『ある男』
2022年日本映画 121分
監督・編集:石川慶
原作:平野啓一郎「ある男」 脚本:向井康介
音楽:Cicada
エグゼクティブプロデューサー:吉田繁暁
プロデューサー:田渕みのり、秋田周平
撮影:近藤龍人 照明:宗賢次郎
美術:我妻弘之 録音:小川武
装飾:森公美 スクリプター:藤島理恵
スタイリスト:高橋さやか
ヘアメイク:酒井夢月
VFXスーパーバイザー:赤羽智史
特殊メイク:中田彰輝 音響効果:中村佳央
音楽プロデューサー:高石真美
宣伝プロデューサー:湯浅正美
助監督:中里洋一 製作担当:前場恭平
プロデューサー補:鴨井雄一
プロダクションマネージャー:山田彰久
ラインプロデューサー:高根澤淳
出演:
妻夫木聡(城戸章良)
安藤サクラ(武本(谷口)里枝)
窪田正孝(谷口大祐(ある男X)/Xの父・小林謙吉)
柄本明(戸籍ブローカー・小見浦憲男)
真木よう子(章良の妻・城戸香織)
仲野太賀(谷口大祐(本物))
清野菜名(大祐の元恋人・後藤美涼)
眞島秀和(大祐の兄・谷口恭一)
小籔千豊(城戸の共同パートナー・中北)
坂元愛登(里枝の息子・武本(谷口)悠人)
きたろう(伊東林産社長・伊東)
でんでん(ボクシングジム会長・小菅)
山口美也子(里枝の母・武本初江)
カトウシンスケ(トレーナー・柳沢)
河合優実(ラーメン屋店員・茜)
森優理斗(幼少期の悠人)、小野井奈々(里枝の娘・谷口花)、岩川晴(章良の息子・城戸颯太)、矢柴俊博(バーの客・鈴木)、芹澤興人(バー「サニー」のマスター・高木)、水間ロン(役場職員・田島)、山野海(初江の知人・奥村)、モロ師岡(香織の父)、池上季実子(香織の母)、松浦慎一郎(大祐の職場の先輩・黒木)、伊藤駿太(幼少期のX・小林誠)、小園茉奈(小林誠の母)、BOB(ボクシング記者)、中山求一郎(同)、古野陽大(同)、中村シユン(坂崎勝の父(城戸の依頼人))、眞田惠津子(坂崎勝の母)、渡辺光(原誠の対戦相手)、森広高、辻本みず希、中山慎悟、小笠原覚(小野信博)、坂口辰平、福地勇治(レフェリー)、西原やすあき、岩城滉太、宮坂遼平、米山強、茂希(相手選手側セカンド)、御宿正覇、林諒一、堀田茂之、熊谷遥仁(被害者少年・延崎泰)、平山繁史、高山秀之、山下翼、富永研司、古谷朋弘、竹邑貴司、山本主税、保里ゴメス、星あかり、ジャン・裕一、本幸拓真、国仲奏絵、イッキ、中田健太郎、国京、洋平、藤崎卓也、丸岡陽仁、岩崎雄星[岩﨑雄星]
STORY
弁護士の城戸章良は、かつての依頼者である谷口里枝から奇妙な相談を受ける。亡くなった夫・大祐の身元調査を頼みたいと言うのだ。里枝は離婚を経験後、子どもを連れて故郷に戻り、やがて出会った大祐と再婚。新たに生まれた子どもと4人で幸せな家庭を築くが、ある日突然、大祐が不慮の事故で命を落としてしまう。悲しみに暮れる中、大祐の法要の日、長年疎遠だった大祐の兄・恭一が現れる。ところが、恭一は遺影を見て“これ、大祐じゃないです”と言い放ったのだ。愛したはずの夫・大祐が、まったくの別人だった……。“ある男”の正体を追う中で、様々な人物と出会い、衝撃の真実に近づいていく城戸。いつしか彼自身の中にも、他人として生きた男への複雑な思いが生まれていく……。【「KINENOTE」より】
平野啓一郎さんの読売文学賞受賞作を『蜜蜂と遠雷』の石川慶監督が映画化。
原作は3年ほど前に読んでいるが、忠実に映画化されているなという印象。原作の「序」にあたるバーでのやりとりを最後に持ってきたのがうまく、こうすることによって物語に奥行きが出ていた。
役者陣の演技、とりわけ妻夫木聡さんの演技は素晴らしく、なぜ城戸がそこまで「ある男」の事件にのめりこんでいったのかが台詞がなくても伝わってくる。帰化した在日三世である城戸が周囲の人間(特に義父母)の心ない言葉に対して、静かにじっと耐えているかのような表情を浮かべるのが印象的。
冒頭、スーッと涙を流して作品世界に引き込む安藤サクラさん、死刑囚である父親にそっくりになっていくことへの恐怖にもがき苦しむ窪田正孝さんも言うことなし。
ミスキャストはネトウヨ芸人さんだけやね。笑
余談ながら、美涼と城戸が本物の大祐に会いに行くシーン、原作では名古屋駅近くのコメダ珈琲となっていて、映画でも名古屋駅の風景は映るものの、多分喫茶店のシーンは名古屋じゃなさそう。清野菜名さんにとっては地元凱旋となるところだったのに。
ロビーには映画で使われたマグリット《複製禁止》が展示。