『キートンの恋愛三代記』(バスター・キートン、エディ・クライン監督) | 新・法水堂

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『キートンの恋愛三代記』

THREE AGES

 

 
1923年アメリカ映画 64分
監督:バスター・キートン、エディ・クライン[エドワード・F・クライン]
原案・字幕:クライド・バックマン、ジョゼフ・ミッチェル、ジーン・ハヴェス
製作:ジョゼフ・M・スケンク、バスター・キートン
撮影:ウィリアム・マクガン、エルギン・レスリー
美術:フレッド・ガブリー
 
出演:
バスター・キートン(男)
マーガレット・レイヒー(美女)
ウォーレス・ビアリー(恋敵)
ジョー・ロバーツ(美女の父)
リリアン・ローレンス(美女の母)
ブランチ・ペイソン(アマゾネス)
ホレス・モーガン[キューピー・モーガン](皇帝/洞窟の男/ローマのちんぴら)
ルイーズ・エモンズ(老占い師)
ジョージ・デイヴィス(ローマの守衛)
ライオネル・ベルモア
 
STORY
今も昔も恋の道に変わりはない。我等の主人公は石器時代からローマ時代、現代に至るまでは年頃になると美しい娘に恋をしたが、恋の競争者は常に彼の邪魔をした。石器時代に彼は力づくで娘の髪の毛を引っ張って思いを遂げたが、ローマ時代になると戦車競争で勝利を得、現代に至ってはフットボールの競技に主人公は勝利を博し、恋敵が結婚詐欺のお尋ねものである事を発見して、娘がその男と結婚しようとする瞬間に飛び込んで首尾よく勝利を占める。【「KINENOTE」より】

バスター・キートンさんが脚本・監督・製作を務めた初めての作品。最初の邦題は『滑稽恋愛三代記』。
 
そのタイトル通り、石器時代、ローマ時代、現代(といっても約100年前だが)の3つの時代の恋愛模様を描く。パターンは同じで、バスター・キートンさんがマーガレット・レイヒーさんに恋心を寄せるも、ウォーレス・ビアリーさん扮する恋敵に邪魔をされるという展開。
キートンと恋敵はそれぞれの方法で決闘する。石器時代はこん棒で殴り合い、ローマ時代は戦車レース(相手は馬なのに対し、キートンは犬)、現代はフットボールでの対決。
全体的にギャグが多いわけではないが、やはり体を張ったアクションはどうやって撮ったんだろうと思うシーンもいくつか。特にビルの屋上から隣のビルに飛び移ろうとするも失敗し、壁にしがみついていたら壁がはがれ……というシーンは実に見事。
 
もちろん最終的にはキートンとヒロインが結ばれるのだが、現代では『卒業』の先取りで結婚式の最中に花嫁を連れ去る。
面白いのはその後を描いたエピローグ。
石器時代、ローマ時代の男女が子供をぞろぞろ連れているのに対し、現代は犬だけを連れて子供はいない。既に100年前の時点で子供を産み育てるだけが夫婦になる目的ではないことを示唆していたとは。