇園祭宵山の夜、観光客のごった返す四条烏丸交差点に呼び出された青竜会メンバー。そこで待っていたのは、薄汚れた揃いの青い胴着に身を包んだ、いつもと全く違う雰囲気の菅原たちだった。そしてどこからともなく現れた、白、赤、黒の胴着を着た異様な集団…彼らは立命館、龍谷、京都産業大学の学生だという。ついに安倍たちは、このサークルの目的が、京都に千年続くという謎の競技、“ホルモー”を行うことだと知らされる。しかも、「オニ」と呼ばれる小さく奇妙な式神を操り、この4大学対抗で行われるというのだ。嘘くさい話に半信半疑のまま、1人100匹のオニを操るための特訓が開始される。キテレツなオニ語?の習得、恥ずかしくてちょっと変態的な指令ポーズの繰り返し…。オニの姿も見えぬまま、特訓を始めて半年がたとうとしていた師走のある夜、安倍たちは、底冷えのする吉田神社に呼び出される。厳粛な雰囲気の中、突如、神々に捧げる舞として「レナウン娘」を歌い、裸踊りを始める菅原たち。躊躇していた安倍たちも、いつの間にか全裸で上回生の輪に加わり、トランス状態で踊り続けていた…。こうして「吉田代替りの儀」は終了、見事500代目のホルモープレイヤーとして認められた安倍たちの前にいたのは、今まで見ることができなかった1000匹ものオニたちの群れだった。こうして第500代目間ホルモー、通称“鴨川ホルモー”の火蓋が切って落とされる。龍谷大学フェニックス会長・立花美伽の立会いのもと行われた立命館大学白虎隊との初戦。芦屋の桁外れの攻撃力で責める青竜会だったが、高村がオニ語を間違えて攻め込まれる。オニを全滅させられた高村は失禁の上、「ホルモー!!!」とあられもない声で絶叫する。その後、高村と連絡が取れなくなったため、安倍は菅原に頼まれて高村の住む百万遍寮に向かう。そこで安倍が見たものはチョンマゲ姿の高村だった。高村が青竜会に復帰したのも束の間、安倍は天敵である芦屋とずっと想い焦がれてきた早良が付き合っているという衝撃の事実を知る。下宿に引きこもり、全く顔を出さない安倍を心配する高村と楠木。青竜会を辞めると言い出した安倍に、菅原は古いホルモーの規定を持ち出す。ホルモーの歴史の中でも封じ手とされている「17条」…10人の青竜会を、5人ずつの2チームに分け、対戦させるというのだ。安倍は、高村、楠木、三好兄弟の賛同をなんとか得ることができ、強敵・芦屋と決戦の日を迎えるのだが、禁断の「17条ホルモー」には、とんでもなく恐ろしい秘密が隠されていたのだった。【公式サイトに加筆・修正】
京大出身の作家・万城目学さんのデビュー作を映画化。
そもそもが荒唐無稽な話なだけに、観客をどれだけ作品世界に引きずり込めるか作り手や役者の力量が問われるところだが…。残念ながら私にはそれが不十分であったと言わざるを得ない。
少なくとも青竜、玄武、白虎、朱雀の解説は欲しかったところ。荒唐無稽である分、もっともらしい理屈をつけて京都だったらこういう魑魅魍魎が跋扈して奇妙な伝統が残っていてもおかしくないかもと思わせてくれないと。
特に見どころとなるはずのホルモーのシーンが退屈極まりない。
鶴光さんを解説者に迎えてネットで中継しているというのも不可解。あのオニって他の人には見えないんじゃないの? OB・OG専用に中継しているのだとしても、カメラで撮影することが可能なんだろうか。
最後の決戦が紅白戦というのも脱力してしまうが、展開もグダグダ。
「吉田代替りの儀」ももっと笑えるシーンに出来たと思うんだけどなぁ。
その一方で、京都で大学生活を送った者としては懐かしさ満載。特に百万遍寮として出てくる吉田寮。寮生との話し合いで無用の誤解を避けるために名称を変更したそうだけど、誤解も何もあの汚さはほとんどそのままじゃないの。笑
最後に余談ながら主題歌を担当しているバンドの皆さん、もう少し英語のお勉強をしようね。バンド名すら綴りがおかしいけど、「神々LOOKS YOU」は酷すぎ。
ちなみに本作はアトリエ・ダンカンプロデュースによって舞台化もされる。主演は映画版にも出ている石田卓也くんと芦名星さん。作・演出の鄭義信さんが果たしてどのようにホルモーを再現するのか期待。