東京にこにこちゃん『シュガシュガ・YAYA』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

東京にこにこちゃん本公演

『シュガシュガ・YAYA』


2023年7月12日(水)〜19日(水)
OFF・OFFシアター

作・演出:萩田頌豊与
照明:中西美樹 音響:松本蓮(合同会社KaTia)
舞台監督:砂山イサヲ(TEN WORKS)、山崎綾乃(TEN WORKS)
撮影:川村大樹
大道具:石倉研史郎(TEN WORKS)
宣伝美術:田仲マイケル、大瀧翼
票券:白川啓(ローソンチケット)、岩村優花(ローソンチケット)
演出助手:增山紗弓 制作:東京にこにこちゃん

出演:
大畑優衣(新入生・春瀬舞笑)
四柳智惟(新入生・豊丸光/後輩)
菊池明明(演劇研究会・大池奈々)
髙畑遊[ナカゴー](同・三町景)
立川がじら[劇団「地蔵中毒」](特撮研究会・里秋穂奈/後輩)
武藤心平(8年生・鍛治宮樹/後輩)
尾形悟[マグネットホテル](フォークソング連合部長・中森悟)

STORY
とある大学に浪人して入学した豊丸光は、「サザンになりたい」と言ってあちこちのサークルをたらい回しにされ、演劇研究会を勧められる。大池奈々と三町景はそんな豊丸を面白がって迎え入れる。演劇研究会の部室には特撮研究会の里秋や留年を繰り返す鍛治宮、やたらと鍋を借りに来るフォークソング連合部長の中森などが入り浸っていた。そこへ豊丸と同じ新入生の春瀬舞笑(まい)がやってくる。

東京にこにこちゃん、新作公演。
体調不良のため、木乃江祐希さんと佐藤昼寝さんが降板、代わりに菊池明明さんと四柳智惟さんが出演。

東京にこにこちゃんは主宰の萩田頌豊与(つぐとよ)さんが和光大学在学中に立ち上げた団体。萩田さんは劇中の豊丸と同じく「サザンになりたい」と言っていたそうで(こちらのインタビュー記事参照)、モデルとなった人物もいるそうな。
最初のうちは自分の大学時代も思い出しつつ、隙あらば挟んでくる小ネタに笑っていたし、髙畑遊さんと菊池明明さんコンビにナカゴー風味も感じていたのだけど、先輩が卒業し、新入生だった舞笑が最上級生になるあたりから本作のテーマが前面に出てくる。

舞笑は部室の壁に色々と目標を貼っていくが、何一つ成し遂げられず、楽しい時の記憶に浸り、そのことを新入生に馬鹿にされても愛想笑いを浮かべるだけで居心地のいい場所に居続ける。
そんな彼女の表情を見ているだけでもいたたまれなくなるが、先輩たちの訪問を機にこのままではいけないとばかりに部室から出ていこうと文字通り格闘する終盤の展開にはただただ涙(と言いつつ、床から出てくる中森さんできっちり笑わされる)。

主演の大畑優衣さんが殊の外素晴らしく、胸を打つ演技だった。どこかで見たことあるなと思ったら、劇中でもそれっぽい名前が出てくる同じ和光大学から出てきた排気口の『呼ぶにはとおく振り向くにはちかい』の教育実習生かー。あと、映画『ホテルローズガーデン』の舞台挨拶も。

上演時間1時間39分。