いいへんじ『友達じゃない』Bチーム | 新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

いいへんじ

『友達じゃない』Bチーム

aren't we friends?


2024年3月20日(水・祝)〜24日(日)
北とぴあペガサスホール

作・演出:中島梓織(いいへんじ)
演出助手:坂本沙季(明日は、寝たくない)
稽古場代役・演出部:新田周子
舞台監督・記録写真:月館森(露と枕/盤外双六)
撮影・編集:北林佑基(世田谷センスマンズ)
舞台美術:結城真央(あまい洋々)
照明:中村仁(黒猿)
照明操作:茉井梨紗(劇団てあとろ50')
音響:大嵜逸生(くによし組)
音楽:野木青依
スタイリスト:カワグチコウ
宣伝美術:たかはしともや(Moratorium Pants)
当日運営:宮野風紗音(かるがも団地)
制作助手:及川晴日(娑婆駄馬) 
制作協力:田中遥、石本秀一
協力:クロワッサン、プリッシマ
企画・制作:いいへんじ

出演:
中島梓織[いいへんじ](吉村、「村人」)
タナカエミ(フリーター・真壁、「めキャベツ」)
てっぺい右利き[パ萬](シンガーソングライター・つとむ)
百瀬葉(吉村の同僚・有山)
小澤南穂子[いいへんじ](同・小川)

STORY
友達だと思える人がいないことがコンプレックスだった吉村は、北区周辺で路上ライブをしている売れないシンガーを追っかけることだけが生きがいだった。ある日、いつものように赤羽駅前で彼の歌を聴いていると、偶然通りすがった真壁という女性に出会う。「また会えるかも」とかろやかに去っていく彼女と、吉村は「友達になりたい」と思う。【公式サイトより】

佐藤佐吉演劇祭2024参加作品。

上手に飛鳥山公園にある遊具にも土手にも見える中央に階段がある傾斜。上手にベッドとサイドテーブル、ハンガーラック、電灯。その奥の壁にスマホ画面を表示。

前半は26年間、他人との間に薄い膜がある状態で関わってきた吉村が、路上ライブの場で出会った真壁に興味を持ち、「友達になりたい」と初めて思って実際に友達になるまでが微笑ましく描かれる(特に吉村が「私たちって、友達ですか?」と確認するくだりが最高)。
しかし、普段から遊ぶようになり、真壁は自分が双極性障害Ⅱ型(いわゆる躁鬱病)で障害者手帳も持っていることを打ち明けるあたりから趣が異なってくる。ある日、2人はスカイツリーを観に行く約束をするが、待ち合わせの時間に真壁が現れず、それ以来、少し疎遠になってしまうのだが、吉村はつとむが2人のことを歌った「友達じゃない」を聴いていた時にはたと気づいて、真壁が死にたくなったら向かうという川を目指して走り出す。
とにもかくにもこの2人の関係性がとてもいい。吉村、真壁、ともに丁寧に肉付けがされていて、お互いを思う気持に愛おしくなる。
さくひんざたいは、下手側に座ってしまったがために上手の壁に表示されるスマホ画面の文字がほとんど読めず……。Aチームの時は上手側に座ることを固く決意。

中島梓織さんの演技を観るのは確か初めてだが、これがなかなかうまい。自分で書いた台詞ということもあるとは言え、この台詞はこのトーンで、というのが実に的確。
タナカエミさんは前半はおおらかで包容力があり、後半は自分の抱える病に苦しむギャップを見事に表現。てっぺい右利きさんも味わいのある演技&歌。

上演時間1時間12分。

アフタートークのゲストは精神科医の星野概念さん。カーテンコールで中島さんが何も言わずに立ち去ってしまうから、アフタートーク中止になった?とちょっと焦ったけど、言い忘れていたそうで。笑