『記憶の居所』(常間地裕監督) | 新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『記憶の居所』

Whereabouts of Memories

 

 

2023年日本映画 54分

脚本・監督・編集:常間地裕

撮影:藤井昌之、萩原脩

録音:戸根広太郎、五十嵐猛吏、本田真也、小畑智寛

美術:NARUMI
スタイリスト:RYUSEI MORI、中村もやし、塚田さくら

ヘアメイク:佐藤晴奈、NARUMI、安藤メイ
スチール:染谷かおり 助監督:内田知樹

制作:遠山浩司、半田雅也 メイキング:堀井綾香
方言指導:小林英樹 フードスタイリスト:石川みのり

プロデューサー:常間地裕、四本研祥

 

出演:

「味の記憶」The Memory of Taste

山下リオ(河田唄)

小久保寿人(兄・河田源)

磯西真喜(継母・河田京子)

山本奈衣留(唄の同僚・一宮志穂)

林裕太、永井彩加(高校時代の河田唄)、田野真悠(施設職員・成田麻友)、なす(柴犬・教授)
「香の記憶」The Memory of Scent
サトウヒロキ(男)

橘舞衣(女)

山口森広(おでん屋)

「音の記憶」The Memory of Sound

成瀬凜(ピアノを弾く少女)

富山雅(それを見つめる少女)
朴聖賢、平川そよ花、金丸尭暉、齊藤隼平、妹尾幸乃、石倉来輝

 

STORY

看護師として他者の死に慣れてしまった唄は、疎遠になっていた母の死の報せを聞き故郷へ。いっぽう、美術館で出会った男と女は月夜の中をプロヴァンスへと向かって車を走らせる。そして、一人の少女がまだ名も無き音楽を奏でるとき、また一人の少女はその姿を夢中になって見つめている……。【公式サイトより】


『この日々が凪いだら』で長篇監督デビューを果たした常間地裕監督による中篇作品。


味、香、音の記憶に関するエピソードを集めたオムニバス形式だが、割合としては味が3分の2を占める。

「味の記憶」は東京で看護師として働く主人公・唄が継母・京子の訃報を受けて長野の実家(最寄駅は元善光寺駅)に帰郷する物語。ところがいざ帰ってみると、継母は生きているが、認知症を患って施設で暮らしていた。唄はこの継母とあまり良好な関係にはなかったが、高校3年間の弁当を京子が作っていたことを知って驚く。兄が切り盛りしているりんご農園で唄が泣きながら弁当を食べるシーンにグッと来たし、最後、唄と京子が2人並んで遠ざかっていくシークエンスも静かな余韻を残すものだった。


「香(こう)の記憶」と「音の記憶」は交互に展開。
「香の記憶」は美術館で出会い、ゴッホの《夜のプロヴァンスの田舎道》に惹かれた男女がプロヴァンスを目指すという物語。市原湖畔美術館が使われていたのがポイント高し。「音の記憶」はモノクロで少女2人の淡い関係性を描き、三者三様の味わいがあった。

東京での初日ということで、この日は常間地裕監督の他、山下リオさん、小久保寿人さん、磯西真喜さん、山本奈衣留さんが舞台挨拶に登壇。