『選挙』(想田和弘監督) | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『選挙』



2006年日本・アメリカ映画 120分

監督・撮影・録音・編集:想田和弘


出演:

山内和彦

山内さゆり

浅野文直(川崎市議会議員)、石田康博 (川崎市議会議員)、石原伸晃(衆議院議員・元行政改革・規制改革担当大臣・元国土交通大臣)、荻原健司(参議院議員・オリンピック金メダリスト)、川口順子(元外務大臣・元環境大臣・参議院候補)、小泉純一郎(内閣総理大臣)、高尾紀久雄(参議院議員小泉昭男の秘書)、田中和徳(衆議院議員)、永井はる子(山内和彦事務所)、橋本聖子(参議院議員・オリンピック銅メダリスト)、松川正二郎(元田中和徳第一秘書)、持田文男(神奈川県議会議員)、矢澤博孝(川崎市議会議長)、山際大志郎(衆議院議員)、山田甫夫(山内和彦後援会会長)、【以下、クレジットなし】阿部孝夫(川崎市長候補)、太田公子(川崎市議候補・民主党)、渡辺あつ子(川崎市議候補・神奈川ネット)、藤井一夫(川崎市議候補・日本共産党)


STORY

2005年秋。東京で切手・コイン商を営む山内和彦(40歳)は、川崎市議会議員補欠選挙の公募の面接に受かり、自民党の公認を得て出馬する。政治の素人で地盤どころか後援会もない山さんだったが、市議会与党の座を奪われてはならない自民党は地元選出の国会議員や秘書ら総力を挙げてバックアップして選挙運動を始める。山さんは駅前で演説をしたり、神社のお祭りや保育園の運動会、老人会に出かけては握手を求めて顔と名前を売る。妻・さゆりも選挙カーに乗り込み、夫のために頭を下げる。かくして2週間にわたり激しい選挙運動が展開される。


想田和弘監督による観察映画第一弾。


ずぶの素人の選挙活動に迫ったドキュメンタリー。

川崎市議会議員の補欠選挙に立候補したコイン商を営む山内和彦さんと想田和弘監督とは東京大学の同級生だったとか。

そういった気安さもあってか、カメラの前でも本音を漏らし、夫婦の言い合いもしっかりと収められている。特にお世辞にも綺麗とは言えない自宅のマンションで薄っぺらい布団に寝転がりながら会話をしているシーンなんていうのはよく撮らせたよなぁ。疲れていて判断能力を失ってたんじゃなかろうか。笑

そういったところも含めて、山内さん自身の人柄のよさ、生真面目さがいたるところで現れ、日本の選挙運動の滑稽さを浮かび上がらせる効果を上げている。

妻のことを「家内」と呼ばなければいけないとか本当に下らないもんなぁ。

あ、でも山内さんも選挙結果が出るっていうときに事務所にいないというのはどうかと思うぞ。他人事かよ。笑


ちなみに山内さん、今年行われた選挙には出馬しなかったとか。結局、何がしたかったんだろう。笑