『鍵泥棒のメソッド』(内田けんじ監督) | 新・法水堂

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『鍵泥棒のメソッド』


2012年日本映画 128分
脚本・監督:内田けんじ
音楽:田中ユウスケ
撮影:佐光朗 照明:加瀬弘行 美術:金勝浩一
録音:藤本賢一 編集:普嶋信一
スクリプター:松澤一美 音響効果:岡瀬晶彦
装飾:澤下和好 スタイリスト:浜井貴子
ヘアメイク:宮内三千代
助監督:村上秀晃 製作担当:星野友紀
主題歌:「点描のしくみ」吉井和哉

出演:
堺雅人(桜井武史)
香川照之(コンドウ/山崎信一郎)
広末涼子(水嶋香苗)
荒川良々(工藤純一)
森口瑤子(井上綾子)
小野武彦(香苗の父・水嶋徳治)、木野花(母・水嶋京子)、小山田サユリ(姉・水嶋翔子)、内田慈(桜井の元恋人・理香)、大谷亮介(大家さん)、三上市朗(「週刊ダイナマイト」編集長・大谷健治)、林和義(工藤の手下・土屋)、ウダタカキ(同・藤本勇気)、池田成志(映画監督)、久野雅弘(助監督)、本宮泰風(主演俳優)、三村恭代(主演女優)、柊瑠美(編集部員A)、李千鶴(副編集長・藤木由香里)、中谷竜(編集部員B)、ムロツヨシ(合コン候補者)、堺沢隆史(元劇団員A)、中村無何有(元劇団員B)、黒田大輔(元劇団員C)、田中聡元(隣の住人・オタク)、荒川結奈(階下の住人・若い女)、中川晴樹(合コンの男)、日比大介(医者)、原金太郎(会社社長・岩城茂雄)、松山愛里(藤本の女)、安野遥(出版社の受付)、兒玉宣勝(映写担当の男)、塚本直毅[ラブレターズ](救急隊員A)、溜口佑太朗[ラブレターズ](救急隊員B)、鈴木祥二郎(警官A)、廻飛呂男(警官B)、小林大介(レストランの店主)、中道公壱(悪役俳優)、安蒜太人(綾子の息子)、石田剛太(ヨーロッパ企画)、角田貴志(同)、諏訪雅(同)、土佐和成(同)、中西武教(同)、今井克己、藤田健彦、久我真希人、柴田みゆき、伊丹孝利、西山由希宏、平家和典、新田えみ、伊沢有紗、大塚光、筧美和子(アイドル)、塚本怜美、手塚可奈子、吉川日菜子、渡邉紗也、永幡洋、名取幸政、小池榮

STORY
銭湯に入ってきた金持ちそうな男が転刀Bその場に居合わせた貧乏役者の桜井が様子を見ていると、男は頭を強打した影響で記憶を失っていた。桜井はちょっとした出来心を起こし、男のロッカーの鍵と自分の鍵をすり替える。案の定、自分を桜井だと思い込む男。しかし男の正体は誰も顔を見たことのない伝説の殺し屋・コンドウで、コンドウに成り代わった桜井のもとに大金が絡む危険な仕事の依頼が舞い込み、桜井はやむなく引き受けてしまう。一方、自分は桜井だと思い込んでいるコンドウは一流の役者となることを目指して真面目に努力する。そんなひたむきな姿に胸を打たれた女性編集長の香苗は彼に求婚。三者三様の事情が複雑に絡み合う……。【「キネマ旬報映画データベース」より】

内田けんじ監督最新作。

いやはや、これまた期待を裏切らない面白さ。
内田けんじ監督の過去3作品の中では一番好き。
プロローグにおける水嶋香苗の相手がいないにも拘わらず、突然の結婚宣言、その相手探しを仕事のように請け合う部下たち(李千鶴さんが巧い)のやりとりからして面白い。香苗が「VIP」という一流のものを扱う雑誌の編集長であり、結婚相手の条件が「健康で、努力家であれば誰でも」とアルバイトとまったく同じだったりというあたりの設定も後々にちゃんと活かされている。
映画の脚本はこうでなくちゃという見本のよう。
もちろん、桜井武史、山崎信一郎のキャラクター設定も秀逸だし、2人が入れ替わるまでの流れも不自然さがまるでない。几帳面な性格の山崎が演技の勉強を真面目にやって役者として認められていくというのも面白い。
欲を言えば、山崎が記憶を取り戻して以降の展開にもう少し意外性が欲しかったが、最終的に山崎と香苗を結びつけるにはこれぐらいがちょうどよかったのかも。最後には思わずホロリとさせられてしまった。

主演3人はいずれも文句なし。
小山田サユリさんはお久し振り。李千鶴さんと柊瑠美さんは『踊る大捜査線 THE FINAL』よりちゃんとした出番があってよかったよかった。
池田成志さんはグラサンをしていたこともあって気づかなかった。その後ろにいた久野雅弘さんはほとんど台詞もなくても気づいたのに。
ヨーロッパ企画の面々が出ることは事前に知っていたけど、彼らの演技を学ぶ必要があるのか(笑)。しかも香川照之さんが。