『手紙』(生野慈朗監督) | 新・法水堂

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『手紙』
only one person who is involved in the heart
 
 

 
2006年日本映画 121分
監督:生野慈朗
脚本:安倍照雄、清水夕佳子
原作:東野圭吾『手紙』(朝日新聞社 / 文春文庫刊)
音楽:佐藤直紀
企画:永江信昭、熱田俊治
プロデューサー:朴木浩美、橋口一成
ラインプロデューサー:新津岳人
監督補:川原圭敬
音楽プロデューサー:志田博英
撮影:藤石修 照明:礒野雅宏 録音:北村峰晴 
美術:山崎輝 編集:川島章正
助監督:高橋正弥 スクリプター:長坂由起子
製作担当:増子美和
アソシエイトプロデューサー:水上繁雄、角田豊
衣裳:中山邦夫 衣裳助手:大川賢二
スタイリスト(山田孝之・尾上寛之):平尾俊
スタイリスト(沢尻エリカ・吹石一恵):今村文子
ヘア・メイクアップデザイン:井川成子
主題歌:「コ・モ・レ・ビ」高橋瞳
 
出演:
山田孝之(武島直貴)
玉山鉄二(武島剛志)
沢尻エリカ(白石由美子)
吹石一恵(中条朝美)
尾上寛之(寺尾祐輔)
杉浦直樹(平野会長)
風間杜夫(朝美の父)
吹越満(被害者の息子・緒方忠夫)
田中要次(同僚・倉田)、山下徹大(朝美の婚約者・嘉島孝文)、石井苗子(マネジャー)、原実那(直貴の娘・武島実紀)、松澤一之(バーのマスター)、螢雪次朗(アパートの管理人)、小林すすむ(ケーズデンキ秋葉原店店長)、鷲尾真知子(食堂のおばちゃん)、松浦佐知子(同)、山田スミ子(同)、高田敏江(被害者・緒方敏江)、大橋智和、佐伯直之、安田暁、有川マコト、影山英俊、猪口卓治、西堀亮[マシンガンズ]、滝沢秀一[マシンガンズ]、岩佐まり、関根由佳梨、深沢菜央、司容熱子、宇和川士朗、360°モンキーズ(山内崇、杉浦双亮)、ダーリンハニー(長嶋智彦、吉川正洋)、沢本ゆきみ、寺田千穂(レポーター)、宮原修司、南雲栄作、桐生正樹、植田靖比呂、下田崇覚、原口大輔、羽崎貴雄、倉島淳、梅田善史、若城大介、神保光利、佐藤智美、山口乃亜、新虎幸明、八巻博史、堀井茶渡、吉田繁、稲垣鈴夏、熊谷渉、石井みずき、藤井夏恋、櫻井遼太郎、菊池隆志、水月圭、樋口貴子、皆川陽菜乃、野村裕典、中野美絵、田中那樹、相原鈴夏、岡田七海、森下兵悟、渡辺琢巳、仙波鉄男、見城貴信、石橋博樹、細井芳治、川名幸男、松江隆、山本斎、佐藤隆大、岡田優、日野出清、宮沢天、生方太郎、森重大三、浅井功、吉田友樹、永井慎一、中西利治、内山隆生、矢倉亮、渡邊リラ、宮川竜也、酒井正弘、山田悟、登坂雅人、西田潤、田中誠一、平岩モトイ、河本哲平、時村晋太郎
 
STORY
川崎のリサイクル工場で働く青年・武島直貴は、中学時代の同級生・寺尾祐輔と「テラタケ」というコンビを組んでお笑いの道を目指す一方、職場の人間とは関わらないようにして生きてきた。彼の兄・剛志が弟を大学に行かせる学費が欲しいがために資産家の家に押し入り、誤って人を殺してしまったため、直貴はこれまで3度職場を変わり、3度引越しをしなければならなかったのだった。食堂で働く由美子はそんな直貴のことが気にかかって積極的に話しかけてくるが、直貴は打ち解けようとはしない。無期懲役となり、千葉の刑務所で服役している兄からは毎月のように手紙が送られてきたが、それが元で今の職場を去ることになる。本格的にお笑いの道を進んだ直貴は徐々に頭角を現わし、大会社の専務の娘・中条朝美とも順調に交際を始める。だが、殺人者の弟であるという噂がネットで広まったため、直貴は「朝美と結婚する」と嘘をついてコンビを解消、朝美にも婚約者・嘉島の口から事実が告げられる。やがて直貴は家電量販店に勤め始めるが、その店に強盗が入る。身上調査の結果、兄のことが発覚した直貴は倉庫整理の仕事に回される。そんな時、彼の支えとなったのは由美子だった。彼女は会社の平野会長に手紙を出し、剛志にも直貴の代わりに手紙を出していた。借金を背負った父親と各地を転々としながら暮らした後、妹と離れ離れの施設に入れられて育った由美子は、父から届く手紙を楽しみにしていたと言う。直貴は由美子との結婚を決意、実紀という娘をもうける。幸せな暮らしを手に入れたかに見えた直貴だったが、実紀が「人殺しの娘」だという噂が社宅に広まり、友達も離れて行ってしまう。そのことを知った直貴は、兄に向けて最後の手紙を書く。

東野圭吾さんの同名小説をTBSで数々のテレビドラマを手掛けてきた生野慈朗監督が映画化。
 
人殺しの兄とそのことによって苦しむ弟。
まさしく鉄板。泣くなという方が無理。
最初から剛速球がビシバシ投げられ、兄と弟それぞれが手紙を書くシーンだけでじわじわ来てしまう。
 
山田孝之くんは今ひとつ得意ではなかったのだけど、彼の影のある雰囲気がぴったりと合っていた。
同じ寮に住み、自身も刑務所に入っていたという倉田、倉庫勤務になった直貴に優しく諭す平野会長、そして被害者の息子・緒方忠夫。
いずれのやり取りも素晴らしく、何度涙腺を刺激されたことか。
 
対する玉山鉄二さんがこれまた出色の出来。
彼の罪自体はどんな理由があるにせよ許されるものではないが、まるで修行僧のようにストイックに罪を償おうとする姿。何よりも弟の手紙を待ち焦がれる心情。
そして何よりも最後、慰問に来た「テラタケ」の漫才を拝むようにして見ているときの表情。これにはやられた。
 
沢尻組長(笑)も自身の辛い過去を踏まえながらも直貴の力となり、また娘が仲間外れにされたときも、「実紀は何も悪いことをしていない」と決して逃げようとしない強さを持った女性を好演。大阪弁は少々怪しかったけど、可愛いから許す。笑
 
希望を感じさせるラストもいい。
ただ、小田和正さんの「言葉にできない」は卑怯だよう。
あと、余計な英語の副題は要りません。笑