FUKAIPRODUCE羽衣『プラトニック・ボディ・スクラム』 | 新・法水堂

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FUKAIPRODUCE羽衣 第27回公演

『プラトニック・ボディ・スクラム』

 

 
2023年2月9日(木)~12日(日)
本多劇場
 
プロデュース:深井順子
作・演出・音楽・美術:糸井幸之介
振付:北尾亘
照明:中山奈美 音響:佐藤こうじ(SugarSound)
舞台監督:安田美知子 衣裳:竹内陽子
ヘアメイク:梶田キョウコ、高橋慶光
振付アシスタント:米田沙織、上松萌子
舞台監督助手:藤林美樹、前田和香
大道具:泉真 照明プログラマー:清家玲子
ピン操作:小谷中直美
音響操作:日本有香、今里愛
ステージ:たなかさき
劇中映像撮影・編集:平井寛人
映像協力:松澤延拓、堀田創
衣裳アシスタント:笹木明日香、池瑞樹
宣伝美術絵:糸井幸之介 デザイン:土谷朋子
記録写真:金子愛帆 映像収録:足立原円香
制作協力:湯川麦子、佐藤正宗、松永檀、柿原寛子
制作:坂田厚子
劇中一部台詞作:鯉和鮎美、キムユス、新部聖子、浅川千絵、田島冴香
Other member:高橋義和

出演(右側は『人体』での役名):
【日本の劇団羽衣の劇団員】
深井順子*(主宰・フカイ/Dr.ジュンコー)
鯉和鮎美*(コイワ/内蔵)
キムユス*(ユス/脳神経1)
新部聖子*(ニイベ/皮膚1)
浅川千絵*(アサカワ/骨1)
田島冴香*(タジマ/筋肉1)
平井寛人*(ヒロト/筋肉2)
村田天翔*(タカト/脳神経2)
岩田里都[シラカン](リツ/皮膚2)
宇田奈々絵(ウダ/筋肉3)
奥山樹生(イツキ/骨2)
中井宏美(ナカイ/骨3)
【客演の人気俳優】
日髙啓介*(ヒダカ/人体ケイスケ)
【『人体』の美術、劇作、音楽を担当する海外アーティスト】
澤田慎司*(スペイン人、画家・サワダリ)
伊藤昌子(イタリア人、詩人・マサコーニー)
西田夏奈子(アメリカ人、ミュージシャン・ニティナカーナー)
【人体を流れる血か!?人体に潜む愛か!?宇宙人か!?はたまた観客か!?】
土屋神葉(謎の存在)
岡本陽介*(手下A)
牧迫海香(手下B)
*=FUKAIPRODUCE羽衣所属

STORY
日本の劇団羽衣は、東京下北沢の本多劇場で『人体』というタイトルの新作公演を行なっていた。しかしその公演は、次第に謎の存在に乗っ取られていく。謎の存在とは何か?人体を流れる血か!?人体に潜む愛か!?宇宙人か!?はたまた観客か!?今、人体たちの大冒険が始まる!【公演チラシより】

第33回下北沢演劇祭参加作品。

背景には糸井さんによる巨大な絵画。上半分は黄色とオレンジを基調、下半分は青と白を用い、横たわる女性や手、足、浮遊する人物が描きこまれている。

開演時間になるとわらわらと役者陣が出てきてウォーミングアップをしたり美術監督が床を塗り直したりし始める。しばらくして本番前の気合い入れ。彼ら劇団羽衣にとって初めての本多劇場での公演となる作品のタイトルは『人体』。
今回の題材は劇団、ということで、この劇団羽衣は名前からしてFUKAIPRODUCE羽衣の分身と捉えていいのだろう。思えば劇団と人体は似ているのかもしれない。様々なパーツからなり、いつかは必ずなくなってしまう。いつも思い通りに動くとは限らないが、時には奇跡的な感動をもたらすこともできる。

毎度のことながら、生きていることの素晴らしさ、この世界の愛おしさを感じずにはいられない作品だったが、演劇が絡むことでより一層エモーショナルに感じられた。
とりわけ、ティナ・ターナーさんに似せた西田夏奈子さんが歌うタイトル曲"Platonic Body Scrum"の途中、劇団員がそれぞれ自分の言葉で自分のことを語り始めるくだりが素晴らしく、新部聖子さんが最後にボソッと言う「子供って何歳まで産めるんだろう」は胸に突き刺さった。
劇団「とある」で出会ったフカイとヒダカの過去をめぐるエピソード、鯉和鮎美さんの歌声、土屋神葉さんの叫び、どれをとっても素晴らしく、ソーシャルディスタンスなる言葉が生まれてから4年、そろそろプラトニックにスクラムを組もうぜというメッセージはストレートに心に響いた。

客演の土屋神葉さんは多分、初めて見るけどやはりお姉さんに似てるなぁ。全身黄色くて頭はヒトデのようという異形ながら、楽しそうに演じている姿が印象的だった。

上演時間2時間8分。