スヌーヌー『長い時間のはじまり』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

スヌーヌー vol.4

『長い時間のはじまり』



2023年7月14日(金)〜17日(月・祝)
SCOOL

作・演出・制作・製作・web・映像・その他:スヌーヌー/笠木泉
スチール:明田川志保 照明:多賀啓二
宣伝チラシ・イラスト:牛尾千聖
スライドイラスト:ムーサマスイ
制作:加藤じゅんこ(ジエン社)

出演:
踊り子あり(林)
松竹生(山田八郎/不動産屋・橋本)
ぼくもとさきこ(山田今朝子)
山本健介(息子・山田昇/林の後輩・土井)

STORY
登戸にある2階建てアパートの2階に住む林。ここに引っ越してきたのは2年前、不動産屋の橋本に紹介されて水色の壁が気に入ったからで、引っ越しには後輩の土井が手伝いに駆り出された。隣の部屋の山田夫妻はこのアパートに住んで10年になると言う。

昨年12月に予定されていた作品の延期公演。
『ドードー』『モスクワの海』に続く登戸三部作の三作目だとか。

舞台を横長に使用。正面の壁下手側と右手の壁にスクリーン。下手側の方には章題も表示。下手隅に小さな脚立があり、その手前に花瓶に入った花。

これまでスヌーヌーの作品はすべて観ているが(『モスクワの海』再演も含め)、笠木さんの作品はド派手な展開があるわけではなく、日常的な風景の中に潜むドラマを描き出す。全体的に余白が多く、それぞれの登場人物の背景を想像させるのも特徴的。
「長い時間のはじまり」というタイトルは、私たちがいずれ迎える死後のことを表している。12年前に登戸にやってきたという山田夫妻は恐らく東日本大震災の被災者なのであろうが(笠木さんは福島県出身)、死は決して終わりではなくはじまりなのだというこのタイトルは実に秀逸。

俳優陣はそんな笠木さんの世界観を見事に表現。
ジエン社主宰の山本健介さんは感情を爆発させるシーンでの声量が、今まで観てきた中でもトップクラスの大きさでびっくり。笑

上演時間1時間14分。