PSYCHOSIS『疫病流行記』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

PSYCHOSIS FILE:04

『疫病流行記』



2023年7月13日(木)〜18日(火)
ザムザ阿佐谷

言葉:寺山修司
演出:森永理科(PSYCHOSIS)
音楽:krishnablue 絵:上野顕太郎
美術:深海洋燈、上野顕太郎
音響:田島誠治(SoundGimmick)
照明:松田桂一
舞台監督:申大樹(深海洋燈)
写真:イマイトシヒロ
制作:高田ゆか(PSYCHOSIS)
演出助手:國崎馨(PSYCHOSIS)
衣装:森永理科、りくろあれ、くらしのアサすん
小道具:中村つぐみ 特殊造形:永野希
振付:森永理科、辻真梨乃
撮影:スタジオギフト 広告デザイン:森永理科
物販管理:高田ゆか、小坂知子(PSYCHOSIS)
当パンデザイン:小坂知子

出演:
小林由尚[深海洋燈](米男/主人②)
中村つぐみ(麦男/消毒人②/カラス)
國崎馨[PSYCHOSIS](「商船パゴパゴ」主人・魔痢子/日本陸軍の男/にせ医者)
申大樹[深海洋燈](百面相(羅針盤売り/人形操り/刑事/探偵)/日本陸軍の男)
南雲美香(悪徳歯科医不器男氏/主人③/疫病で死んだ少年)
三坂知絵子(蠅叩きの女/鼠取り屋の母/喪服の婦人)
小林夢二[少年王者舘](鼠取り屋の息子/日本陸軍の男/長靴の男①/令嬢の同伴者・ドジソン氏/疫病で死んだ少年)
乃々雅ゆう(自己軟禁の男/男装の麗人/執事/日本陸軍の男)
木下紅葉[Voyantroupe](ナンバーワンホステス・風疹のマヨ/看護婦②/日本陸軍の男/疫病で死んだ女/カラス/疫病患者)
ハラグチリサ[ぴぴすとれっろ](ホステス・疥美/看護婦①/南方幻燈機売り/消毒人①/疫病患者)
杉山しおん(歯をみがかない女・瘍子/忘れられた女/少女)
楓怪髏子(ホステス・腸江/人形/小間使い/疫病で死んだ子供/疫病患者)
辻真梨乃(オペラ氏/「商船パゴパゴ」支配人/日本陸軍の男/少年/疫病患者)
大島朋恵[りくろあれ](マダムオペラ/ホステス・飢餓/召使/疫病患者)
飯塚勝之[少年王者舘](元日本陸軍中尉・ビルマ亀/剥製屋/主人①/令嬢の足/浣腸男)
小坂知子[PSYCHOSIS](娼婦/剥製屋の妻/日本陸軍の男/長靴の男②/女体盛りの女)
森永理科[PSYCHOSIS](わたしはあなたの病気です)

STORY
少女の歌声が響き渡った日から街には疫病が蔓延し人々はドアを釘で打ちつけた。「商船パゴパゴ」という名のキャバレーでは女たちが念入りに歯を磨き、その店の地下で女主人の魔痢子は人知れず男たちを監禁し拷問していた。南を目指して定期貨物船を待つ二人の少年・米男と麦男に、羅針盤売りが渡したのは「北のない羅針盤」だった。釘だらけのこの街の出口はどこにあるのか。米男は暗闇の時代へと堕ちて行く。【「カンフェティ」より】

PSYCHOSIS、初の寺山修司作品。
寺山修司没後40年記念認定事業。

開演時、舞台中央に扉。
奥は高くなっていて、下手から階段で昇り、中央、上手へと進むにつれて段差がついている。その他、舞台には船や大きな釘(反対側は椅子)。

初演は1975年。
スケッチ集のような趣で、米男と麦男、魔痢子、少女などを除けばほとんどが1シーンのみの登場。種種雑多な登場人物たちが代わる代わる繰り広げるアングラの世界に浮世の酷暑をしばし忘れる。
寺山修司さんだけあって少々難解なのかとも思っていたけど、米男が「人間は約束をする唯一の生き物」の言葉通り、麦男を連れて南を目指そうとするくだりはシンプルに胸を打つものだったし、探偵が役者を招集して謎解きを始めるのも遊び心があって面白かった。
照明や音楽もカッチョイイ。

以前、流山児★事務所の『寺山修司―過激なる疾走―』のアフタートークに三坂知絵子さんが登壇されて、月蝕歌劇団の名誉劇団員だという話をされていたけど(司会は森永理科さんだった)、今回、ようやく出演舞台を観ることができてよかった。

受付や案内を既に扮装をしている役者陣がしていたのだけど、怪しげな見た目とは裏腹に対応が丁寧で行き届いている。こういう団体は作品の質も信頼できるよね、やっぱり。

上演時間1時間38分。