木ノ下歌舞伎『糸井版 摂州合邦辻』 | 新・法水堂

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木ノ下歌舞伎

『糸井版 摂州合邦辻』



【神奈川公演】
2019年3月14日(木)〜17日(日)
KAAT神奈川芸術劇場〈大スタジオ〉

作:菅専助、若竹笛躬
監修・補綴・上演台本:木ノ下裕一
上演台本・演出・音楽:糸井幸之介[FUKAIPRODUCE羽衣]
音楽監修:manzo 振付:北尾亘
舞台美術:島次郎、角浜有香 照明:吉本有輝子
音響:小早川保隆、星野大輔
衣裳:大野知英 ヘアメイク:須山智未
演出助手:岩澤哲野、山道弥栄
舞台監督:大鹿展明
歌唱指導:伊藤和美
振付アシスタント:高谷楓
美術アシスタント:沼田かおり
照明オペレート:吉田一弥
演出部:川村剛史[ロームシアター京都]、熊木進
美術製作:俳優座劇場 舞台美術部 大橋哲雄
歌舞伎小道具:藤浪アート・センター 浅海敬
運搬:植松ライン
制作:武田知也、宮崎麻子[以上ロームシアター京都]、本郷麻衣

出演:
内田慈(玉手御前(お辻󠄀))
田川隼嗣(俊徳丸)
土居志央梨(俊徳丸の許嫁・浅香姫)
大石将弘(俊徳丸の異母兄・次郎丸)
金子岳憲(浅香姫の奴・入平)
伊東沙保(誉田主税の妻・羽曳野)
武谷公雄(玉手御前の父・合邦道心)
西田夏奈子(道心女房・おとく/俊徳丸の母)
山森大輔(俊徳丸の父・高安通俊)
石田迪子(高安通俊 妾)
飛田大輔(次郎丸 家来・壺井平馬)

STORY
大名・高安家の跡取りである俊徳丸は、才能と容姿に恵まれたがゆえに異母兄弟の次郎丸から疎まれ、継母の玉手御前からは許されぬ恋慕の情を寄せられていた。そんな折、彼は業病にかかり、家督相続の権利と愛しい許嫁・浅香姫を捨て、突然失踪してしまう。しばらくして、大坂・四天王寺に、変わり果てた俊徳の姿があった 。彼は社会の底辺で生きる人々の助けを得ながら、身分と名を隠して浮浪者同然の暮らしをしていたのだ。そこに現れる、浅香、次郎丸、玉手と深い因縁を持つ合邦道心。さらに、誰にも明かせない秘密を抱えたまま消えた玉手が再び姿を見せた時、物語は予想もしない結末へと突き進む。【ロームシアター京都公式サイトより】

ロームシアター京都による「レパートリーの創造」シリーズ第二弾。

古代から語り継がれて歌舞伎や文楽となり、三島や寺山にも受け継がれた題材にまた新たな命が吹き込まれた。
アフタートークで木ノ下さんが糸井さんで『摂州合邦辻』をやろうと思った理由を述べられていたけど、まさにこれ以上にない人選。
人はなぜ生まれ、なぜ人を愛し、なぜ生きていくのか。最初の歌でドブネズミやゴキブリのことが出てきたけど、糸井さんの作品は人間のみならず生きとし生けるものを全肯定してくれる優しさに満ちている。最後に玉手の母親にスポットを当てたのもよかった。

玉手役の内田慈さん、元々好きな女優さんだけど、底力を見せつけられた感じ。特に後半の鬼気迫る演技は圧倒的だった。今月はもう1本出演舞台観に行く予定ですの(財団、江本純子)。