工藤俊作プロデュース プロジェクトKUTO-10『自慢の親父』 | 新・法水堂

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工藤俊作プロデュース

プロジェクトKUTO-10 第23回公演

『自慢の親父』



【東京公演】
2024年3月20日(水・祝)〜24日(日)
シアター711

作・演出:平塚直隆(オイスターズ)
舞台監督:伊達真悟 舞台美術:池田ともゆき
照明:池辺茜
照明オペレーター:加藤泉(東京公演のみ)
音響:大西博樹
チラシ写真撮影:山田徳春 (500G Inc.)
衣裳協力:山口夏希
チラシヘアメイク:赤木美里
宣伝美術:粟根まこと
映像編集:サカイヒロト(WI'RE)
制作協力:岡本康子

出演:
奇異保(ネジ工場の日雇いバイト・林)
久保田浩[遊気舎](同日雇いバイト・前川)
松浦絵里[南河内万歳一座](同社員・小池)
長橋遼也[リリパットアーミーⅡ](同社員・高野)
趙沙良(同社員・加奈子)
工藤俊作(同社員・沼田)
中道裕子(小料理屋の女将)
平塚直隆[オイスターズ](男)

STORY
60歳でネジ工場の日雇いバイトをしている林のもとに、離婚して以来、20年以上会っていなかった息子から会いたいと連絡が来る。林の幸せそうな顔を見た前川は社員の小池にも見せようとするが、小池の発言によって林は息子にみっともない自分を見せたくないという思いを強くし、社員の高野に代わりに息子に会ってほしいと頼む。高野は30歳で妻は出産を控えていたが、高野と不倫関係にある同僚の加奈子は高野では若すぎるからと沼田がいいのではと提案する。沼田は二つ返事で引き受けるが、林は沼田では嫌だと言い出す。その後、一同は沼田の行きつけの小料理屋に集まり、話し合いが続けられるがーー。

工藤俊作さんプロデュースによるプロジェクトKUTO-10、オイスターズの平塚直隆さんを作・演出に迎えた最新作。

舞台は平台が並べられただけの素舞台。小料理屋のシーンはスツールが出てくる。
ザ・スズナリでは天野天街さん脚色・構成・演出の『田園に死す』が上演され、お隣のシアター711では平塚直隆さん作・演出の本作が上演と図らずも名古屋ダービーとなったが、作風は好対照。
平塚作品の真骨頂はやはり会話のおかしみにあり、ちょっとしたきっかけから事態がどんどん転がっていきつつ、なかなか噛み合わないやりとりが癖になる。
特に沼田は林の代わりに林の息子に会うことを了承するが、その後、林が沼田では嫌だと言い出しても、自分が会いに行くと言って聞く耳を持とうとせず、狂気すら感じる(後半でその意図を当てさせるクイズが繰り広げられはするのだが)。
最後の最後に出てくる男は、平塚さん自らがオチとして使われていて面白かった。

個人的には元虚航船団パラメトリックオーケストラの奇異保さんの演技をウン十年ぶりに見られたのが嬉しかった。

上演時間1時間24分。