『プロスペローの本』(ピーター・グリーナウェイ監督) | 新・法水堂

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『プロスペローの本』

Prospero's Books



1991年イギリス・フランス・イタリア映画 126分

脚本・監督:ピーター・グリーナウェイ

原作:ウィリアム・シェイクスピア『テンペスト』

撮影:サッシャ・ヴィエルニ

美術:ベン・ヴァン・オズ、ヤン・ロールフス

音楽:マイケル・ナイマン

編集:マリナ・ボドビル

衣裳:ワダエミ


出演:

ジョン・ギールグッド(ミラノ大公プロスペロー)

マイケル・クラーク(妖精キャリバン)

ミシェル・ブラン(ナポリ王アロンゾ―)

エルランド・ヨセフソン(ナポリ王の忠臣ゴンザーロー)

イザベル・パスコー(プロスペローの娘ミランダ)

トム・ベル(プロスペローの弟アントーニオ)

ケネス・クラナム(セバスチャン)

マーク・ライランス(ファーディナンド)

ジェラルド・トーレン(エイドリアン)、ピエール・ボクマ(フランシスコ)、ジム・ヴァン・デル・ウード(トリンキュロー)、ミシェル・ロメイン(ステファノー)、オルフェオ(エアリアル)、ポール・ラッセル(エアリアル)、ジェームズ・ティエレ―(エアリアル)、エミール・ウォルク(エアリアル)、マリー・エンジェル(アイリス)、ウテ・レンパー(セレス)、デボラ・コンウェイ(ジュノー)


STORY

ミラノ大公プロスペローは実弟アントーニオとナポリ王アロンゾーにより追放され、絶海の孤島に娘ミランダともども漂着した。だがその時、ナポリ王の忠臣だが親友であったゴンザーローから密かに24冊の魔法の本を譲り受け、それを読むことによってプロスペローは偉大な力を身につけた。12年の歳月が過ぎ、彼は孤島に小イタリア王国を築き上げていたが、アロンゾーへの復讐心を忘れず、妖精キャリバンらを使って、欲望の赴くままに「テンペスト」という名の壮大な復讐劇を書こうと思い立った。つまり、嵐を起こしアロンゾーの船を難破させ、自分の島におびき寄せる。アロンゾーに架空の息子ファーディナンドを作り出し、ミランダと恋をさせることで、彼の子孫がいつの日か統一されたナポリとミラノを継承するという野望を打ち砕く。自らの偉大な力を誇示すべく、トリンキュローとステファノーという間抜けな人間に島を横取りする陰謀を立てさせ、当然のごとく失敗させる。また、アロンゾーには近親者による暗殺を企てる。しかしそこまで考えた時エアリアルからその復讐の耐え難いほどの残酷さを指摘され、プロスペローはいつの間にか自分が間違っていたことに気づき、本と魔力と権力を捨て去ることを決意する。その時、本当の魔法の力が働き、彼が創造した登場人物が彼に許しを乞うために生を得て語り始める。魔術師から人間に戻ったプロスペローは、彼らを許し、また自らも自由の身になるため、観客に許しを乞うのだった。【「KINENOTE」より】


《ピーター・グリーナウェイ レトロスペクティヴ 美を患った魔術師》上映作品。2011年のHDリマスター版を無修正で初上映。


シェイクスピア最後の戯曲『テンペスト』が原案となる本作、タイトル通り、プロスペローが読んでいく24冊の魔法の本を軸にして物語が展開する。

正直なところ、『テンペスト』の翻案映像化としては監督の趣味が強く出過ぎているきらいはあるような気がするが、全篇にわたって美術、衣裳、メイク、画面構成に対する監督のこだわりように圧倒されるばかり。

サー・ジョン・ギールグッドというイギリスが誇るシェイクスピア俳優の演技がスクリーンで観られたのも嬉しい。


今回、無修正での上映は初めてとのことだけど、別に法律に触れないのなら一体何のためにボカシを入れるのかよく解らないよな。むしろボカシがあった方が卑猥な感じがしてしまうし。

今回の特集上映を機に新作(ダスティン・ホフマンさん主演だとか)はもちろん、日本未公開作品の上映も実現することを願ってやまない。