KAAT神奈川芸術劇場『蜘蛛巣城』 | 新・法水堂

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KAAT神奈川芸術劇場プロデュース

『蜘蛛巣城』

くものすじょう/KUMONOSUJO
 

 
【神奈川公演】
2023年2月25日(土)〜3月12日(日)
KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉
 
原脚本:黒澤明、小國英雄、橋本忍、菊島隆三
脚本・上演台本:齋藤雅文
上演台本・演出:赤堀雅秋
美術:杉山至 扮装:柘植伊佐夫
照明:杉本公亮 音響:鹿野英之
殺陣指導:渥美博 演出助手:相田剛志
舞台監督:足立充章
 
出演:
早乙女太一(鷲津武時)
倉科カナ(武時の妻・浅茅)
長塚圭史(軍師・小田倉則保)
中島歩(三木義明)
銀粉蝶(物の怪の老婆)
赤堀雅秋(五兵衛)
久保酎吉(都築国春)
新名基浩(国春の息子・都築国丸)
佐藤直子(浅茅の侍女・雁ヶ音)
新井郁(浅茅の妹、則保の妻・若菜)
山本浩司
水澤紳吾
永岡佑
清水優
川畑和雄
西本竜樹(和尚)
井上向日葵(腰元)
小林諒音
相田真滉
松川大祐
村中龍人
荒井天吾・田中誠人[Wキャスト](則保の息子・朝日丸)
 
STORY

日本の戦国時代、天下統一の野望を抱いた者たちが群雄割拠の様相を呈した頃、蜘蛛巣城の城主・都築国春は味方の謀反により苦戦をしいられていた。一の砦の大将・鷲津武時と二の砦の大将・三木義明は隣国との激しい戦いの末、蜘蛛手の森の中をさまよっていると、二人は森に棲む謎の老婆と出会い、二人は予言めいたことを告げられる。武時には「今宵からはあなたは北の館のお殿様、やがては蜘蛛巣城のご城主様」、義明には「あなたのお子はやがて蜘蛛巣城のご城主様」。この予言を聞いてから武時とその妻・浅茅の運命は大きく変わり、予言に誘われるかのように動き出す――。【公式サイトより】


黒澤明監督の『蜘蛛巣城』を再舞台化。2001年、新橋演舞場で上演された齋藤雅文さんの脚本を元にしているとのこと。

なお、雁ヶ音役は当初、長田奈麻さんがキャスティングされていたが、病気療養のため降板。佐藤直子さんが代役を務める。


正直なところ、映画版と同じぐらいの傑作を見せてくれるとは端から期待はしていなかった。だが、初日ということを差し引いてもここまでがっかりさせられるとは思っていなかった。

台詞のトチり(特に倉科カナさん)、役者同士の息の合わなさ、全体的なテンポの悪さ。一体いつになったら面白くなるんだろうと思っていたところへ、追い打ちをかけるかのように鳴り響く携帯電話の着信音(11回コールしていた。これまでで最長記録だよ、おい)。武時と義明が2人で話をするシーンだったので、早乙女太一さんと中島歩さんは非常にやりにくそうにしていて気の毒だったけど、いつもよりは腹が立たなかった。

 

浅茅の妹にして小田倉の妻・若菜の役回りとかはよかったし(これは2001年版を踏襲している模様)、映画版とは違う展開の終盤で、最後の最後にやっぱりおいしいところを持っていくよなぁ、赤堀さん、とかはあるけど、早乙女太一さんの殺陣が少なかったことも含めて全体的に消化不良感が残った。

少なくともスタンディングオベーションをするほどの作品ではないのだけど、必ずするものと思っている人たちがいるんだろうか…。

 

ところでKAATの公式サイトでも倉科カナさんの役名を「鷲津浅茅」としているけど、随分現代的な夫婦だこと(まぁ映画版の紹介でもそうしている三流サイトはあるけどね。「KINENOTE」とか。笑)。

 

上演時間2時間18分。