劇団黒テント『皇国のダンサー』 | 新・法水堂

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劇団黒テント 第79回公演

『皇国のダンサー』



2023年11月1日(水)〜5日(日)
ザ・スズナリ

作・演出・美術:佐藤信
演出助手:坂口瑞穂
照明:齋藤茂男(シアタークリエイション)
照明操作:石黒真紀
音響:島猛(ステージオフィス)
音響操作:川崎理沙
映像:飯名尚人 映像操作:中山輝
擬闘:栗原直樹(WGK)
擬闘補佐:西村聡(WGK)
舞台監督:佐藤昭子
写真・記録映像:姫田蘭 宣伝美術:太田裕介

出演:
服部吉次(ダンサー)
片岡哲也(もうひとりのダンサー)
岡薫(別のもうひとりのダンサー)
桐谷夏子(エミシ)
宮崎恵治(エミシの息子・イルカ)
冨田訓広(ナカノオオエ)
山本健治(カマコ)
本木幸世(フルヒト)
鳥飼健太郎[客演](エサカ)
大木実奈[客演](チーフ)
久保恒雄(サブ)
滝本直子(養育係)
愛川敏幸(虫)
山下順子(もう一匹の虫)
光田圭亮(別のもう一匹の虫)

STORY
床に倒れていたもうひとりのダンサーは、ふと気づくとチーフとサブの監視下に置かれていた。その部屋の片隅には別のもうひとりのダンサーもいた。一方、地下の部屋で養育係に世話をされていたエミシのもとをエサカが訪れ、イルカが自分の部屋で面会をしたいと言っていると迎えに来る。更にダクトでは虫たちが蠢いていた。

『亡国のダンサー』以来、6年ぶりとなる佐藤信さん書き下ろし作品。劇団総出演の予定だったが、内沢雅彦さんと平田三奈子さんが体調不良のため降板。

左右の端が一段高くなっていて、背景にスクリーン。その手前に横にスライドする半透明の板。床には1ヶ所蓋が開いて地下に行けるようになっている。

『亡国のダンサー』同様、乙巳の変(大化の改新)がモチーフとなっている本作、使われている言葉にしても映像や文字を多用した演出にしても、御年80歳とは思えない佐藤信さんの創造性に感嘆するしかない。
たびたび引用される『日本書紀』に出てくる俳優(わざおぎ)にダンサーというルビが振られる場面があるのだが、俳優とはプログラム(戯曲)通りに踊るだけの存在なのかという演劇において根源的な問いかけも含まれていて実に刺激的だった。

創設メンバーであり、前作『ぼっかぶり』では台本・演出も手掛けた服部吉次さんが本作では主演を務めているが、その動きの優雅さに見入った。
終演後のロビーには佐藤さんの盟友・串田和美さんのお姿も。串田さんはフライングシアター自由劇場の公演を来月に控えているが、皆さんお元気ですなぁ。

上演時間1時間54分。